補強ポイントを改めて考える

 GK,DF編MF編FW編と、改めて今シーズンの選手達を振り返ってきました。
 その理由の1つとして、補強ポイントをもう一度頭の中で整理しておきたいという部分がありました。
 


 補強に関してを考える上で、まずシーズン終盤の江尻監督のサッカーを思い返してみたいと思います。
 江尻監督のサッカーのポイントは、ボランチから縦にくさびのパスを出して、FWが落とし中盤の選手が前を向いてボールを受けることでしょう。


 このため、ボランチ2人にはテクニカルな選手を。
 2トップにはポストプレーをそれぞれ最低限の能力として要求しています。
 加えて、SHには個人技で突破できる選手よりも、中盤での仕事をこなせる選手を起用。
 SHが中央に絞ることで、ボランチが前を向いてFWにパスを出す動きをサポートすることと、FWが落としたボールを受ける役割を担うようになりました。


 このあたりの縦パスからポストプレー、それを中盤の選手が受けて前を向く…という一連の流れはある程度形になりつつあった部分だと思います。



 しかし、その後の相手を崩す展開が出来ていないこと。
 江尻監督は「中央でためてサイドに展開」と言っていますので、サイドでの崩しに関して。
 加えて、ボランチにボールが入るまでのボールの流れ。
 具体的に言えばDFラインでのビルドアップの問題や、攻撃の押し上げによるビルドアップのサポート。
 そして、一対一での守備の問題(特に気になるのはスピード不足)。
 この3つの問題に関しては、まだまだ“作り始め”といった印象でした。


 これらを解消するための補強を考えると。
1.ビルドアップも期待でき、一対一にも強いCB
 スピードの期待できるCBが理想でしょう。
2.中盤の仕事もこなすことができるスペシャルなラストパサー(SH)
 中盤の選手がいい状況でボールを持てても、最後の精度に課題がありました。加えて、中盤の仕事が出来るSHは谷澤、米倉、ボランチ兼任の工藤しかいません。
3.ビルドアップもこなせて、攻守に期待できるSB
 ビルドアップの問題、一対一での守備の改善に加え、中央でつないだ後にサイドライン際を勢い良くオーバーラップできるSBがいればサイド攻撃にも幅が増えてくるのではないかと。



 このあたりが補強ポイントだと考えていました。
 もちろんこれは09年度の戦力をある程度維持できた場合の話しです。
 しかし、下村と新居が契約満了に。
 これによって、ボランチセカンドストライカーも補強が必須となりました。


 確かにシーズン中もボランチに守備も出来てテクニカルな選手がいれば…といった印象はありました。
 中後と工藤のボランチは守備面でバランスを取れないケースが多く、上記の「一対一の守備の問題」はボランチの2人にも問題があったように思います。
(大分から神戸に移籍したエジミウソンは確かに理想のタイプではあったとは思います。ただ来年で34歳という年齢を考えると、来年は良くとも2年後3年後はどうか…。)
 また、セカンドストライカーにしても、よりポストや守備が期待できドリブルなども持った選手がいれば、プラス面も大きいとは思います。
(「この位置にラストパサーを」とも思っていましたが、攻撃時のスピードを考えるとSHにパサータイプを置く形ですから、FWにパサータイプは置きにくいのかもしれません。)


 そう考えると、下村、新居を放出してそれ以上の選手を補強しようという発想も理解できなくはありません。
 ただ、他に優先すべき補強ポイントがあったのではないか、と思ってしまいます。
 下村や新居以上の選手を獲得できるのかどうか、という不安もありますし。
 外国人選手なら可能かもしれませんが…。
 しかし、現在所属している選手達もまだ契約を残していたりするんじゃないんでしょうか。
 違約金、大丈夫なのかなぁと。


 
 この2人の放出によって補強の優先順位は大幅に変わって、同率一位でボランチとCB、3位にセカンドストライカー、4位ラストパサー、5位サイドバックといった感じなのかなと思います。
 上位の3ポジションは確実に補強したいところ。
 現実を考えると、残り2つは後回しになる可能性も高いのでしょうね…。


 それらの補強によって考えられるのは、先ほど話した一連の流れの向上。
 大幅なメジャーチェンジではなく、マイナーチェンジといったところでしょうか。
(新居に変わるFW、下村に変わるボランチと補強していけば、例えいい選手が取れたとしても大幅な戦力アップとはいかないかもしれないし。)
 …それにプラス、局面での守備の改善。
 これに関しては、どうしても手を加えなければいけない部分だったと思いますしね。
 


 ただ、その他の問題の解決に関しては若干の不安も残ります。
 特にサイド攻撃に関しての部分ですね。
 そこまで今オフに手が回るのかどうか。
 下村、新居を放出したことでより今できている部分のレベルアップを目指す気持ちもわかりますが、その分オフの仕事が増えたのも事実だと思いますから…。

 

 もちろん問題の解決方法は補強だけには限りません。
 ただ、若い選手が少ないだけに、選手の伸びシロは全体的に少ないのかもしれない。
 そうなってくると、いかに江尻監督が戦術面でチームを引き延ばすことが出来るのか…。
 J2降格などの状況も含めて大幅な補強とはいかないかもしれませんから、監督の引き出しの数も含めて、チームの総合力が問われることになるのかもしれません。