江尻「勝ったことに関しては合格点」

江尻篤彦監督
「まず、どんな形であれ勝つということを今日のテーマに挙げていたので、勝ったことに関しては合格点です。また、キャンプでチームとしてやってきたことが徐々に表現できてきているので、あとはその精度、特にゴールに向かうところの精度を高めたいと思っています。ああいったサッカーを目指してやっていく以上は、ケガ人や累積でメンバーが変わった時でも同じ戦いができるようにということと、あとは今日は試合の流れというよりも選手を見たかったのであのように使いましたが、試合の点を取るための交代というのもこの後何試合か組んでいて、見ていきたいと思います。今日全体では運動量も多く攻守に渡って走ってくれたということで満足しています」(ジェフ公式サイト

 今年はキャンプからポジティブに考えることが1つの目標だったようなので、そういう意味では間違ってないのかも知れません。
 けれど、個人的にはこの試合、結果に関しては合格点とはいかないんじゃないかと思います。



 PK戦での勝利は、言うまでもなく天皇杯以外シーズン中にはありえないこと。
 昨日も言いましたけど、このコンセプトのサッカーをしていく限り、確実に得点・勝点を奪うことが何よりも一番の難題になってくるんじゃないかと思います。
 ボール支配率を高めるポゼッションサッカーを目指していけば、どうしても相手のスペースがなくなってくる傾向が出てくるかもしれない。
 スペースがなくなっていくと、ゴール前を自らの動きでこじ開けなければならず、得点を奪うことが難しくなってくる。
 そうなって来ると、今回のようなロースコアの試合が増えてくる。
 でも、それでは勝点は奪えないわけで、こういった試合でいかに相手を崩すか、相手から大量得点を奪うかが、今シーズンもっともジェフが苦労する部分になるのかもしれません。


 だから、あの試合で1点しか奪えず、90分では勝ち点1しか奪えなかったことは満足してはいけないはずです。
 相手はコンディションも100%の状況ではなかっただろうし、外国人選手も2人が不在で、澤の右SHも林の左SHも今までやったことのないポジションだったそうです。
 柏はオーソドックスなカウンターサッカーですから、メンバーによって出来栄えが大きく変わる可能性が高いはずです。
 そう考えると、「90分間で引き分けの末PK戦で勝った」というより、「力を抜いてきた相手(こちらもなのかも知れませんけど)に勝点3を取り損ねた」と考えるべきだと私は思います。



 もちろんポジティブな部分もあって、全体的な内容に関しては良かったとは思います。
 狙いとするショートパスでのつなぎ、前からのプレス、選手全体の運動量…。
 やりたいサッカーにかなり近づいているはずですし、このあたりは現段階では合格点なのかもしれません。
 しかし、一方で結果( 1得点しか奪えなかったことと、90分で見れば引き分けだったことと)に関しては満足すべき部分ではないでしょう。
 江尻監督は「ゴールに向かうところの精度」を課題にあげており私もそれは問題だとは思いますが、実際問題としてそこを短時間で向上させることはそう簡単ではないと思います。
 そう考えると、もう少し結果に関してはシビアに見ていくべきなんじゃないでしょうか。
 いくらポジティブな考え方を植え付けるといっても、何でもかんでも明るく考えるのは違うと思いますし、そのあたりはしっかりと分けて考えていかないといけないような気がします。
 今年は「いい試合はした。けれど勝ち点は逃した」では、いけないはずですからね。




 ということで、私としては岡本の考え方に納得です。

岡本昌弘選手
「試合を通しては自分たちのサッカーがだいぶできていた。だから、もうちょっとゴールが欲しいかなと思います。今日勝てたのはよかったけど、90分間で勝てるようにならないといけない。J2からJ1に上がるには引き分けじゃダメで、勝たないといけない」(J'sGOAL

 今年J1に昇格することを考えれば開幕から90分で勝っていかなければいけないし、そのためには得点をとっていかなければいけない。
 当り前のことだとけど、攻撃サッカーを目指すなら1試合1点じゃ駄目なはずだし、まだシーズンが開幕していないとはいえあまり満足してほしくないと思います。