ジェフ、Jリーグ全36クラブで最大の赤字額

 今週月曜に発売されたエルゴラに、ジェフに関して「金銭的な理由から補強できない」という情報が出ていました。
 驚いたというよりは、やっぱりな…という印象です。
 平均観客動員数、試合数、広告料収入、Jリーグからの分配金などが減少し、移籍金収入もなく、実績のある選手を補強したことで総年俸も上昇したのではないかと思いますし。


 それでも少しくらい無理をして補強してJ1残留を確実にすべきという意見や、J1昇格に失敗するなんてことはありえないという考え方もサッカー的にはアリなのかもしれませんが、経営的に考えればそれは難しいですよね。
 会社を経営していくためにはリスクを考えた上での経営判断というものが極めて重要ですし、この不況を考えれば動けないのも仕方がないことではないでしょうか。
 戦力的に考えても「J2で飛び抜けている」とは言わないにしても、少なくともトップ3には入るのではないかと思います。
 あとは現場に頑張ってもらうしかないと言ったところではないでしょうか。



 しかし、それにしてもやはり冬のオフはどうだったのかなと私は思ってしまいます。
 その頃から言っていましたが、やはり戦力としてダブっている選手が多すぎるんじゃないかと。
 ポジションが被ってもずば抜けた選手を補強出来たのならば、また別ですが…。


 これだけ実績のある選手がいるとなると、現場としては仕方のない部分があるとは思うのですが、多くの選手を活かしきれていないと思いますしね。
 もちろん今期加入して活躍できない選手の中にも怪我をしている選手もいて不可抗力な部分もあると思いますが、それがなくても大きくチーム状況は変わらないのではないかと思いますし…。
 効果的ではない補強は経営の面の負担になることはもちろん、選手達にとっても幸せな状況ではないと思いますしね。


 やはり某代理店のセット売りで、断れなかった部分があるのでしょうか。
 考えてみれば一番の大物は、最後に入団発表となりましたしね…(笑)






 …と、ここまでが昨日までの感想でした。
 しかし、昨日09年度のJリーグクラブの経営情報が公開され、ここ数年好調だったジェフの経営が一気に傾いていることが明らかになりました。
 つい先日東スポがジェフの経営状況が深刻化していると報じたそうですが、事実だったということですね。


 昨年度の段階で少しずつ経営は厳しい状況にあるのかな?とは思っていましたが、まさかここまで酷い状況だとは…。
 経常損益で約3億6000万円の損失。
 最終的に09年度は約6億4000万円の赤字ということになったそうです。
 これはJ1、J2あわせた全36チームの中で最大の赤字額ということになります。



 一部で話題になっていたので取り上げますが、もし経営状況の悪化によって巻を放出したというのであればありえないことですよね。
 09年度の段階でここまでひどい数字が出ているということは、そもそも今期の予算を組む状況で経営状況がよくないことはわかっていたわけで、その上で復帰組を含めた冬の補強もしているわけで。
 それで夏に「お金もないので巻を放出しました」というのは、言い訳にもなっていないと思います。
 現場の状況を考えた上で放出したというのならまだしも。
 ただ、今回出た数字とサッカーダイジェストで巻が「移籍を積極的に考えてくれとクラブからは言われました」と言っていることを考えると、経営的な判断で放出した可能性も出てきたのかなと思います。
 少なくとも年俸の半分は、支払わなくて良い状況になったはずですし。




 私は「1年でJ1復帰」を約束することに対して、前向きにはとらえられないという意見を言ってきました。
 理由は様々あり「経験の浅い監督で1年での復帰という目標は不安が残り、過度なプレッシャーを与えることにもなる」、「急いでJ1に復帰しても11年にJ1で苦しむ可能性がある」、「クラブ全体としてJ2での経験がなく(少なく)苦戦する可能性が予想される」などを上げてきましたが、その中でももっとも不安だったのは「1年で復帰するために無理な投資を行い、それでもしも失敗したら後に何も残らなくなるのではないか」ということでした。
 もしも万が一にもJ1昇格を失敗したら、本当にそうなる可能性も出てきたような気がしますね。


 「もしも」だとか「万が一」は考えないというのは格好良くも見えるかもしれませんが、1つの会社を経営していく上でそれをやってしまうのはただのおバカさんであって。
 経営的にリスクを考える場合は、そのリスクがどれだけの損失を生むのか、そのリスクが発生する確率がどれくらいの確率なのかを想定し、掛け算をしてそのリスクを数値化し、それに基づいてどう対応していくかが基本となっています。
 そのあたりを考えた上で経営判断をしていかなければいけないわけですが…。



 これでともかくJ1に昇格しなければ後がなくなった…と言いたいところですが、さすがにこれだけの悪い決算が出るとさすがにJ1に復帰しても経営状況は好転しないのではないかと思ってしまいます。
 それに近年、経営的に失敗したクラブのケースを考えると「もともと体力のないクラブ」と「勝てば利益が出るだろうからどんどん投資してしまえ」と言って失敗したクラブの2パターンしかないのではないかと…。
 もちろんJ1に復帰した方が経営的には楽なのでしょうが、しっかりと経営面も考えた上でクラブを運営していかなければいけないと思います。
(この辺りが難しいところで、普通の企業なら経営的な成功=会社の成功となる部分が大きいと思うのですが、スポーツクラブの場合それに加えてチームの成績も考えていかなければいけないということですね。ようはチームの成績と経営面がそのまま直結しない場合もありえるということも考えながら、運営していかなければいけない…と。)



 …ということで、言いたいことは大筋で言ってしまった気もしますが、経営分析の詳細はまた後日。
 経営が悪化した原因は極めて単純なことだと思うのですが、問題はそれに対処できなかったこと、ということではないでしょうか。


 しかし、今回発表された数字を見るたびにヘコんでしまいますが、それをこういった形で知ることになったというのもなんだか寂しいなぁと思ってしまいます。
 確かにネガティブな話ではありますし、サポーターに公表すべきものでもないとは思うのですが、新フロントには風通しの良いクラブを期待していたんですけどね…。