運動量豊富に走ることで攻撃が活性化

 さて、メディアはW杯一色ですが、J2はまだまだ続きます。
 W杯までどこか、W杯が開幕しても試合があったりして、なんだか気持ちの切り替えも難しいなぁ…とか思ったり。
 そういえば、これから(現在23日の25時過ぎ)CL決勝もあったりなんかします。
 現状に甘んじることなく少しずつチームを良くしていって、少しでもインテルバイエルン・ミュンヘンのレベルにまで、近づいていきたいですね。


■DFラインの交代で
 前節福岡戦のスタメンから、W杯予備登録メンバーに選ばれ出場ミリガンに変わって青木良太
 アレックスを一列前に戻して、谷澤を外し左SBで和田を起用と、DFラインが大きく変わりました。


 キックオフ前、良太に関してはとりあえず無難にプレーしてくれれば…と思っていました。
 現在のジェフの守備面での課題はリトリート時。
 特に高い位置でのプレスをかいくぐられた後のボックスの形成に、難があると感じていました。
 具体的に考えると、ボックス形成に移るスピードと、中盤のラインの位置やポジショニング、ウイングの守備意識の問題などでしょうか。
 相手はそのあたりを研究して、1ボランチの横やサイドを狙ってくる傾向にあります。
 それだけミリガンや茶野などCBが頑張っているとも言えるのでしょうけど、逆に捉えればサイドやボランチエリアの守備に課題があるとも見れるのではないかと。
 だから大きなミスさえなければ、良太なら大丈夫かなと思っていました。
 正直、リトリートの守備形成は課題だと思うのですが、J2のレベルもあってそこまで大きな問題になっていないといった印象ではないかと思います。



 しかし、やはり試合勘の問題は大きかったのかなぁと言った印象です。
 高木兄弟など相手攻撃陣にスピードがある選手が多いこともあって、最後の1歩が出ない感じなのかなと。
 良太だけの責任ではないと思いますが、DFラインが下がりがちだったように感じます。
 その結果、攻撃を受けると押される展開が増えていきます。
 1試合通じてプレスの方もこれまでの試合に比べて、うまくかかることが少なく今後の課題となりそうです。



 それに加えて攻撃面にも問題が大きく、なかなかリズムをつかめない時間帯が続きます。
 攻撃がうまく行かないから守備機会が増える。
 守備機会が増えるからラインも下がる傾向にある…そんな側面もあったのかなと思います。
■ショートパスをつなげないジェフ
 試合序盤からジェフはショートパスがつなげず、ロングボール一辺倒に。
 パスがうまくつないげないから、一本でネットに合わせるボールが増えるのですが、そこは土屋にことごとく潰されてしまいます。


 この試合、ボランチは中後ではなく久々に山口でスタートしますが、このあたりの影響でパスがつなげなかったのかなと。
 決して山口の問題ではなく、サポートの変化です。
 ここ数試合、工藤がボランチのエリアに下がってプレーする時間帯が増えた印象を受けていましいた。
 それがビルドアップの活性化を狙ったものなのか、中後の守備力を意識してのことなのかはわかりませんが、この試合の序盤では攻守にトップ下の位置を維持していました。


 この結果、DFラインの前でボールを散らせる選手がいなくなり、パスをつないでいくサッカーが難しくなったのかなぁと。
 東京VはジェフのDFライン4枚に対して、3人が前の中央気味に守る格好で、よりDFラインからのビルドアップを難しくしていたと思います。
 まぁ、単純に試合序盤は運動量の少なさも気になったところではありますが。
 しかし、相手は休みなし。
 こちらは先週お休みだったにもかかわらず序盤に運動量で負けてしまっていたように感じたのは、残念なところかなぁと感じていました。 
■先制点を浴び、目を覚ます
 前半29分に高木俊幸が見事なFKで先制。
 現在のボールだとFKではパワー系のシュートが有効なのかな?なんて思っていたのですが、左に巻く素晴らしいシュートでした。


 これを期にジェフが目を覚まします。
 中盤の運動量が増え、DFラインの位置も高くなった印象を受けます。
 少しずつではありますが、パスもつなようになっていきます。
 工藤が右サイドの低い位置などに顔を出しボールを受けることによって、リズムが出てきたのかなと思います。


 山口を起用して1ボランチ気味に戻そうとしたのも、このあたりの狙いなのかなと思います。
 工藤が低い位置にいると、当然ですが勇人がトップ下に1枚ということになります。
 勇人はウイングが前線に飛び出す意識が少ないこともあって、薄くなりがちな前線に顔を出す仕事が多い。
 そうすると、開幕の頃に見られたトップ下がサイドのフォローに行って、そこで数的優位を作るという攻撃パターンが見られなくなる。
 そのあたりのか全を狙った可能性もあるのかなと思います。
 


