ジェフ経営情報09その3 気になる今後について

 その1その2に続いてその3。
 今回でラストとなります。
 まずは「財政状態」について。

 全体的に大きな変化はありません。
 ここでのポイントは、『資本金』に変化がなく、08年度中には「増資」が行われていないということでしょう。
 今年のサポコミで三木社長は新練習場への移転で増加することになる管理費などに対し「増資によって対応してく」ということをおっしゃっていましたが、「増資」は今期以降となりそうです。


 そうなると、「財政状態」の項目で気になるのは来年以降発表されるデータとなります。
 新練習場の管理費用も増すことになりますし、「増資」が行われるとなれば「財政状態」も大きな変化が出てくることになります。
 



 続いて「経営分析」の結果ですが、こちらに関しては『当期純利益』が赤字に転じた影響が目立つ結果になっています。

 やはり『当期純利益』が影響する『自己資本利益率』の不安定さが気になるところです。
 こちらもその他の数値は安定していますので、ここだけが心配ですね。




 最後に文字が小さくなってしまうけど、表全体を。
EXCELのファイルをアップロードするとしたらどこがいいんでしょうね。もし欲しい方がいらっしゃれば、提供したいのですが。)

 ジェフの経営状態の今後を考えていく上でも重要なのが、J1に残留できるのか、J2に降格してしまうのか…ということです。
 J2に降格したクラブのデータをすべてて見てみたのですが、降格したほぼ全クラブの『入場料収入』がJ1にいた頃に比べて半分近く減少しています。
(唯一『入場料収入』で大きな差が出てこなかったのがJ2を独走で優勝した広島でした。しかし、経営状況を全体的に見ると悪化しており、黒字から赤字に転じています。)


 『広告料収入』や『その他』に関しては親会社の「補填」の可能性があるため正確には読めませんが、J2に降格すればJリーグからの『配分金』も当然減ってしまいます。
 そして、降格しても『営業支出』の方は微減となっているクラブが多いですので、開示された情報から判断すると経営が厳しくなって黒字から赤字に転じる(あるいは赤字が増える)クラブがほとんどです。
(J1の頃から酷い状況で大赤字を出していたクラブなんかは、赤字が減っていたりもしますけど。)

 
 しかし、当たり前ですが親会社の「補填」ばかりに頼っていられるわけではありません。
 「補填」する金額が増えればいつかは親会社から見切られてしまうかもしれませんし、「補填」が増加される分早期に結果を求められる可能性も出てきます。
 思惑通りに結果が簡単に出せればいいのですが、そう単純にはいかないのがスポーツです。



 また、J2降格が不安なのは『営業収入』も『営業支出』もマイナス傾向になって、クラブ全体が小規模化してしまうことです。
 「収入」と「支出」が共に下がれば健全な経営はできますが、企業の規模は縮小することになり、一度規模が縮小するとそこからの拡大、復活は非常に難しくなってくる可能性があります。
 そうなれば、いい選手が獲得できない、いい人材(監督やスタッフなど)が呼び込めない、何かに投資したくても元手が足りない…という状況になり、J1への復帰なども困難になりJ2から抜け出せなくなる恐れがあります。
 そういった不安があるから、多くの降格クラブは「早期でのJ1復帰」を目標にしているのではないでしょうか。
 親会社から大きな「補填」を受けず健全な経営を行ってきたジェフだからこそ、J2に降格してからのクラブの小規模化が心配になってくることになります。
 


 そのように考えても、ともかくJ1に踏みとどまること。
 これがジェフの将来を決める重要な案件になるはずです。