小林可夢偉、素晴らしいレースペースで6位入賞!
多くのチームが本拠地を構えるイギリスGPと言うこともあって、ここでも各チーム大きなアップデートをしてきました。
注目はやはりブロウン・ディフューザー。
マクラーレンも今回テストしてきたわけですが、金曜日のみ使ってあきらめてしまいました。
エキゾーストから排出される気流をディフューザーに排出し空気の流れを加速させる(加えてダウンフォースを稼ぎ、リアタイヤ後ろの気流も改善させるとか)…というシステムなのだそうですが、排気量はアクセルのオンオフで大きく変わってしまうため不安定になる可能性もあるようです。
また、レッドブルはディフューザーのフロア上部に排気口を作りそこか穴を作って下部にも流しているようなのですが、他チームは直接下部に排気口を作っているようで、そのあたりの差が出ているのかもしれませんね。
それとレッドブルは先日、排気量を電子的に一定に保つシステムを使用しているのではないかと報じられました。
エンジンに負担がかかるため予選のQ3でしか使用していないといわれていますが、もしかしたらこのシステムによってブロウンディフューザーもうまく作動しているのかもしれませんね。
予選ではブロウン・ディフューザ―などの使用をあきらめたマクラーレンが苦戦。
ハミルトンはアロンソに先を行かれる4番手
バトンにいたっては14番手となってしまいます。
しかし、決勝では素晴らしい走りを見せ、ハミルトンが2位フィニッシュ。
バトンも4位にまでもっていきました。
このあたりには名門マクラーレンの意地というか、底力を感じました。
バトン4位の裏にはタイヤ戦略の成功がありました。
スタートで3位まで上がって行ったクビサのペースがなかなか上がらず、後続は軽い渋滞状態に。
そこで7番手を走行していたシューマッハーが10週目あたりでピットに入ると、多くのドライバーが続けてピットイン。
しかし、そこでバトンだけはコースに残って走行。
タイヤはまだ使える状況でしたから、これで一気に順位が上がっていきます。
バトンが良かったと言うよりは、他のチームの戦略に問題があったのかもしれませんね。
CSの解説陣によると、他ドライバーがピットに入ることによって自分達のドライバーを入れなくてはいけないと考えてしまうのは、理論的にはよくわからないけど心理的な問題ではないか…とのこと。
その中でマクラーレンだけは、冷静な判断をしたということですね。
優勝はウェバー。
ベッテルはスタート直後にハミルトンと接触し最下位まで落ちるも7位まで浮上。
この粘りの走行によるポイント獲得が今後のチャンピオンシップでどう出てくるか…。
3位にはロズベルグが入ってきました。
こちらも土曜日までは苦戦していたのですが、決勝では落ち着いた走りを見せていました。
フェラーリは2台で軽く絡むシーンもあり、アロンソがショートカットペナルティを受けるシーンもあり、散々な決勝に。
結局アロンソ14位、マッサは15位となってしまいました。
小林可夢偉は素晴らしいパフォーマンスを見せ、6位入賞を果たしました。
前回のバレンシアでは大胆なピット戦略もあって7位入賞となりましたが、今回のレースでは他チームと同じ戦略を取っての6位ということで、大きな価値のあるレースだと思います。
終盤は5位バリチェロにぴたりとつける走りを見せていましたし(ウィリアムズはマシンがとても良くなっていますしね)、レースペースが非常に良かったですね。
これまで速い日本人ドライバーはいたとしても、ここまで安定して速さが出せるドライバーというのはなかなかいなかったのではないでしょうか。
それとここ3レース、スタートも抜群ですね。
カナダではその勢いでウォールにヒットしてしまいましたけど、その経験をしっかりと活かして落ち着いた走りが出来ている印象です。
ここ2レースを見ていると、なんというか“ホンモノ感”が出てきました。
昨年のトヨタでの走りも良かったですけど、まだまだ荒削りな走行で「速さはあるけどまだこれからの選手」といった印象があったのですが、ここ半年で経験もしっかりと身につけ一皮向けてきましたね。
…ただ、だからこそ予選でもう少し速さを見せてほしいですね。
そこでデラ・ロサの前に出てくれれば、本当に言うことはない状況だと思います。
もちろんセッティングの違いなどがあるにせよ、ぜひとも頑張ってほしいと思います。