今シーズンの選手達を振り返る FW編
ネット・バイアーノ
シーズン途中から加入するも、チームのバタバタもあって活躍しきれない半年間でした。
バイアーノは前を向いてフリーでボールを持てれば、フィジカルもテクニックもあってボールをゴールまで持ち込める選手。
しかし、厳しいマークを受けると、なかなか前を向く形を自分で作れない傾向にあります。
例えばFC東京戦は相手のマークが甘かったので自分の良さを出すことが出来ましたが、厳しいマークにあった次節の大分戦ではゴール前のエリアにすらなかなか入っていけませんでした。
日本人DFの素早いチェックに苦しむ外国人FWは多く、例えばマリオ・ハースも来日当初は戸惑っていました。
しかし、ハースの場合は自分が活きるのではなく周りを活かすことによって、それを解決したように思います。
バイアーノは周りを活かすタイプではなく、ともかく得点を狙うタイプのFW。
ミラー監督の要求通りの選手だったと思われますが、ダブルポストを目指す江尻監督のサッカーではどうか…。
ゴールに背を向けてのポストプレーに関しては、空中戦でも足元でも決してうまいわけではないですからね。
とはいえ、一発のあるストライカーであることには変わりなく、うまく化けてくれればJ2では大活躍してくれる可能性もあるのかもしれません。
しかし、その場合にもバイアーノ頼りにならないことが、その後を考えると重要なのではないかと思います。
まぁ、その前に来季の契約もどうなっているのかわかりませんが。
深井正樹
今期は開幕からスタメンを獲得。
スピードのあるドリブルと細かなステップでのフェイントで、SHに突破力を求めるミラー監督の中では重要な選手となっていました。
しかし、守備時に戻ってこなかったり、中盤でのパス回しには課題があることを考えると、江尻監督体制では難しい立場になるかもしれません。
FWにもポストプレー能力を必須としていますから、前線での起用も難しい。
とはいえ、決定力のある数少ない選手ですから、スーパーサブとしては大いに期待できるはず。
来季は短い時間で結果を求められる役回りになるのかもしれません。
新居辰基
下村と並んで、驚きの解雇でした。
確かにミラー監督までの新居だったら、解雇もやむなしだったと思います。
よく「(新居にパスを出す形が作れず)チームが新居を活かせなかった」と評されてしまいますが、逆に言えば新居にはそれしかなかったともいえます。
DFラインの裏を突いてシュートに持っていく形は天下一品の選手。
しかし、それだけしかできないのであれば、高いレベルでは難しい。
周りが活かせなかったのも確かでしょうが、自分が活かしてもらうような状況を作れなかったのも確か。
その新居が一気に変わったのが江尻監督の就任。
戦える選手になって、守備もしっかりと行い(シーズン終盤はさぼっていた試合もあったけど)、ポストに入る意識も高くなりました。
新居がポストに入るから中盤も構成しやすくなるし、一度下がったところから裏を狙うようになったので、運動量も増えて相手の予測もつきにくくなりました。
一時期FW起用された谷澤もポストがとてもうまくなったし、このあたりは江尻監督の手腕と評価していいのではないでしょうか。
この変化は新居にとっても大きなものだと思ったし、ジェフのためにも本人のためにもぜひチームに残してほしいと思っていたのですが…。
巻誠一郎
今期も苦しいシーズンになってしまいました。
シーズン前半はSHを活かすためのオトリとしての役回りでした。
レイナウドや根本などを放出しチームはサイドからのクロスという展開を捨て、よりSHに得点させるサッカーになっていました。
江尻監督になってからもサイドを崩す展開は作れず、シーズントータルで巻の得意な“サイドからのクロス”といった展開がいったいいくつあったかなぁと。
先日紹介したアジア杯オーストラリア戦での得点シーンのような流れが、巻にとっては理想だと思うのですけど。
確かに個人で得点を奪える選手ではなくもう少し足下の技術も頑張ってほしいとは思いますが、それだけがサッカーでもありません。
巻は得点が奪えなくても守備やオトリになる動き、空中戦も含むポストプレーなどでチームに貢献できる選手。
精神的にも戦える選手ですから、目立ちはしませんけれど、重要な存在なはずです。
来季は巻が活きるような形になるのか、そうでないのか…。