巻とフロントに関する報道に対して

 さて、今日は今回の騒動のもう一面となるクラブ編。
 日刊スポニチが巻に関しての記事を報じており、すでに読まれた方がほとんどではないかと思います。


 これらを100%鵜呑みにすることはできないし、特にオシム監督の話を持ってきたのは、話題作りというか話を膨らませるネタとして使った感が否めません。
 しかし、二紙も同時に似通った部分のある記事が出ていることを考えると、“何かはあった”と考える方が自然ではないでしょうか。
 事の大小や詳細に関してはわからないけれども、クラブ内で何か問題が起こってしまったのではないか…ということですね。



 07年末の主力流出後、社長が交代し一部では大きくフロントが改善されるのではないかと言われていたジェフですが、08年末にはJ1残留のために大きな貢献をしてくれた戸田や早川や根本などをたった半年間で放出。
 09年夏にはネット獲得を発表した後にミラー監督から江尻監督に交代、そして江尻監督の後ろ盾であった昼田さんをその直後に解任し、サポコミでは昼田さんは辞任であると虚偽報告。
 昨年末、最終節直後の深夜に下村や新居に契約満了通達をしたのもどうかと思うし(熱狂的な人気のあった新居の解雇は全日程終了後にしたかったということでしょうか)、今年複数年を契約を希望していたと言われる巻への単年契約…。
(巻は早い段階でフロントに不信感を抱いていた可能性もあるかもしれませんね。逆にフロントはこの時から契約満了の可能性を考えていた可能性があるのではないでしょうか。)
 やはりトップが入れ替わっても、問題は大きく変わらなかったということではないかと思います。


 今回の移籍も、スポンサーであるスポニチの単独での第一報
 早期のクラブ間合意(本人は最後までまだわからないと発言)。
 そして、上記に報じられている練習不参加やベンチ外と外堀から埋めていった印象もあり、もしかしたらある程度はクラブ主導で決まった移籍だったりして…。



 神戸TDによる練習への不参加通知(こちらは二紙報じていますし信憑性は高いのではないかと思いますが)や、三木社長などの指示によってベンチ外になったのであれば、それらは言うまでもなく論外だと思います。
(大柴のFW専門コーチや社長賞によるボーナスなど現フロントは幾度となく現場に介入してきた印象があるのだけど、その度にこの人達はオシム監督が指揮をとっていても口をはさんだのだろうか?と思ってしまう…。)
 気になるのはこの早い時期に戦力外を仄めかすようなコメントを、神戸TDがしてしまっていることではないでしょうか。
(注意としてマスコミも起訴問題などがあるので、「」内の内容に関しては慎重に取り扱うと言われていますね。)


 巻が全く戦力になっていなかったのであれば、ある程度は仕方がないと思えたかもしれません。
 しかし、いくらネットが出場停止だったとはいえ、戦力でない選手をあの大事な(2連敗していれば大惨事になっていた)愛媛戦でスタメンで使うわけはないし、実際その試合では得点こそなくとも全力で走り回りチームに多大なる貢献をしてくれたわけで。
 シーズン後半も戦力になる可能性は残されていた選手に対して、この時期に年末戦力外になる可能性を示唆するというのは巻であろうと誰であろうと単純にクラブとして有益なことではないと思うのです。
 ましてや、巻のようなクラブにおいての功労者に対して、結果的に恩をあだで返すようなことがあっていいのか。
 もちろん最終的に年末に契約を延長されない可能性は否定しませんし、それを自分の頭の中で考えておくことは問題ないと思います。
 しかし、現段階でフロントがそんなことを口にする必要があったとは思えません。
 これはマスコミ対策、サポーター対策とかではなく、意識の問題であるような気がします。
(なんだか一部で誤解されていましたけど、日刊が報じているのは来年以降の契約についてですよね。現時点での戦力外通告ではないわけで、ロシアへの移籍交渉に対して直接的な関係はないはずです。)




 札幌戦の完敗とこの巻の騒動で、このクラブはガタっと一気に崩れる可能性も出てきたんじゃないでしょうか。
 それだけの火種は今まで十分なほど内包してきたと思いますし、もしかしたらそれは成績面の問題だけ済まされないないような気がします。
 心配なのは移籍そのものではなく、その経緯に関してのフロントへの不信感や雰囲気の悪化です。
 シーズン中にそういった問題が大きくなってしまえば、当然チームにも影響を与えるのではないかと思うのです。


 もちろんそれでも私はジェフを追い続けますけど、札幌戦での酷い内容(0-3という結果以上に今期前半の課題が全く解消されていないというのだから…)と今回の巻の件。
 落胆するには十分な材料が整ってしまったと思います。
 怒りでも悲しみでもなく、落ち込むというか気持ちが萎えるというか。
 どちらかと言えばどうしてこんな状況になってしまったのか、悔しさすら感じています。
 本来は現場とフロント、一緒くたに考えるべきではないと思うのですが、どうにも無関係ではないように思うのですよね…。



 ちょっとクラブは甘え過ぎていたんじゃないかと思います。
 …と言ってもそれはここ2年ほど、ずっと思っていたことではあるし、ブログでもオフには言い続けていましたが。
 サポーターの熱気は高まり、J2に落ちても応援してくれる人たちがいる。
 JR東日本も多大なサポートをしてくれて、選手達も文句を言わない(そして、フロントに物を言えそうな数少ない選手であった巻は放出…。といっても巻は外部に不満を漏らしたりということはしなかったわけだけど)。
 その結果、どうにもぬるい部分がクラブのどこかにあるのではないかと思ってしまいます。
 もともとフロントにせよコーチングスタッフにせよ、まだまだ経験不足のところはあるのではないかと言われていましたが、それを差し引いても納得しきれない部分が多くあるように感じます。


 シーズン前半戦の終盤にも言っていたのですが、正直に言って現状維持ではクラブの将来に対して不安要素が多く大きな変化が必要なのではないか…と思います。
 それが戦術なのか(といっても貴重なオプションである巻はいなくなってしまうわけですが)、選手補強なのか(とはいえ小手先の補強ではどうにもならないと思うけど)、コーチングスタッフの追加や変更なのか(W杯も終わって空いている人もいるんじゃないでしょうか)、フロント人事なのか…。
 何が適切なのかは言い切れない部分があるけれども(現実的に出来るのはまず戦術の変更。次にコーチの補強あたりでしょうか)、しっかりと状況を見極めてここから挽回してほしいと思います。