 ただ、動きは良くなったジェフですが、最後の部分では土屋が立ち塞がります。
 ネットのボールを受けるパターンの少なさもあって、最後のエリアでボールをロスとしあう展開が多かったですね。
 これまでの東京Vの試合を見れば土屋は外さなければいけないというのはわかるはずで、チームとしての対策が足りなかったんじゃないかなぁと感じてしまいました。
■後半途中は良い流れに
 先制点後、受けに回ってしまった東京Vですが、後半からは再びラインの高さを持ち直します。
 ジェフのプレスもうまくかからなかった結果、両チームともミドルエリアでのプレーが少なくなる展開に。


 なかなか波に乗れないジェフは、後半8分にネットに変えて青木孝太を投入。
 この交代がうまく機能しましたね。
 孝太が瞬発力を駆使して、前だけでなく中盤など多くのところに顔を出すことで、ボールが動くようになっていきます。
 加えて、相手の運動量が落ちてきたことも大きかったかなと思います。
 東京Vはこのあたりの時間帯から運動量が落ちてくる試合が多いようですね。
 若い選手が多いからなのでしょうか。


 ジェフはこのあたりから、攻撃時に工藤と山口の位置が入れ替わって、山口が飛び出していく展開が増えていきます。
 山口が中央サイド寄りを走ることで、サイドの動きも活性化され、工藤が後方でパスを出すことで、ビルドアップも活性化していく。
 はっきりした仕事分担をしたわけではないでしょうけど、このあたりの動きが良く中盤が活性化されて言った印象です。


 ただ、最後の攻撃は決め手に欠ける印象でした。
 倉田のドリブルも止められてしまいましたし、決定的なラストパス、クロスも出せない展開に。



 しかし、後半16分。
 工藤からの浮き球を孝太が競って、DFライン手前でフリーになっていた山口がダイレクトシュートを決め同点。
 難しいボールを良く決めてくれたとも思うのですが、一方でなぜあそこが簡単にフリーになってしまうのかな…とも感じたシーンでした。


 その後は再度東京Vも巻き返していき、ボールを持ちこまれる場面も。
 東京Vは主にジェフの右サイドからチャンスを作るも、クロスの精度などが低くゴールには至りません。
 攻撃が単発になりがちで、中盤のラインも下がってジェフに持たれる時間帯が増え、DFラインで守ってカウンターという時間帯が増えていきます。



 すると後半40分。
 工藤が右サイド低い位置で、孝太にクロス。
 これが富澤の頭、土屋の目の前を見事に超えて、孝太に入りゴール。
 先々週、プレーが良くなかったと言われた(私はそこまで悪いように見えなかったんだけど)工藤ですが、この試合ではしっかり2得点の起点となりました。
■課題は山ほど見つかるも…
 2-1で試合終了。
 内容に関しては、本当に厳しい試合だったと思います。
 先制点を奪われるまでは、パスもつなげず、ロングボールも跳ね返され、DFラインは下がり…。
 それ以降も現在のジェフ最大の武器であるプレスが機能せず…と課題の多い試合だったのではないでしょうか。
(良太の試合勘が戻ってくれば、良くなる要素もあるかもしれません。そこに関しては、もう少し時間をかけてみてあげるべきなんじゃないかと思いますけどね。)



 ただ、例えば前半、山口を起用したことで1ボランチにしトップ下を2枚にすることでサイドなどで厚みを作ろうとする…なんて狙いだったとすれば、それは停滞気味になっている攻撃を改善しようという意図を感じますし、うまくはいきませんでしたけど「どうにかしよう」という思い、工夫は伝わったのかなと思います。
 あるいは後半10分あたりからの中盤の活性化。
 孝太が前線で動き回って、山口と工藤あたりがポジションチェンジを繰り返すことで、ジェフのの運動量が増し、相手を翻弄することが出来たと思います。
 これまでは主に前の3人の突破力で相手を翻弄することが多かったと思うのですが、この試合の途中では(これまでのマラソン的なスタミナでもなく)運動量豊富に走ることで主導権を握れたのではないかと思います。
(もちろん相手が疲労によって足が止まりつつあったという部分は、差し引いて考えるべきなのでしょうが。)
 問題はそこからの決定的な攻撃、崩しが出来ていないことで、そこはまた別の大きな課題なのだと思います。
 この試合だとビルドアップも、ラストパスも、工藤に頼るような展開になってしまいましたしね。


 とはいえ、そのあたりをヒントに、今後チームとして改善していければ。
 改善しなければならない部分は山ほどあると思いますけど、まずは1つ1つ問題をクリアしていってほしいと思います。