昨年に続きライバルとの大切な試合を落としてしまった

 リアルにメンバーが足りません!
 …ということで、ここに来て怪我人が多数出始めてきたジェフ。
 その結果、ついにサブメンバーが5人しかいなくなってしまいました。
 

 これはやはりトップ選手を大幅に絞った代償でしょう。
 確かに怪我人は多いですけど、そこまで言うほど大勢ではない(ベンチ入りできるレベルの選手で5人ほどですか?)。
 浦和も怪我人多数でベンチメンバーが不足するんじゃないかという話しがありましたけど、たぶん怪我人の数は浦和の方がよっぽど多いはずです。
 それでも何とかまわしているわけですからね。
(もちろん大元の選手層の差も激しいですけど。)


 来年からはJリーグ全体が25人枠になります。
 まるでそのテストをしているかのようにも見えるジェフですが、早くもシーズン中盤にピンチとなった模様です(笑)
 

 今はメンバーが不足していることに関して、そこまで大きな問題が出ているようには感じません。
 けれど、これから夏にかけて徐々に主力選手達が疲労してくれば、少しずつこの問題が効いてくる可能性もあるのかもしれませんね。
 うまく今怪我をしているメンバーが復帰してきてくれればいいのですが…。


■研究されたサイドアタック
 試合序盤のジェフは、いつもどおりり右SHの深井、左SHの谷澤を中心に、攻撃していこうという狙いが感じられました。
 しかし、それに対し大宮はしっかりと研究してきましたね。
 まず、ジェフのSHにボールが入りそうになると、すぐにSBがチェックに行き、タッチライン際にSHを追い込んでいきました。
 そこで時間を作って、今度は中盤の選手とSBでジェフのSHを挟む形に。


 SHがボールを持ったら必ず2人以上がマークに付く。
 こうした単純なサイド攻撃潰しに、ジェフの攻撃陣は大きく戸惑ってしまいました。
 SHに2人以上のマークに来られたときに、対策がない。
 次の攻撃の形を持っていない。
 …これは昨年から見られた傾向ですね。


 縦に行けてもそこまで高質なクロスを持っている2人ではないですし、SH以外では攻撃がなかなか作れていないのが実情です。
 和田の攻撃参加も深井が中に入って前のスペースをあけてることによって初めて実行できるわけですし、それによってビルドアップの大きな手助けにも繋がっていたはずなのですが…。


■中央でも形は作れず
 サイドがダメなら中央がもう少し頑張ってほしかったのですが、そこでもうまく形は作れず…。
 巻も相手CBに苦戦していたところがありますし(直接対決は少なかったですけどマトはいい選手ですねぇ。高さもあるしビルドアップ能力もある…)、新居も下がってボールを受ける努力は感じるのですが、下がって受けた後の判断スピードが非常に遅い。
 ボールを受けてから数秒考えてパスを出すものだから、そこで攻撃のリズムが止まってしまっていました。

 
 ボランチの工藤も頑張って前線に顔を出していたのですが、効果的な動きとまでは行きませんでしたね。
 やはり工藤は1人で何かをするタイプではないですから、周りが連動して動いていかないと…。
 相方の下村も今日はちょっと疲れていたのかなぁ…と。
 昨年も一定期間は良かったし、今年も革変終了なのでしょうか…。
 ただ、途中からはあれだけ広大なエリアを走らさせては…といった感じでしたけど。


■崩されたサイドのディフェンス
 守備面に関して。
 序盤は福元を中心にしっかりと守れていたと思います。
 福元は対人守備も強くて、危機察知能力も高く、危険だと感じたところへの一歩目の出だしも速い選手ですね。
 カバーリング能力も高く守備が広いから、ボスナーも安心して前にいける守備が出来ているんじゃないでしょうか。
 これによってDFラインも高い位置をキープでき、中盤より前の守備も機能していました。



 しかし、それも前半の途中まで。
 徐々に全体のラインが下がっていってしまいました。
 1つは全体の運動量が落ちてしまったこと。
 徐々に足が止まってきて、大宮の速い展開についていけなくなってしまいました。


 それともう1つはサイドの守備。
 相変わらずSBが絞って中央へのフォローの意識が強い守り方をしているのだけれど、その外の守備に誰が行くのかはっきりしない。
 かといって人数をかけた中の守備が強固になって、相手の攻撃を跳ね返せていると言うとそうでもない。
 

 前節の名古屋せんなどではSHの攻撃力が目立っていたジェフですが、今回の試合に関しては逆にSHの悪い部分が出てしまったように思います。
 深井も谷澤も攻撃的な選手で攻撃を作りだす上で欠かせない選手になっていますが、一方でどうしてもタイプ的に守備に関しては課題も多い。
 戻りが遅れたり、頑張って戻ってきても効果的な守備は出来ていないことが多いように思います。



