江尻監督「クロスに対して入っていく選手が少ない」

 札幌戦後の江尻監督の記者会見について。

江尻篤彦監督
「それ以降は少しリズムをとりながら試合を進め、何回かチャンスもありましたが、クロスに対して一番危険なところに入っていく選手が少ないというのと、ゴールに向かう意欲、最後のシュートに思い切りもっていくというのが欠けている部分だと感じました。」(ジェフ公式サイト

 このあたりの分析に関しては概ね納得です。
 シュートの話に関しては私にはちょっとわからない部分もありますけどね。
 江尻監督は縦パスを強く意識づけるのと同じで、積極的なシュートに関しても同じように選手達に意識させてきた部分があるように感じます。
 「前への意識、積極的なプレーが日本人には欠けている」という定説なようなものを打破していきたいという思いからなのかもしれませんけど、その結果強引なプレーばかりになってしまう、あるいは選択肢が減ってしまうのであれば、一概にそれが正しいとも言えないようにも思います。
 札幌戦の場合、シュートまで持っていくようなチャンスがそもそも少なかったですし、数字上も16本打っており決してシュートへもっていく意識が足りなかったとは感じなかったのですが…。


 それよりも札幌戦で感じたのはクロスに対しての人数のかけ方だと思うのですが、これに関して考えてみると今に始まったことではなく、今年クロスからの展開でうまくいったシーンというのはほとんど言っていいほどなかったのではないでしょうか。
 そもそもとしてクロスからの形をチームとして強化してこなかったと思いますし、それが巻の苦戦の1つでもあったはずです。
 クロスと言っても単純にサイドに回してあげればいいだけではなく、クロスボールに対してどうやって選手が入っていくのか(中盤の選手があえて遅れて入ってくるとか、FWがオトリになるとか)、サイドへのボールの回し方や人数のかけ方も重要ですね。
 確かに札幌戦ではいつにも増してアーリークロスが多かったと思いますけど、そう簡単にクロスからの形というのも作れるものではないはずで、その準備をチームとして日頃から作れていたのかどうか…。
 


 また、クロス以外の形でも、中盤の選手が前線に顔を出せていない場面が多いと思います。
 江尻監督はコメントで「走る」ことを強調しており中盤の運動量は豊富なので一見オシムサッカーに近い感じにも思えてしまいますが、実際には中盤の選手は攻守のバランスをとるために走りまわっており、前へ飛び出していくようなリスクを冒すプレーというのはなかなか見られていないように思います。
 そのあたりも含めてバルササッカーに近い印象があるのですが、肝心の精密なパスワークというのは作れていない状況なので…。


 単純に前線にスペースがないことも大きな問題ではないかと思うのですけど、最終局面は前線に任せるという意識が強く働いてしまっているように感じます。
 実際、中盤の選手などがゴール前に顔出す形が減っていってしまったのは、シーズンが進むにつれ…といった感じだったと思いますし。
 前線だけで点を取れてしまうからこそそこに任せてしまい、それが許されてしまう環境だったために、状況は悪化していったということではないかと私は思います。
 特に札幌戦では、はっきりと中盤と前線が分断されているような感じも見受けられました。



 しかし、このあたりは組織的に作っていかなければいけない問題だと思うので、簡単に戻せるかどうか…。
 前線の選手に中盤が絡んでいけない問題は今期前半の終盤から見られた傾向であり、W杯期間中のキャンプで修正してほしかったところだと思うのですが。
 このあたりの攻撃全般に問題があったからこそ、水戸戦で敗戦を喫し愛媛戦、甲府戦で大きく戦い方を変えざるを得なかったのではないのでしょうか。
 ようするに札幌戦で0-3と大きく負け越してしまったために問題が明白になったけれども、その頃からチームとしての状況は決して良くなかったということではないかと思うのですが。


 ともかくこの一週間で、どれだけそのあたりの“攻撃の流れ”(人もボールも)が修正できるかが、重要になってきそうですね。