北九州戦、先制点後の失速の原因

 ただいまです。
 更新頻度だけがウリみたいなところがあるくせに、この大事な時期になにやってんだかという感じですね。
 申し訳ありません。


 諸々あって実家の木更津方面に帰って行ったわけですが、自分が応援しているということもあって意外と地元の友人や家族からジェフはどうなの?大丈夫なの?と心配する声を受けました。
 大きな興味を抱いているわけでもないんでしょうけど、心配してもらえるだけありがたいというか。
 地元のクラブということもあって気にしている部分もあるようですし、これが無関心にならないようにしなければいけないですね。
■立ち上りの勢いのまま先制
 ジェフは出場停止の山口のところに中後、1トップ孝太の下に工藤、谷澤、太田という布陣でした。
 試合前は山口の代役だと、工藤なのかなぁ…とか、考えていました。
 山口のカバーリング能力や運動量などを考えると、タイプ的に近いのは工藤でしょうし。


 江尻監督としては、相手は最下位の北九州だし、勝ちに行かなければいけない試合でもあった。
 そこで守備などには難があるけれども、展開力のある中後を起用したということですね。



 試合序盤は中後の良い部分が出ていたと思います。
 相変わらず美しいロングボールが、ピンポイントでサイドに展開されて行く。
 なんとなく海外リーグを見ているようでした。
 ロシアなどもそうですけどボランチの選手が細かく繋ぐのではなく、ロングボール一発で大きな展開を作り相手守備陣を振ることによって、そこがビルドアップの肝になることも多い。


 では、ジェフのように細かく繋ぐサッカーがダメかというとそうではなく、問題なのはその細かなパスによってどう相手を揺さぶり、どういったボール運びをするのかが見えていないことでしょう。
 「組織的に細かなパスワークでどう相手を攻略するのか」が作れていないので、特に北九州の守備が安定していなかった序盤は「中後の一発での揺さぶり」が機能していたんだと思います。



 今までになかったサイドへの速い展開で優位に試合を運んでいると、前半9分ボランチから左サイドへの流れから、工藤が縦に抜け出して受け、一度フリーのアレックスに戻すと、アレックスが高精度のクロス。
 これを谷澤がヘディングで合わせて先制します。
 やはりアレックスもサイドの開いた位置で受けられれば、良いプレーが出来るんでしょうけどね。
 どうしても中央に絞ってきてしまうため、その回数が少ないですね。
■得点後失速するジェフ
 前半早々に先制したジェフですが、前半15分あたりからは失速。
 逆に北九州にチャンスを作られることも増えていってしまいました。


 これは逆に中後の課題の部分が出てしまったのかなと思います。
 守備でタイトに付けないことが多く、ボランチのエリアで簡単に相手に前を向かれてしまう。
 そうなるとどうしても最終ラインは下がって受けなければいけないし、前の選手もそこのエリアのフォローに行かなければいけないのでプレスもかけづらい。
 相手の攻撃を予測してFWへのパスを止めるスクリーンプレーも出来ておらず、中盤の守備がスカスカな印象になっていってしまいました。


 まぁ、逆に言えば山口の守備能力が高いとも言えるのでしょうし、やはり山口が1人で守備バランスを保っていたとも言えるのでしょう。
 そのあたりはチーム全体の問題とも言えるし、中後としてもタイプの全く違う山口と比べてしまうのはちょっとかわいそうなのかもしれませんが。



 しかし、このあたりから攻撃の面でも中後の良さは出なくなってしまいました。
 立ち上がりの時間が過ぎてきてから、北九州も守備のポジションバランスは安定。
 それにより、いくら精度の高い一発を中後が持っていても、パスの出どころのスペースがなくなってしまいました。


 上でロシアリーグなどの話をましたけど、「ボランチのロングボールで展開」を作るにしても、上位チームはそれをどう作るのかという部分をチームとして作れています。
 サイドで2,3人タメを作ってからボランチに入れて、逆サイドのウイングは広く開いて受ける準備をしておくとか。
 そのウイングに入った後も素早くSBがオーバーラップして、厚みのある攻撃を作るとか。


 やはりいくら展開力のある中後を入れたとしても、それだけではそう簡単には上手くいかないんだなと改めて感じました。
 もちろん実力差があるから、相手を押し込むことはできるのだけれど、結局強引な攻撃ばかり。
 中後を使うのなら、中後に応じたサッカーを作っていかなければいけない。
 もちろんそれは守備においても、攻撃においても。
 あるいは誰か出ても自分達のサッカーが出来るように、チームの基本となるディシプリン(規律・約束事)を植え付けていかなければいけないんだと思います。
 そのあたりがこのチームの課題なんでしょうね。
■後半苦しむも何とか勝ち越し
 後半から徐々にジェフの選手達の動きが悪くなっていってしまいました。
 前半相手を押しこめていたのも、勇人など中盤の選手が切り替え素早く、どんどん前に走り込んでいたからだったわけですが、やはりそれを続けていくと消耗が激しい。
 しかも、追加点も奪えなかったですから、効率が悪く、結果的に動きが悪くなっていくのも当然の展開だったように思います。
 守備の方もますます厳しくなっていって、中盤前目のエリアのチェックも少しずつ遅れていってしまいました。



