来年の戦いはもう始まっている?

 先週、天皇杯でJ2のFC岐阜に敗れたジェフ。
 江尻監督も試合後に話している通り、J2降格決定直後でメンタル面に問題があったようです。


 今期の選手達は残留という結果こそ出ませんでしたが、万全とはいえないサポートの中で良く頑張ってくれたと思います。
 もちろん100%完璧だったかと言えばそうではないでしょうが、激しいプレッシャーの中、しっかり自分達の力は出し切ってくれたのではないでしょうか。
 だから、私は今期の残り試合に関しては、これ以上頑張ってくれとは言いづらいな…と思っていました。



 しかし、現実を見るとそうも言ってはいられないのかなと。
 まず、このままの成績が続けば江尻監督の辞任も考えられるかもしれません。
 某サッカー誌には「責任感ある江尻監督だからこそ、続投し「1年でJ1復帰」を果たそうとする可能性もある」というようなことを書かれていましたが、それは江尻監督が監督としての才能に自信を持てればこそ。
 自信がなければ「続投してもジェフに迷惑をかける」と考えるかもしれませんし、岐阜戦後も「このようなゲームをしていたら僕がやる資格はない」と話しています。
 もちろんこれは反省の念も込めて言っているのでしょうけど、まだ気持ちが固まっていないのは確かなのかなと思います。


 ここまでのところ江尻監督の成績はリーグ戦0勝7敗5分。
 それに天皇杯を足しても2勝8敗5分で、試合に勝てたのはJFLのHondaFC戦とJ2降格決定直後の大分戦のみ。
 江尻監督の続投がジェフにとっていいことなのかどうかは私にはわかりませんけど(まずはクラブの考える方向性次第ですから)、フロントは続投を第一に考えているのでしょうし、選択肢を減らさないという意味でも残り試合で結果がほしいところです。




 それと関連して、選手による監督への求心力の問題。
 始めは江尻監督の就任を喜んでいた選手達ですけど、今年のような成績不振等の理由でシーズン中に監督が交代するケースだと、新監督は選手に歓迎されることの方が多いと思います。
 監督が交代することで選手への責任は和らぐことになりますし、監督が変わってチームが大きく変わる可能性も期待するのでしょうし。
 しかし、ミラー監督も当初は選手に歓迎されていたものの、今期結果が出ないとそうではなくなってしまったように(解任後メディア等でミラー監督の練習法などを疑問視する選手の声も出ていましたし)、結果が出なければ新監督への求心力も初めだけで終わる場合があると思います。
 それに、降格も決まりどうしても選手達のモチベーションも下がってしまう可能性がある中で、監督の続投だけはいち早く社長によって宣言されてしまった。
 そういった行為に納得してくれる選手はいいのでしょうが…。



 そして、単純に選手の問題。
 フロントは「1年でJ1復帰」を約束する形で主力選手の維持を目指すのかもしれませんが、今期後半これだけ結果が出ないとなるとさすがに選手も不安になるのではないでしょうか。
 自分達の力不足を感じる選手もいるとは思いますが、明らかにこれまでのジェフは方向性が統一できておらずチームをうまくバックアップできてこなかったことを考えると、クラブに対して疑問を感じる選手も出てくるかもしれません。
 幸いにしてサポーターの努力と臨場感のあるフクアリによってスタジアムの雰囲気は選手達から高く評価され、新練習場とクラブハウスのウケは良いようですから、そういった環境面では優位に立てる部分はあると思います。
 しかし、肝心のチーム運営に関してはどうなのか。
 そういった疑問を払拭し、選手との交渉を優位に運ぶためにも、残り試合での勝利がほしいところではないでしょうか。



 ようするに、クラブとしては来年の戦いはもう始まっているということなのかもしれませんが、ただ、これらはあくまでもクラブ目線、フロント目線の話。
 選手達がモチベーションを上げ、メンタル面を回復できるかどうかは、また別問題となります。
 目標を失ってしまった状況で、どれだけ選手のモチベーションを上げられるのか。
 厳しい状況ですが、頑張ってほしいと思います。




 試合に関しては、見どころはたくさんあると思っています。
 江尻監督の目指すサッカーの先には、現在FC東京が掲げるムービングフットボールと大きく重なるところがあるはずです。
 今のジェフのサッカーはFC東京に比べて、運動量でも、動きの質でも、ボールの運び方の狙いに関しても、DFラインの押し上げでも、技術的な部分でも、まだまだ大きな差があるはずです。


 その中で今、自分達が何ができるのか。
 J1上位チームとの差はどこなのかを、はっきりさせるいい機会なのではないかと思います。



 そういった観点で考えると、願わくばFC東京も良い状況でフクアリに乗り込んできてくれればな…と思います。
 この思いは、前半の話しとはちょっとずれるところもあるように思うのですけどね(笑)


 ポイントは出場停止の梶山の代わりにボランチに入りそうな、あの選手だったりするんですかね…。