『走りきる!』、その意味とは
2-0で勝利した鳥栖戦後、江尻監督は「相手以上に走ることが出来た」というようなことをコメント残しています。
実際そうなのでしょうけど、ただ、例えばオシム監督の頃というのは「スタミナで圧倒的に相手に勝った」印象よりも「その瞬間の運動量で相手に勝っていた」と思うのです。
もちろんスタミナも十分にあったチームではありましたけど、それ以上に車のエンジンでいえば走行距離ではなく回転数とでも言いましょうか、その場面場面での走りの量と質で相手を上回っていたのではないでしょうか。
羽生や林も90分間を走りきれるスタミナはなかったかもしれないけど、1分間あたりの動きの量は多かった。
その分、当時のジェフは後半途中にガクッと運動量が下がる時間帯だってありました(それもスタミナがなかったからというわけではなく、運動量が豊富だったからでしょうけど)。
だから、『走りきる!そして、その先へ』というスローガンを掲げた今年のジェフですけど、ただ『走る』、『走り勝つ』と一言でいっても、状況や内容によって捉え方は大きく変わってしまうのではないでしょうか。
鳥栖戦でのジェフは、明らかにスタミナで走り勝ったチームだったと思います。
そして、もしかしたら次の試合でも同じように勝てるかもしれません。
けれども、それで今後の試合に繋がるのか。
そして、それは本当にジェフの目指すべき「走り勝った勝利」と言えるのか。
私はスタミナで勝てた鳥栖戦より、もしかしたらスタミナだけでは勝てなかった徳島戦の方が、次の繋がる試合だったようにも思いましたし、そのあたりは冷静に見ていかなければいけないように感じています。
もちろんスタミナだって重要ですけどね。
さて、明日の対戦相手は草津。
草津は開幕から3戦全敗を記しており、Kリーグから日本に復帰した戸田も苦しい状況になっています。
ジェフとしては勝てる相手ですし、勝たなければいけない試合です。
決して自惚れなどではなく、それだけの投資も、犠牲も、約束もしてしまったのだから、それに応じた結果を出していかなければいけないはずです。
開幕3戦を見て感じたのは、戦術面の問題も多く見られましたが、気持ちの部分もいまいち伝わってこないということ。
選手達も頑張ってはいるのかもしれませんが、やはりどこかでJ2という舞台を油断している部分があるのではないかと感じてしまいます。
実際、J2はJ1に比べればレベルが低く、戦力だけを見ればやはりジェフは抜けているチームの1つだと思います。
しかし、それでも結果が出るか出ないかは別問題です。
私は今期に関しては「自分達はチャレンジャーなんだ」ではなく、「我々は当然のように勝ち進んでいかなければいけないんだ」という気持ちで、プライドを胸に戦っていかなければいけないと思っています。
いつまでもジャイアントキリングばかりを狙う意識ではなく、どんな相手だろうとどんな局面だろうと、コンスタントに戦える強さを身につけなければいけないのではないでしょうか。
過去の経緯からしてジェフはチャレンジャー意識がないと、どうにも100%まで気持ちが盛り上がっていかないところがあるのかなぁと感じています。
けれども、それではいつまでたっても真の意味での“勝者のメンタリティ”は、身についていかないのではないでしょうか。
今期は横綱相撲というか、プロとしての意識を強く持った上で、強いチームを作っていく必要性があるのではないかと思います。
現実問題として全試合チャレンジャーとしての気持ちを維持するのは難しいですし、今期のジェフはその全試合で結果を求めれるわけですからね。
それに選手によっては、いくら周りが「自分達はチャレンジャーなんだ」と吹きかけても、今期のこの状況ではそう受け止められない場合も出てくるでしょうし。
こういった意識を持つことはJ1に昇格した後も、チームにとって良い効果をもたらす可能性があるのではないかと思います。
ここ数年のジェフは非常に浮き沈みが激しいですが、それも1つの試合結果に一喜一憂せず、冷静に受け止められるメンタリティを持てれば、また状況は変わってくるのかもしれませんし。
もちろん、実際に横綱相撲をするに至るまでには、数々の課題を乗り越えなければいけません。
しかし、あくまでも気構えとして。
少しずつメンタル面の部分でも、変わっていかなければならないのではないかと思います。