 停滞した状態が増える中、後半28分。
 北九州がポストから落とし、ポストから落とし…という展開でジェフを揺さぶり、後方から飛び出していった冨士がゴール。


 人数はしっかりといたはずなのですが、やはりくさびのパスへのスクリーンと、バイタルエリア前後の相手を“狩る”守備が緩すぎる。
 北九州は前回戦った時もポストプレーを有効に使って攻撃のリズムを作り上げていた印象があったのに、相手の注文通りそこでやられてしまった…という意味でも残念でした。



 その後はネットを投入し2トップにしてパワープレイで猛攻…と行きたかったのですが、実際には相手にもかなり危ないシーンを作らされていました。
 もうダメか…と思われた、後半ロスタイム。
 前線に放り込んだボールがこぼれたところ、勇人がペナルティエリア前で拾いそのままシュート。
 「ここしかない!」といった弾道で、見事にゴール。


 このシュートは、さすがでしたね。
 この日の勇人はFWのような位置取りをしていることが多かったのですが(札幌戦でもそんな感じでしたが)、その結果中後が中盤で孤立してしまっていた印象もありました。
 孤立するのが山口だったらそれでもいいとは思うのですが、この日は中後でしたから中盤は大丈夫?とも思っていました。
 その結果、工藤あたりの中盤前目の選手がバランスを考えていた印象もありましたし。
 ただ、最後はまたもスペシャルなゴールで勝利を導いてくれましたね。
■課題は攻撃の連動性
 北九州には失礼かもしれないですが、力関係ははっきりしていただけに、ジェフがどのように戦うのかが気になる試合でした。
 勝つには勝ちましたが、苦しんだ試合展開でしたね。


 前半のうちに先制点を取った後に失速するパターン。
 これは今期何度も見てきた展開ですね。
 1つにはもしかしたらメンタルの面もあるのかもしれません。
 「メンタル面の問題」と一言でいってもいろいろなケースがあると思うのですが、油断してしまうというか、満足してしまうといった意味で…ということでしょうか。
 けれども、それだけでもないような気がします。



 1点目の状況を考えると、ジェフがかなりハイテンションで試合に入っていって、北九州の準備の整う前に得点を奪った印象が強いシーンでした。
 あの勢いを90分持続するのは不可能だと思いますし、いきなりのハイテンションに北九州側は面を食らった部分があるのではないかと思います。
(もちろんスタートから攻めてくる可能性があるという研究はしていたと思うのですが、実際にそれを受けて見るまでは感覚的なものはわからないでしょうし。)


 …ということは、あの「立ち上がりの状況を続けること」が求められるのではなく、「あれだけの勢いがなくても点が取れなかったこと」が課題なのではないかとも思うわけです。
 そこで大切になってくるのが、やはりチームとしてのディシプリンだとか攻撃のオートマティズムではないかと思います。
 立ち上がりほどの勢いがない状況だとしても、やることさえはっきりしていれば次の一歩が踏み出せるはずだし、相手の守備も揺さぶることが出来る。
 そのあたりが足りないから、停滞する時間が増えていって結果的に勢いも落ちていくし、無駄な動きも増えていって選手達の疲労もかさんでしまう。



 例えば北九州のように、ポストが入った瞬間に中盤が後ろから拾いに行くとか(ジェフのようにただ単純に前に人数をかけて、常時前線で多くの人が待っているのではなく)。
 ウイングにボールが入ったタイミングで、SBがオーバラップをしかけるとか、中盤が斜めにフォローに行くとか。


 今期のジェフを見ていると、そういったチームとしての統一された攻撃のスイッチがなかなか見つからないように思います。
 だから攻めていても緩急がないというか、ハイテンションか疲れて停滞か…の2つに1つというか、相手のミス以外で効率よく綺麗に攻めることが出来ているな…と感じることが非常に少なく感じます。


 
 まぁ、ともかく勝ったのは良かったですけど、スッキリしない部分も残る試合だったように思います。
 スカパー!の実況の方は「形はともかく結果がほしい状況」といっていましたけど、形なく決まるゴール(勝利)なんて実際にはほとんどないと思いますしね。


 …といったところで、明日の更新は草津戦です。
 ちなみに、この文章を打っている段階では、結果は知っていますけど、試合はまだ見れていない状況だったりします。