もう一回り強くなれるか

 福岡との大一番で1-2の敗戦。
 悔しい試合でしたが、昇格争いはここからですね。 


 ジェフは練習中にアレックスが負傷したということで、左SBに坂本をまわし、右SBに和田を起用。
 天皇杯のスタメンから中後と村井を下げて、勇人と太田を戻した布陣となりました。
■良太のミドルシュートで先制
 序盤、福岡は守備陣のバランスが悪かった印象です。
 CBと中盤2人の関係が悪く、ぽっかりとスペースが出来ていました。
 そこにトップ下の谷澤が入っていくことで、チャンスを作るジェフ。


 守備バランスが悪いため前線からのプレスも機能しておらず、ジェフDFも簡単にフリーでボールを持てる状況でした。
 前半8分。
 ボールを持ったCB良太の前がぽっかりと空いてしまいます。
 そこから若干前進して、思い切ってシュート。
 これが見事に決まり、ジェフが先制します。



 その後も前線からの積極的なプレスで、ゲームを支配するジェフ。
 しかし、福岡が落ち気を取り戻すと、前半の中頃にはそのプレスをかいくぐられて中盤からパスを出され、決定的なシーンを2度作られてしまいます。
 前半24分には、中盤後方からのパスに末吉が飛び出してゴール右隅をかすめるシュート。
 前半27分には、カウンター気味の展開から城後が裏に飛び出して、ポストに当たるシュート。
 完全に相手の裏をとられてしまいましたが、相手の決定力に助けられた展開でした。


 とは言え、基本的にはジェフペース。
 この2回以外は福岡に攻撃すらさせてない状況でした。
■ネットを裏へ走らせチャンスメイク
 前半終盤にはジェフ後方から相手の裏を突くロングパスを出し、ネットが相手の裏を突いてチャンスを作るシーンが何度か作れていましたね。
 もともとスペースがあれば活きるタイプのFWですが、ここ数試合は好調なのかより走れるようになって、良いプレーが目立ちますね。


 チームとしてもビルドアップでのネットの使い方が、最近になってようやくわかってきたのかなぁと思います(笑)
 足元や頭を狙ったポストプレーよりも、ゴールに向かって走らせるボールを出すということ。
 そして、ネット自身がゴール前に入っていくというよりは、そのまま流れてゴール前にボールを出すといった感じですね。
 ネット自身がゴール前でシュートを狙うのではなく、むしろチャンスメイク。
(本人としてはゴール前でプレーしたいでしょうしチャンスメイクをするつもりもないのでしょうけど、わりと真面目なので結果的にそういった役割をこなしている感じなのかなと思います。)
 やはりネットは基本的に中盤で細かくボールを動かすより、ロングボールでの一発やカウンターサッカーに向いている選手なんだと思います。
 だから意外と倉田などのドリブラーが中盤にいる時よりも、シンプルなプレーをする選手達との方が相性がいい気もします。




 前半は良い流れではあったのですが、1点しか奪うことが出来ず。
 激しいプレスをベースに相手を押し込んでいたのですが、完全に相手を崩す展開は少なく、ジェフペースだったわりには決定機はかなり少なかったと思います。
 やはりこのあたりが課題の1つですね…。
■後半から押し込まれ耐え切れずに逆転負け
 後半に入って、試合の流れが一気に変わってしまいます。
 福岡が前掛りになり、ジェフは中盤のプレスも効かず、押される展開に。


 疲労の問題もあったのかもしれませんが、もしかしたらジェフは1点リードして精神的に受けに回ってしまったところがあるのかもしれませんね。
 あるいは、どちらにしても前半のあのペースでは90分持たなかったでしょうし、ペース配分も考えたのかもしれません。
 前半の良い状況ですらプレスを掻い潜られて決定的なチャンスを2度も作られてしまいましたから、あえて引いたといったところもあるのかなぁとも思うのですが。
(または、逆に前半の決定機2つによって、メンタル的に怖いイメージが残ってしまったのかもしれませんが。)



 一方の福岡は、初めから後半巻き返すプランだったのかもしれませんね。
 ジェフはここ数試合、試合途中から動きが止まる試合が多いですし。
 FWで久々に大久保をスタメン起用したのも、後半勝負という狙いがあったからではないかと。
 後半序盤の勢いは一度止まりが、13分に田中佑昌、21分に宮路、28分に岡本と選手を投入することで、またジェフを追い込んでいきます。


