W杯への挑戦 ―オシム監督の思いも乗せて―

 本日いよいよW杯壮行試合となる日韓戦が行われます。
 対戦相手が因縁の韓国代表ということもあって怪我などの心配もありますが、W杯前に国内で壮行試合を行いたいという思惑はあるのでしょうし、このタイミングで日本に呼ばれて本気で戦ってくれる代表も少ないのでしょうから(W杯出場国だとそもそも来てくれるのかという問題もあるのかもしれません)、仕方のない部分もあったのかなと思います。
 ともかく、怪我のないことを祈りたいです。


 
 さて、現在の日本代表代表への私の思いについて…。
 正直、岡田監督就任直後はいい印象を持っていませんでした(イメージが良くないのは今も変わってない?)。
 「現在の日本代表は平均年齢が高すぎる」だとか(結局大きくは変わらなかったし)“俺流”発言だとか、オシム監督を応援していた者としては思わずムッとしてしまうようなコメントも多かったと思います。
 加えてジェフサポにとっては、巻の起用方法にも疑問を感じていました。
 特に08年はジェフにとっても厳しい状況でしたし、戦力として見ていないのであれ、招集してほしくない…と思うことも。
(ただ、W杯に矢野を連れていくことを考えても、今考えればまったくのノーチャンスでもなかったのかなと思いますが。)
 そもそもオシム監督の“強奪”やオシム監督後の監督選びにも疑問を感じる部分があり、日本サッカー協会への不信感も強かったですから、日本代表への不満は増すばかり。
 加えてオシム監督の無念さも思うと、いろいろと納得しきれない部分がありました。



 ただ、当のオシム監督は最近の日本代表のサッカーに関して、擁護する発言が増えています。
 先日のセルビア戦に関しても課題はあると言いつつ、悲観することはないということを話しています。
 しかし、これはもしかしたらオシム監督の本音ではないんじゃないでしょうか。
 昨年途中までのオシム監督は、日本代表のサッカーに厳しい評価をすることがありました。
 けれども、客観的に見ても今期行われた東アジア選手権セルビア戦よりも、昨年の方が良いサッカーが出来ていたはずです。


 にもかかわらず、現在の日本代表や岡田監督を評価しているのはなぜか。
 それは、自身の発言から日本代表にポジティブなイメージを与えたいからではないでしょうか。
 オシム監督は以前から日本代表が日本サッカーを引っ張っていく存在であるべきだという考えをもっています。
 実際問題として明確なビッククラブのいないJリーグでは、なかなかサッカーファン以外の世間の注目を集めることは難しい。
 加えて、世界レベルのサッカーと日本のサッカーが本気で戦う舞台も少ない。
 そのあたりもあって、W杯ではぜひとも日本国内が盛り上がり、日本代表を応援する環境を作るべきだと考えているのではないでしょうか。
 オシム監督は岡田監督への激しいバッシングが起こっていることを認識していますし(オシム監督自身も日本代表時代はかなりのプレッシャーを感じていたようですし)、それが過度なものになればサッカーの内容などは見ずに、責任の追及に走る傾向にあるこの国の現状も理解しているのでしょう。
 だからこそ、現在の日本代表と岡田監督を擁護しているのではないでしょうか。


 それだけ日本サッカーのことを思っているということ。
 外国人であるオシム監督がそこまで考えてくれているのかもしれないということを考えれば、やはり私も応援せざるを得ない…という気持ちになってくるわけです。



 もちろん、これが例えば賭け事だとしたら良い選択だとは思えません。
 結果も厳しいものになるかもしれない。
(ただ、Jリーグクラブだってここ数年はACLで結果を出せていないわけですから、それが現在の日本サッカーの実力なんじゃないかとも思うのですが。)
 内容も今年これまでの日本代表を見ると、どこまでできるのか。
 個人的には日本人らしいサッカーでどこまで世界と戦えるのかについて注目しているのですが(ドイツW杯ではそれすらも見られなかったわけですし)、その日本サッカーらしさもどこまで出せるかどうか…。
(そもそも結果が出なければ内容も否定されることが多いでしょうが…。)


 そうやって考えていくと、決して大きな期待はできないかもしれない。
 しかし、そもそも例えばJリーグのクラブを応援するのだって、勝つから応援するというわけでもないでしょう。
 クラブが弱いときだって応援するし、勝馬だとわかっているからといってそれに乗っているわけでもないはずで。


 もちろん不満な点はないわけではないし、直さなければいけない要素もたくさんあるはずです。
 けれども、初めから応援しない、あるいは代表には無関心であるというスタンスで、試合が終わってから「ほら見たことか」と批判するというのは、いわゆる“アンチ”がすることであって。
 ようするに、批判をするにしたってチームを応援した上でしなければ。
 応援している対象がうまくいかないからこそ、そういった意見は成り立つものだと思いますし。



 ということで、思いっきり(愛情のある)批判するためにも私は日本代表を応援します(笑)
 もちろん、その中でしっかりといいところも見えてくれば、言うことはないですね。
 特にW杯という舞台で、日本代表が日本人らしく戦えたとして、その中でどこが世界に通用して、どこが通用しないのか。
 そのあたりを中心に見ていきたいなと思います。


 オシム監督も言っていた“日本人らしいサッカー”をいかに作っていくのか…という過程も気になるところ。
(“日本人らしいサッカー”と言っても、どのようなサッカーなのか、細部までは明確にはなっていないはずですしね。)
 そういった意味で、W杯に向けた準備というのも非常に大切だと思いますし、そのチーム作りも含めて非常に楽しみにしています。


 その第一歩が今日の韓国戦で少しずつ見えてくれば…と思います。
 W杯に向け、良いスタートをきってほしいですね。