6-1で大勝した北九州戦 春の訪れとなるか

 昨日の千葉は3月末日とは思えない寒さ。
 これで内容も寒かったらどうしようと思っていたのですが、かなり派手な試合になりましたね(笑)


 まぁ、個人的には攻撃はもう少しで何とかなりそうかな?と思っていたので、ようやくそれが結果として出たのは良かったと思います。
 もちろんこれだけの差がついたから試合ですから、相手の問題も当然あったとしても、逆にこちらに良い面がなければ6点も奪えないですし。


 逆に心配だった守備の方の課題が、ジェフにも出てしまった部分があり、それが失点1という形として表れてしまったような気もします。
 ただ、守備の方も決して課題だけではなかった試合でしたが…。
■前半だけでジェフが3ゴール
 前半4分。
 早くも試合が動きます。
 この日、右サイドで起用された谷澤が、左サイドのジャイールへロングボールで大きく展開。
 ジャイールがボールを持って中に入って行き、この日怪我の高橋に代わって右SBに入ってった米倉にスルーパス
 その米倉がクロスを上げて、最後は左SBの大岩がゴール。


 右の谷澤からのサイドチェンジ、ジャイールのスルーパス、米倉の飛び出しからのクロス、大岩の冷静なシュートと素晴らしい展開だったと思います。
 目立たないところでは、大岩の前でケンペスがゴール前に突っ込んでいったからこそ、大岩へのマークが甘くなりましたし、ジャイールのスルーパスの前に谷澤がサイドに開いてボールを受けようとして、結果的に相手の守備を釣っています。
 多くの選手が絡んだ良い展開だったと思います。



 続いて前半15分。
 左CKからジャイールが蹴って、ケンペスがヘディングでゴール。
 ジャイールのCK、なかなか合わないこともあったので谷澤のほうが良いのではないかとも思っていましたが、この日のキックは精度が良かったですね。


 これまで課題だった追加点が早くも奪える展開となりました。
 ケンペスは明らかにどフリーで、北九州のセットプレー時の守備の緩さを感じる展開でした。
 ただし、ジェフも何もしていなかったわけではなく、ゴール前で待ち構える選手がニアに出ていって、そこでできたスペースに後ろからケンペスが入って行ってフリーでゴールということで、ジェフとしては狙い通りのパターンだったといえるでしょう。
 その動きに北九州が見事に釣られてしまったという展開だったと思います。



 その後はなかなか試合が動きませんでしたが、前半ロスタイム。
 左サイドでケンペスポストプレーからジャイールに落として、ジャイールがドリブルで突破。
 そのままクロスを上げて、ケンペスがシュート。
 一度GKに弾かれましたが、ケンペスがこぼれ球に追いついて3点目を決めます。


 これもジェフが狙っているポストからの流れで、ジャイールという個人技を生かしてのゴールということで、1つの狙いが実になった形ではないでしょうか。
 ケンペスは相手DFライン遅れてゴール前に入ってくるパターンが、得意なのかもしれませんね。
 一度下がってボールを受けて反転して入って行かなければいけないわけですから、その戦術とは相性がいいということになります。
 それにしてもここでも相手DFはケンペスをフリーにさせてしまったわけですが…。
■6-1でジェフの大勝
 後半開始早々ゴールが生まれます。
 兵働からのパスをワンタッチで谷澤がナムに。
 ナムが相手ボランチ付近の狭いエリアで後ろ向きになりながら、前に走りこんでいたケンペスにパス。
 谷澤が走りこんで相手を釣っている中で、ケンペスがそのままシュートを選択し早くもハットトリックを達成します。


 ケンペスのシュートも正確でしたが、谷澤のワンタッチパスと走り込みも良かったですし、ナムの狭いところでのラストパスもさすがですね。
 ナムは体が強くパスを出す時も体がぶれないですから、ショートパスもピタッと思うところに出してきますね。
 シンプルなプレーの選択も含めて素晴らしいセンスだと思います。


 続いて61分。
 左サイドからのFKを山口智がヘディングシュート。
 これは相手DFにはじき出されますが、ケンペスが合わせてこの試合自身4点目のゴール。
  


 5-0で圧勝ムードでしたが、67分。
 相手左サイドでのスローインから、相手FWがポストプレー
 これに対してジェフのDFラインがずるずると下がって対応すると中盤が空き、守備に行けないままボールを中央に展開され、最後は後方から飛び出してきた鈴木修人ミドルシュートを放ちゴール。
 それまでも中盤の守備のゆるさ、全体のラインの低さは目立っていましたが、後半に入ってからよりそれが明確になってきたところでの失点でした。


 失点したジェフはそこから、きっちりと4×4の2列でボックスを守る形に変更してきた印象でした
 左サイドは、後半からナム(途中交代してからは大塚)がほとんど守っていましたね。
 攻撃で自由にプレーできていたジャイールは、気分も良かったのかいつもよりも局面ではチェイシングしていましたが、基本守備は得意ではなく。
 特にポジショニングやスペースを埋める守備の拙さ、そして、攻撃後の守備の戻りの遅さは穴になることも多かったと思います。


