木山監督「ブロックの中にボールを差し込んでいって」

木山隆之監督
「チャンスは作っていたので何とか1点と思ったんですけど、残念でした。」
「ブロックの中にボールをうまく差し込んでいって、そこでもう1人、2人前向きな形を作りたかったんですけど、今日はそこがなかなかうまくいかなかった。結局はもうそこに入り込んでいくしかないと思うんで」(J's GOAL

 ジェフのシュート15本、甲府のシュート3本だったのですが、それでも0-1で敗れてしまったジェフ。
 木山監督はこのように話していますが、ジェフは決定的なチャンスも2,3度ほどしかなく、甲府とあまり変わらなかったように思います。


 この試合に限らず、守りを固めた相手に対してチャンスが作れないというのが大きな課題ではないかと思います。
 では、引いた相手にどのようにチャンスを作るのか?というところになるのですが、木山監督のコメントによると「ブロックの中にボールを差し込んでいって前向きな形を作る」というのが狙いということになりそうです。
 ただ、甲府戦もサイドからの攻撃が多くなっていましたし、今までのところは説明のような攻撃に関して、こだわりを持っているようにも見えない印象で。
 もちろん中央を塞がれたからこそ、サイドを攻めざるを得なかったというのもあるとは思いますが…。


 木山監督の話だとポストや中盤の選手の動きによって、相手のDFラインとMFラインの間を取って、中央の高い位置で前目の選手がボールを持つというのが狙いなんだと思います。
 しかし、江尻監督も狙っていたところではありますが、中央のDFラインとMFライン間というのは『バイタルエリア』と言われるほど、守備側としても警戒するところなわけで単純な動きだけでは攻略は難しいところではないでしょうか。



 例えばオシム監督はマリオ・ハースを使って、相手を引き寄せタメを作ることによって、周囲にちょっとしたスペースを作り、そこに2列目の選手などが飛び出す形でチャンスを作っていました。
 要するに、タメを作ることで相手の陣形を崩すわけですが、これは柏のレアンドロFC東京のルーカスなども同じような役目だったのではないかと。
 あるいは巻のように前で潰れたり囮になる動きで、他にフリーな選手を作ったり…。
 引いて固めた相手の陣形に、そのまま入っていってチャンスを作るというのは難しいわけですから、そういったスペースを作る工夫も必要になってくるのではないかなぁと思います。


 ジェフにも精度の高いラストパスを出せる兵働がいますけど、プレッシャーの中でタメを作るような選手ではなく。
 あるいはオーロイなども、後方からのロングボールの落としはうまいですけど、その周りのスペースを消されると厳しい事は昨年の段階でわかっていますし、サイドからのボールに関しては動き出しやポジショニングも重要になってくるところで。
 そのあたりのタメを作って変化をつけるところを、個人的にはレジナルドに期待していたのですけど、木山監督の好みではなかった模様です。



 木山監督は上記のコメントで、「結局はもうそこに入り込んでいくしかない」という話をされていますが、基本的にはサッカーと言うのは正解は複数あるはずで。
 もしかしたら「このチームにはそれしかない」と言う意味だったのかもしれませんが。


 今期は補強動向にしても選手起用を見ても、足元においてシンプルなボール回しが出来る選手を好んでいる印象があります。
 例えばオーロイに関しても、足元のプレーに関しては非常にシンプルにパスをつないでいくような感じですし。
 シンプルなパスワークを目指しているのでしょうが、そればかりの単調な攻撃パターンばかりになってしまっているし、その流れを一度止められてしまうと次の一手がなかなか出てこない。


 結局、同じようなタイプの選手ばかりを集めた結果、攻撃のバリエーションに限りが見えてきてしまっているということなのかなぁと。
 以前ミリガンに関してのエントリで、『異分子』を取り込めないとチームの幅が広がっていかないのでは…という話をしましたが、その問題が早くも出ているということなのでしょうか。



 もちろん、広島のようにパスサッカーにこだわるという手立てもあるとは思います。
 しかし、そうなのであればより一層、オフザボールによる第3の選手の動きや、高い位置でのコンビネーションプレーを追及していかなければいけないと思います。
 あるいは今から新しい可能性を模索するか…。


 これだけはっきりと「ジェフは引かれると点が取れない」といった問題が出てきていますので、シーズン後半になってより相手にそこを研究され徹底される可能性もあるでしょうし、昇降格がかかってきて結果を追及してくるクラブもあるかもしれません。
 チームとして、「どうやって引いた相手に対して点を取るのか」をより明確にしていく必要性があるのではないかと思います。