 福岡は前半にはなかった、裏に飛び出す展開が増えていき、ジェフのDFラインが下げられてしまいました。
 特にジェフの左DFと左SBの間の裏を付く攻撃が効果的で、そこをポイントにして攻撃を組み立てていた印象です。
 そこからサイドに展開してクロス…と、攻撃の狙いがしっかりと作られていました。



 後半38分。
 福岡のCKから一度中央で競ったボールが大外の田中に。
 ここが完全にフリーになってしまい、そのままシュートを放たれ、最後は良太に当たって同点ゴールを喫してしまいます。
 セットプレーでの失点ではありますが、守備に穴を空けてしまったのも残念ですし、そこまで押し込まれていたことも大きな問題だったと思います。


 続く、後半44分。
 ボールを持った中町が中盤左気味のエリアから、逆サイド前方に素晴らしい長いボールを供給し、最後は城後が左足に切り替えてゴール。
 福岡に2点目が生まれてしまいます。 


 ジェフもパワープレー気味に後半何度かチャンスを作りますが、確実な決定機とまではいかず。
 そのまま試合は1-2で終了。
 悔しい試合ではありましたが、相手との実力差で接戦を落としてしまったという印象が強かったように思います。
■ここからが本当の勝負
 3位争いの直接対決に敗れ、これで4位に降格してしまったジェフ。
 3位に上がった福岡は1試合消化試合が少ない状況。
 しかも、試合内容は先制してからの逆転負け。


 確かに厳しい状況ですし応援している方としても精神的に来るものがありますが、J1昇格のためにはどのチームも1つや2つ苦しい思いをしているはず。
 その壁を乗り越えることでさらに強いチームになれるかもしれませんし、ここからが本当の勝負ではないでしょうか。
 今までももちろん壁がなかったわけではないですが、それでも大きな問題はなくここまで来てしまいました。
 けれど、今回はそうではないわけで、もう1回りチームとして強くなっていかなければいけないのではないでしょうか。



 個人的にはこの試合でのジェフの動きは、これまでのジェフの試合の中でも悪い内容だったとは思いません。
 今あるものを十分に出し切れた試合だったのではないかと思います。
 ただ、だからこそ、それで負けてしまったのが悔しいわけですが…(笑)



 課題ははっきりしてきたんじゃないでしょうか。
 1つは前半のような良い流れで、追加点が奪いきれなかったこと。
 ハイプレスはしっかりと機能しており、高い位置でボールも奪えていたし、切り替えも素早く行えていたと思うけれど、そこからのカウンターがスムーズではない。
 あるいは遅攻でもネットを裏に走らせるというパターンは見えてきたけれど、そこから先の選手の連動した動きはまだ作れていない。
 先制したとはいえミドルシュートだったわけで、このあたりの攻撃面での崩し、得点を奪うための動きがまだまだですね。



 それともう1つはそのハイプレスが45分しか持たなかったこと。
 こちらはどう考えていくのか、少し難しいですね。
 前半からもう少しペースを考えていくのか…。
 けれども、それによって中途半端になってしまうのであれば、困りものですしね。


 あるいは、ハイプレッシャー状態が続かないことは初めから計算しておいて、後半のような戦い方でもある程度戦えるチームを作るか。
 確かにラインは低くなってしまった後半ですが、全く選手が動けていなかったわけではないですし。
 けれど、ミスでボールを失うシーンも多く、攻撃の際にも前の数人でしか攻め込んでいなかったですし、守備も結果的に耐えきれなかった。
 このあたりを改善していかなければいけないのかもしれません。



 …あれ?ハイプレッシャーが45分持たない。
 課題は攻撃面の崩し。
 これってどこかの代表チーム?
 いやでも、あの時の相手は強豪オランダだったわけですけど(笑)



 ともかく、ここからだと思います。
 個人的にはここ数試合でチームは良くなっていると思います。
 しかし、この試練を乗り切ることでここからもう一回り強くなることが、J1昇格において必要な要素なのではないでしょうか。
 まだまだ試合数は残されていますし、良いチームを作るために頑張っていかないといけませんね。