ジェフ経営情報'10その1 赤字の原因は「移籍金収入」大幅減?

 さて、今年もやってきました、Jリーグクラブの経営情報開示
 しかし、まさかジェフの09年度決算がここまでひどい数字になるとは思っていませんでしたので、事前にやろうとしていたこともそれどころではなくなってしまいました(笑)
 どうしてここまでジェフの経営状況が一気に悪化したのか。
 そして、今後のジェフはどうなるのか。
 そのあたりが大きなテーマとなりますね。



 まずは『営業収入』と『営業支出』と、その内訳に関して。



 08年度と比較すると、『営業支出』に関しては大きく変わっていないことがわかります。
 『人件費』、『人件費』を含む『事業費』、『一般管理費』それぞれが1年前から微減となっており、『営業支出』全体でも1億円ほどの減少となっています。


 一方、『営業収入』は大幅に減少しています。
 とはいえ、『広告料収入』、『入場者収入』はむしろ微増、『分配金』における収入も微減(これはチームの順位に関係するものだから仕方がない…とは言いたくないんですけどね)。
 大幅に収入が減少しているのは、『その他』ということになります。



 では、『その他』で大幅に減少したものは何なのか…という話になるのですが、昨年も話した通り「移籍金収入」ではないかと私は思います(残ったのは「グッズ売上」などでしょうか)。
 07年度は阿部や坂本の移籍金。
 08年度は山岸や水本、羽生、勇人…などの移籍金。
 そして、09年度は目立った選手の放出はなし。
 毎年これだけ『その他』の数字の波が激しいのも「移籍金収入」が『その他』に含まれるのであれば、納得できるのではないかと思います。



 09年度決算では『営業収入』から『営業支出』を差し引いた『営業利益』、及びそこから「営業外損益」を差し引いた『経常利益』の段階で、すでに3億5000万円以上もの赤字が出ています。
 08年度と単純比較すると、その赤字が出た原因は「移籍金収入」による収入が得られなかったことが、非常に大きいのではないでしょうか。



 もしそうなのであれば、ジェフの経営はかなり深刻な状況なのではないかと思います。
 今後も「移籍金収入」をあてにした経営活動をするということは決して望ましい状況ではないですし、そもそももう売れるような選手もあまりいないと思います(笑)
 移籍制度の変更もあって「移籍金収入」を得ることも以前ほど簡単ではなくなってしまいましたし、『その他』の収入を07,08年度並みに戻すのは容易ではないでしょう。


 他の主な収入を考えても、若干ではありますが『広告料収入』や『入場者収入』は例年より増えているくらいですし、フクアリのキャパシティの問題などを考えると『入場者収入』はこれ以上の伸びは難しい(減ることはあっても)のではないと思います。
 『広告料収入』に関しては親会社に頼んで…ということも出来るのかもしれませんが、あまり親会社に依存するのも経営的には良い傾向とは言えません。
 JR東日本にはすでに一昨年から昨年にかけてかなりのサポートを受けているはずですし、過去5年間の数字を見ても大幅な増減は見られないですから、『広告料収入』は大きく変わらないのではないかと思います。
(もしも経営が本当に末期になれば、赤字補填という形での増収はあり得るのかもしれませんが…。)


 そう考えていくと『総収入(営業収入)』のここからの大幅増は、極めて難しい状況になっているのではないかと思うのです。
(3億円以上のマイナスを盛り返さなければいけないわけで、“大幅増”が必要となってきます。)
 例えJ1に復帰しても「移籍金収入」が増えるとなるわけではありませんし、単純に「1年で復帰すればいい」というレベルの話ではないように思います。
 もちろんJ1に復帰することで09年度並の『営業収入』の維持は見込めるかもしれませんが、この数字を見ると例えJ1に昇格しても、経営状況がこのままである限り赤字からは脱せないのではないかと思います。
 そうなれば補強などはもちろん、有望選手の維持も難しくなってくるはずです。
 ですから、根本的な問題を解決するためにも、それ以前に大幅なコストカット、クラブとしての規模の縮小化が必要となるのではないでしょうか。




 追記、その1。
 …よーし!じゃあ見方を変えてみましょう。
 08年度だと水本の移籍金が約3億6000万円、山岸の移籍金が2億5000万円、勇人の移籍金が3億円、羽生の移籍金が7600万円。
 07年度だと阿部の移籍金は3億5000万円、坂本が1億1000万円。
(移籍金は報じられた金額。多少の誤差はあるでしょうが、移籍係数の計算法があっただけに現実と大きな差はないのかなぁと思います。)
 08年度の移籍金収入の合計は9億8600万円。
 07年度の移籍金収入合計は4億6000万円。


 それぞれを『その他』から差し引くと、08年度の『その他』が13億9400万円ですので4億800万円に、07年度の『その他』が9億3000万円ですので4億7000万円になります。
 もちろん他にもさまざまな影響などは考えられますし、強引な計算方法ではありますが、大きな「移籍金収入」がなかったはずの09年度の『その他』の金額4億2700万円と、かなり近い数字がでてくることになります。
 他に多くの「移籍金収入」が反映された項目が考えられないことから考えても、『その他』に「移籍収入」が計上された可能性は高いのではないかと思います。
(どの項目に割り振られたかはわからないにしたって、どこかに振り分けなければ粉飾決算になってしまうわけで。分割で支払われる可能性はあるのかなぁとも考えましたが、これだけ数字がほぼぴったりだと基本は一括なのかなと思います。)




 追記その2。
 09年のサポコミで、『営業収入』の内訳を三木社長が話していて、07年度の移籍金は『営業収入』全体の13%程度と説明されていましたね。
 実際に足を運んだのに、すっかり忘れていました(笑)
 『営業収入』31億円のうち13%だから、4億円ちょっとですか。
 その計算だと思ったよりは少ないですが、『営業収入』内に「移籍金収入」が含まれていることは紛れもない事実であり、『広告料収入』、『入場者収入』、『分配金』に含めるはずはないですから、『その他』に「移籍金収入」が計上されていたのはほぼ間違いないと思われます。




 もしかしたら続きは来週。