この壁を越えていこう

 さて、試合後の巻の移籍セレモニーも“ジェフ”にとって極めて重要ではありますが、まずはその前に試合に集中したいですね。


 W杯中断を挟んでしまっているからそこまでの実感はないですが、ここ4試合で1勝2敗1分というのが現在のジェフの現状です(その1勝がスタメン巻の奮闘が目立った愛媛戦だったわけですが)。
 J1昇格を目指すジェフにおいては、厳しい状況であるということが言えると思います。



 結果はもちろんですが、その内容も芳しくなく。
 内容が悪くなければ「1勝すれば流れが変わる」と言えるのでしょうけど、現状ではそういった感じでもないのかなと。


 先日はバルササッカーを目指すのであればポジションバランスに問題があるのではとチーム全体の連携に関して話しましたが、選手個々に関しても気になる部分がありまして。
 バルササッカーをするのであれば、ピッチ上の1人1人がパスワークのセンスを問われることになるのではないでしょうか。
 ピッチ上の多くで小さな三角形を作って素早くパスをつないでいくには、個々のセンスも非常に重要になってくるはずです。
 単純にボールをしっかり止めて質の高いパスを出す…というだけでなく、相手選手の間にスッと入てパスを受けるセンスや、ボールを受けてから素早く次の選択肢を決めてそこに展開するセンスなどを、1人1人が持っていなければならない。
 そう考えると、戦術面だけでなく個々の能力に関して考えても、やはり極めて高度なサッカーであるということが言えるのではないかと思います。
 練習でもそのあたりをある程度向上することは出来るとは思うのですが、最終的に11人全員がそのレベルまで達することが出来るのかどうか。
 それとそういったサッカーをするための選手選択が出来ているのかどうか…。



 理想なのか現実なのか、江尻監督自身も悩んでいる部分はあるとは思うのですが、どういう形に落ち着くにせよ最後は本人がこの壁を破ってもう1つ前に進んでもらうしかないんだと思います。
 それが可能なのか、周りが我慢すれば成長していけるのかどうかに関しては、もう少し時間を見るしかない…ということなのでしょうか。


 ただ、その時間も無限にあるわけではなく。
 今年J1昇格に失敗すれば、周りがどう騒ごうとも、本人もフロントもけじめをつける方向に行くのではないでしょうか。
 それだけの補強費用もかかっているし、1年での昇格を約束したメンツというものも大人の世界にはあるわけで。


 そう考えると、出来る限り早くここからの一歩を踏み出してもらうことが理想となるはずです。
 現状では4月の後半あたりから、なかなかチームは大きな向上が見られない状況になっているのではないでしょうか。



 個人的には、監督にせよフロントせよ、ぜひともここから変わってほしいと思っています。
 世の中、何がターニングポイントになるかはわからない。
 もしかしたら今回の移籍に際し強く感じることができた巻のジェフへの愛情がチームに伝わって、どこかに小さな変化が生まれ、そこから大きくクラブが動き出していく可能性だってあるかもしれない。
(あの会見を見ても巻のジェフへの愛情を感じ取れなければ、それはそれで大きな問題だろうし。)
 そんなことを祈りながら、まずは今日の大分戦での内容の変化と結果に期待したいと思います。