日本GP優勝はバトン、ベッテルはチャンピオン決定

 決勝前のドライバーズパレードでは、観客による「上を向いてあるこう」の合唱が行われました。
 これは3月に発生した東日本大震災に際して、多くのドライバー、チームが日の丸やメッセージを掲げて、日本を応援してくれたことに対するお礼の意味がこもった企画でした。
 今回の日本GPでもバトンやトゥルーリが日の丸カラーのヘルメットにしてくれたり、ベッテルのヘルメットに日の丸で「絆」と書かれていたり、マクラーレンの予選ユニフォームが「必ず復活する」という意味で不死鳥のデザインだったり、ザウバーのマシンに日本語での言葉が書かれていたりと、それぞれに思いのこもった”支援”をしてくれました。
 本当にありがたいですね。


 母国GPとなった小林可夢偉は予選でみせてくれましたね。
 Q1では上位勢がオプションタイヤを温存した状況ではありましたが、可夢偉がオプションを使用してなんと全体のトップタイムを記録。
 そして、Q2でも素晴らしいタイムを叩きだし、久々のQ3進出。
 Q3では早めに出走してタイムを出さずにタイヤ温存策をとりました。
 同様にルノーの2台、シューマッハーも温存策をとり、この状況だとQ2の順位が適用され10番手スタートになるのかな…と思っていたのですが、なんと結果的に自己最高の7番手スタートに。
 「複数のマシンがタイムを出さなかった場合、タイムを出す意思のあったマシンが前の順位となる」というルールがあるそうで、他3台は予選の時間ぎりぎりにピットアウトし、そのまま走ってもタイム計測に間に合わなかったため「タイムの出す意思がない」と判断されたようで。
 この結果、可夢偉は7位になったとのことです。


 可夢偉にとっては素晴らしいおぜん立てとなったわけですが、決勝ではうまくは行かなかったですね…。
 まずスタートでアンチストールモードに入ってしまい、一気に順位を落としてしまいます。
 スタートはここまで失敗したことが無いと思えるほど、必ず上手くいっていたのに、まさかここに来てうまくいかないとは…。
 その後、SC導入のタイミングも悪く、予定外に最後のスティントを長びかせなければならず、結局13位でゴールに。


 少し気負いすぎた面もあったのでしょうか。
 マシントラブルもあって17番手スタートだったチームメイトが8位だったことを考えると、もっと上に行けたと思うのですが。
 ここまでタイヤ温存で成功してきたザウバーですが、今回に関しては可夢偉がオプション・オプションとつなげて攻めの姿勢をとってきました。
 しかし、結果的には温存策を維持したペレスが成功しており、やはり気持ちが空回りしてしまったのかなぁとも思います。



 上位争いではベッテルポールポジションを獲得。
 しかし、決勝では上手くタイヤをマネジメントしたバトンが非常に安定したタイムを出し続け、順位を逆転します。
 最後のピットストップ後にはアロンソにも先を行かれ、ベッテルは3位となってしまいました。


 それでもベッテルがチャンピオンを獲得したわけですが、こちらも出来ることなら優勝で決めてほしかったなぁと思ってしまいました。
 ベッテルを特別に応援しているわけではないですけど、最後はチャンピオンの強さを発揮してほしかったように思います。


 とはいえ、バトンの勝利は今期の鍵となっているタイヤマネジメントで制したものであり、それを日本で見れたという点では良かったのかもしれません。
 フェラーリもここにきてのまさかの2位でしたし、来季に向けてはこれで期待感も増したのかなと思います。



 相変わらず鈴鹿はサーキットとして素晴らしいレイアウトでしたし、そのサーキットをいかにF1ドライバーたちが攻略していくかを見れただけでも、とても面白かったですけどね。
 今期はピレリタイヤやDRSもあって、一筋縄ではいかないマシンといった印象もありますし。
 結果に関しては正直悔しい思いの方が強いですけど、ベッテルに関しても可夢偉に関しても今回はもう1つだっただけに、今後のレースで挽回することで真の評価を高めるチャンスでもあると前向きに考えたいところです。