 しかし、失点後のナム(大塚)が左サイドに移ってしっかりと4×4が連動して守る形にしてからは、守備もそれまでより安定。
 しっかりとメンバーをそろえて守ろうと思えば、それなりに守れるんだということがわかりました(笑)
 ただ、4×4で等間隔に守る意識を重視した分、前にボールを取りに行くという動きはあまりできづらくなり、相手にボールを持たせる機会も増え、自分たちが攻撃に転じる流れも減ってしまいました。
 けれども、これは仕方ない部分もあるのでしょうね。
 これまでの対戦相手で守備が特にしっかりしていたイメージのある鳥取なども堅守ではありましたが、その分攻撃には転じにくい部分もあったと思います。
 最終的にはうまいバランスを探し出すことが大事なのでしょうけど、今はそこまでに至っていないということなのでしょう。




 最後に89分。
 途中出場の田中から右SBの米倉が頑張って走ってクロス。
 ジャイールが相手に競り勝って6-1で試合終了となりました。
■谷澤の右ウイング起用
 北九州は監督も変わり、大きくメンバーも入れ替わってしまいましたが、ポリシーはまだどこかに残っているというか、まったくのゼロスタートではないのかなと感じました。
 コンパクトな形からショートパスを狙う、攻撃的なサッカーを目指すと。
 その分、守備の寄せには甘さがあり、ジェフはそこを付くことが出来ましたが、逆に守備においては北九州に手こずるシーンも目立ちました。


 特に簡単に中盤で前を向かせて、そのままゴール前まで攻め込まれてしまうことが多かったのは大きな問題。
 これに関してはここ数試合言っているように全体のラインの問題もそうだし、中盤の選手の寄せの遅さ、甘さも課題となっていると思います。
 また、ジャイールフォアチェックにしか行かないため、リトリート時の守備に穴が出来てしまう問題もあります。


 しかし、失点後の守備に修正点が見られたように、この試合の守備がダメな部分だけではなかったとも思います。
 相変わらずケンペスの守備での貢献度は、すごく高いものがあるとおもいますしね。
 しかし、ジャイールや兵働がいることも考えれば、ピッチ上のすべてのエリアで厳しく行くのは難しいでしょうから、ポジショニングを考えながらどのエリアまで許してどこで前に行くのか。
 そして、時間帯によっては守る時間というのも、使い分けていく必要があるのかなと思います。
 この試合では失点後に守る時間ということになってしまいましたが、冷静な試合運びが求められますね。



 攻撃に関しては、ピッチ全体のバランスがすごくよくなりましたね。
 一番のポイントは、谷澤の右ウイング起用だったんじゃないでしょうか。
 谷澤が右ウイングで起用されたことで、サイドで孤立しがちだった右SBがうまく使えるようになりましたね。


 これまで右ウイングで起用されていた米倉は、前への意識が高すぎて、中盤に戻ってくることが少なく、結果的に前線の蓋となってしまい消える時間帯も多かった。
 だからこそ、前だけに張ることが出来ず、アップダウンをしざるを得なくなる右SB起用は、大当たりだったようにも思いますが。
 クロスの精度も良かったですし、運動量豊富によく頑張っていましたね。
 米倉が頑張れる展開になる試合は、良い試合になりがちだと思います(笑)


 そして、右ウイングの谷澤はゴール前だけでなく、右サイドの低い位置まで戻っていってボールを受け、そこでパスワークのポイントになるから、ボール回しに幅が広がりました。
 右SBを前に押し出すだけでなく、兵働へのサポートも出来ていたし、自身も右サイドで仕掛けることができる上、状況に応じてゴール前にも入って行くことが出来ていた。
 先制点の時にジャイールが米倉にスルーパスを出すシーンも、右サイドにポジショニングすることで相手のマークを引きつけていましたが、それまでの米倉ではあの位置にいなかったですしね。


 結果的に今までの1トップ(ケンペス)とトップ下(谷澤)と右ウイング(米倉)が前線のバイタルエリアばかりを狙う動きから、右ウイングが右サイドでもプレーするようになり、中盤の構成にも参加することで、攻撃に奥行きが出来ましたね。
 右では谷澤と米倉がチャンスを作り、中央ではケンペスとナムがポストと反転して前を向く動きをし、左にはジャイールの個人技と大岩のオーバーラップがある。
 これだけのポイントをそれぞれが作れていたからこそ、それぞれが仲間を助けることになり、それぞれがチャンスを作ることが出来ていた思います。



 もちろん北九州の局面での守備は課題が多く、それは差し引いて考えなければいけないと思います。
 しかし、谷澤の起用法など自発的に自分たちが狙ったところもあるはずですし、得点パターンも狙い通りのパターンが何度も作れていました。
 それを自信にしつつ伸ばしていって、守備などの課題などを解決していきたいところ。
 これでようやくジェフにも春が訪れるのか。
 今後の試合にも期待したいですね。