野村証券出資会社テサン・キャピタルがHRT買収

 つい先日、野村証券ヒスパニア・レーシング・チーム(HRT)を買収すると報じられました。
 スペインのメディアが報じたもので、HRTは名前の示す通りスペイン系のチームですから、地元メディアとなります。


 HRTは昨年からF1に参戦した新興チーム。
 当初は下位カテゴリーの名門チームであるカンポスレーシングが参戦権を獲得していましたが、資金が集まらずスペインの実業家ホセ・ラモン・カラバンテが株式を獲得し、チーム目も変更となりました。
 しかし、カラバンテ自身も昨年途中からビジネス面でうまくいっておらず、資産を凍結され、先月土地売買の詐欺容疑で有罪判決を受けていました。
 そして、先週には代表のコリン・コレスもチームを離れると報じられ、同時期にレギュラードライバーのなレイン・カーティケヤンに変わってダニエル・リチャルドイギリスGPから参戦することが発表されました。
 チーム内に何かの変化が起こっていることは明白だったわけですが、まさかチーム売却に繋がるとまでは思ってもみませんでした。



 しかし、昨日になって、HRTは野村証券が出資するスペインの投資会社テサン・キャピタルにチームを売却したと発表しました。
 その予算の出所は野村ということになるのでしょうが、買収したのはテサン・キャピタルとなるようで、直接的な関係は少ないのでしょうね。
 どうせやるなら、ザウバーにでも出資してくれればいいのに…とも思っていたのですが、こういうことなら仕方がないですね(笑)


 まぁ、もともと野村が売却するにしても、自社を前面に出すことはないだろうし、あまり日本カラーも出てこないのだろうなぁとは思っていました。
 これまでにもマイルドセブンなど、冠スポンサーになって多額の資金を投資しても、日本とは大きく関わらない企業も多かったですしね。


 けれども、今回は間接的な資金援助という形になるのでしょうから、ますます日本とは関係のない形になるのかなと。 
 F1チーム買収と言ってもたった2400万ユーロ(約28億万円)だったようですし、この額でサン・キャピタルの名前が売れれば…といったところなのでしょうか?
 お金の出入りが大きいF1チームの運営で重要なのは、年間予算をいかに集めるかの方が重要だと思いますし、そこに関しては運営側が重要となります。
 経営陣に関しては大きく変わらないという報道もあるようですし、意外と見た目には大きな変化はないのかもしれませんね。
 単純にカラバンテがチームをどこかに投げ売らざるを得なかった…という状況だったのかもしれません。



 元トヨタF1買収を目指してみたり、ホンダ時代のスタッフが多かったりと、実は日本との関係も深いチームではあり(今でも震災の被災者目のメッセージをマシンに掲げてくれていたりもしますが)、今回の買収で日本との関係が深まる可能性も期待したのですが、チームが大きく向上しなければ例え日本人ドライバーが乗ったところで、名を上げるのは難しいでしょうしね。
 結局のところ、一番はそこなのかな?とも思います。
 チーム自体は少ない予算でヴァージンを脅かす存在となりつつあり、定位置だった最下位の位置から脱却しようと努力している部分は感じますし、好感は持てるとは思うのですが、如何せんまだまだ新興3チームと中断チームとの差は大きい物がありますからね…。