勝たなければいけない試合での引き分け

 ジェフにとっては湘南戦、勝たなければいけない試合だったんじゃないかと思います。
 上位チームとの試合で、ホーム・フクアリで、勝てるチャンスもあった。
 こういった試合を勝ちきれないと、最終的な順位にも響いてくるかもしれません。
 前節、引き分けに持ち込めなかった東京V戦も含めて、力強さがまだまだ足りないのかなといった印象を受けました。
■寄せの甘さで1得点1失点
 キックオフ直後から湘南は、かなり前へ前へとプレッシャーをかけてきました。
 攻撃では縦に積極的に仕掛けていき、特に試合序盤はワイドにウイングバックが開いてポイントを作って、ジェフのSBを開かせてDFラインを広げておいて、シャドーを裏へ走らせるパターンが効果的でした。
 守備でも積極的に前からプレッシャーをかけてきて、最終ラインも積極的に上げてきました。


 これに対してジェフは、ロングボールで裏を狙うカウンターサッカーに。
 これがスタメンの狙いだったのかもしれませんね。
 この日、ジェフはDFラインにミリガン、武田を起用し、FWで深井を使ってきましたが、後方からチャンスメイク出来るミリガン、武田とスピードのある深井を走らせることで、湘南対策をしてきたということではないでしょうか。
 こういう試合では深井は強いですからね。



 前半15分ころから湘南の勢いも落ちてきて、プレスも若干落ちてきます。
 サイドでの守備もボランチが穴を埋めてSBとCBの間に位置取りすることで、ジェフの守備も安定していきました。
 すると、前半24分。
 右サイドからの展開でフリーになった武田がボールを持つと、精度の高いクロスを上げて藤田が先制します。
 特に特別なパスワークではなかったと思うのですが、武田が見事なまでのフリーになってしまいましたね。
 あそこまで寄せのない状況では、失点もやむなしかなと。
 湘南は基本的にシャドーかウイングバックが状況に応じて相手SBを見る形だったのでしょうけど、スタートからそこの守備があいまいだった印象があります。


 その後はジェフが、ゆっくりとボールを持つ時間帯が増えていきます。
 このまま前半折り返しか、と思い始めてきた前半42分。
 湘南の坂本が中盤でフリーな状況からボールを持ち、そこからラストパスを出されて高山がゴール。


 この瞬間、中盤高い位置だったにもかかわらず、ジェフのボランチの寄せが甘かったですね。
 あれだけ高く、しかも中央の位置でフリーの選手を出されてしまっては、後方の選手としてはつらいでしょう。
 一度中盤が押し込まれると、出ていくのが遅れることが多いジェフの守備ですけど、それを突かれた感じです。
 両チームともにパスの出しどころをフリーにしたところから失点して、前半を折り返します。
■チャンスをモノに出来ず引き分け
 1-1で迎えた後半。
 いきなりのビックチャンスを湘南に作られますが、その後はジェフペース。
 湘南は足が止まっているにもかかわらずラインを高く上げ、ジェフにとってはチャンスが続く展開でした。


 しかし、こういった展開ではありがちですが、一本のパスでチャンスができそうなシーンでつい無理にパスを通そうとしてミスをしたり、ボールを持ちすぎて奪われてしまったりともったいないシーンが続きます。
 あるいは速い展開でのプレーや、長い距離を走った後でのプレーの質に問題があったり…。
 この辺りの課題を選手1人1人が改善させていかないと、もう一歩上に行くのは大変そうですね。
 湘南はあえてラインを上げて、ジェフのミス待ちを狙っているのかな?とすら思ってしまいましたが…(笑)



 後半15分過ぎまでにカウンターや相手を押し込む展開から、何度かチャンスが作れたジェフですが、そこを決めきれず…。
 今度はジェフの足がとまってしまいました。
 後方でのミスが目立ち、中盤の守備でもスペースができていきます。


 しかし、そこを何とかしのいだジェフ。
 後半30分には米倉、後半36分にはオーロイを投入しますが状況は変わらず。
 湘南もこの試合でけがから復帰した下村などを途中起用してきますが、そのまま一進一退の状況は続き、結局1-1の引き分けで終わりました。
■J2レベル以上のものを
 前半15分までは面白い試合だったと思います。
 その要因を作ったのは湘南だったのではないかと思います。
 攻撃だけでなく、守備でも積極的に前から1人1人がボールを奪いに来るから、ジェフのDFラインは素早い反応で前にボールを出さざるを得ない。
 そうなったことで、両ゴール前でのプレーが増える、スピーディなゲームとなると。


 オシム監督時代のジェフと戦うとジェフだけでなくあいても面白いサッカーになったりしたけど、相手からするとこんな気持ちになるんですね(笑)
 あの頃は「ジェフと戦うと調子が良くなる」なんて話もありましたけど、あれもリスクを冒して前にいく分、相手チームも攻撃の回数が増えるから、そのような印象を受けるのかなぁと。
 ただ、湘南はあまり長時間、その状況を保てませんでしたが。
 今考えても、あのころのジェフのスタミナというのはすごかったんですね(笑)


 ただ、一方のジェフのほうもペース配分を考えていたとは思うのですが、それでも後半は失速してしまいました。
 もちろん、この試合に関しては特に序盤に相手のペースに持ち込まれて(合わせざるをえない状況を作られて)、その分消耗したというのもあるのでしょうが。
 しかし、東京V戦でも後半はスタミナに問題を感じましたし、比較的スタメンの年齢層が高いように思うジェフは、ここから夏にかけて課題となる可能性もあるのかもしれませんね。



 全体的に見ると試合内容は悪くなかったとは思いますが、あと一歩、勝ちきる強さが足りない印象を受けた2試合となってしまいました。
 中盤の高い位置で、寄せが甘かったり。
 速いプレーを求められる場面での判断力や技術力が欠けていたり。
 長距離を走った後のプレーの質に問題があったり…。


 特に失点シーンが象徴的だったと思うのですが、ああいった場面で寄せが甘くてもJ2の試合では問題にならないことも多くあります。
 実際、この試合でもお互い様ではありますが、守備の甘さから「危ない」と思うシーンは少なくなかったですけど、それをモノにしてチャンスにできたのは、両チームほんの一握りだったと思います。



 そういう意味でも、やっぱりJ2に慣れてはいけない。
 J2を勝ち抜くためにも、J2レベル以上のものを目標としていかなければいけないだろうなぁと改めて感じました。
 現在J2の順位表を見ると団子状態ではありますけど、あまり細かな順位や勝ち点は気にせず、さらなる上を目指してチームを作っていってほしいと思います。
 そうったことができてこないと、こういった試合で勝ちきる強さというのは、なかなか生まれてこないのではないかなぁと感じる試合でした。