 前半37分も相手にサイドを突かれた形から。
 相手選手が中盤の左よりでボールを持つと、右SHの藤本が中に入ってきてボールを受け、右サイドに展開。
 藤本の空けたスペースに、右SBの塚本がオーバーラップしてきてどフリーでボールを受ける。
 その後、また左サイドに大きく展開。
 ジェフの守備は逆サイドのSBは絞るのが基本だから、サイドチェンジされて簡単に左サイドの深い位置までボールを入れられてしまいました。
 この時点で万事休す。
 相手左SHのパクがフリーでクロスをあげ、中の藤田がポスト、石原がシュートを放ち、ポストに弾かれたところを最後は藤田が決めました。


 どうもこのシーン、録画した物で見直してみると、谷澤は攻撃の流れからそのまま守備時も左サイドの方にいたようですね。
 しかし、右サイドのエリアは不在のまま。
 それでは塚本はフリーになって当然ですね。
 左ボランチの下村は藤本を見なければいけなかったわけですし。
 新居もちょこっと中盤に下がっては来ていましたけど…。


 ミラー監督は「守備時はポジションを守れ」というのだけれど、攻撃時は「SHにカットインしろ」という。
 そうなれば当然、厳しい状態になってしまいます。
 やはりそれらの矛盾を解決するには、縦横無尽に走り回って守備にも頑張るミシェウのようなタイプの選手が必要不可欠なんじゃないかと思うのだけれど…怪我もありますしね。


■後半は何も出来ずに試合終了
 後半、ジェフは両SHの位置を変えて、右に右利きの谷澤、左に左利きの深井を入れました。
 SHが中に切り込めないと見て、縦へ突破しそこからクロス…といった展開を期待したのでしょう。
 しかし、もうそういった小手先レベルで良くなるような状態ではありませんでしたね。
 運動量はますます落ち、選手達は突っ立っている時間帯が長くなってしまいました。


 後半は本当に何も出来なかった、といった感じ。
 相手の攻撃力にも助けられた部分が多く、「よく二失点で済んだなぁ」といった印象でした。


 その二失点目は相手のクイックスタートから。
 ジェフの選手達はファールを与えた瞬間にピタッと足が止まってしまい、裏に抜け出していた藤田への反応が送れ得点を奪われてしまいました。


■好調を維持できず惨敗
 昨年に続いてまたも大切な試合を落としてしまいました。
 上位の名古屋に勝って、ライバルの大宮に負ける…。
 これによってライバルチームに勝点3を与え、自らの首を占めてしまうことになるわけです。
 昨年もそうやってライバルに勝点をプレゼントすることで、シーズン終盤まで苦労してしまったわけですが、結果的にその経験を活かせてなかったということになってしまいましたね。
(昨年もナビスコ準決勝にフルメンバーで臨んで、その後の東京V戦、札幌戦を落としてしまったことなどがありましたし。)


 前節はコンディションの良さで名古屋を上回ったのが最大の勝因だと思うのですが、今節は逆にコンディションの悪さが非常に目立ってしまいました。
 これが一番の敗因ではないでしょうか。


 また、もう1つ気になったのは、相手にジェフの攻撃を研究された時の戦術的な弱さ。
 細かく言えば、谷澤、深井のカットインを封じられた時の次の手。
 それがまったく感じられなかったことが、非常に残念です。



 結局ジェフは攻撃面ではサイドで数的不利を作られ、守備面ではサイドで簡単にフリーを作らせてしまいました。
 その分、中央で勝てていたわけでもないのですから、それは負けて当然でしょう。


 冒頭でメンバー不足の話しをしましたけれども、それはこの試合に関しては直接の敗因ではないと思います。
 「選手の疲労」は確かに感じましたが、まだ中断明けから2試合目なのですからね。
 それで「連戦による疲労」だとか言っていたら、いくら選手がいても足りないでしょう。
 個別に見ると確かにベンチにミシェウあたりがいてくれれば…とは思いましたけど、あれだけ酷い内容では途中交代で流れを変えるのはほぼ不可能だと思いますしね。



 ともかく、大事な試合を逃してしまったこと。
 それが非常に残念です。
 せっかくいい内容で名古屋相手に勝てたというのに、これではあの試合も無駄になってしまいます。
 やはりコンディションを保つのがうまくないのかなぁ…と思ってしまいますね。
 しかし、下手ならば下手なりに名古屋戦ではなく、この大事な試合にコンディションのピークを持ってきて欲しかったところなのですが…。 



 あれだけ誰が見ても悪い内容を見た後だと、無理にでもいいところを探したいところです。
 強いて上げるとすれば、途中から出場した益山と米倉。
 彼らは運動量も豊富で、しっかりと戦えていたんじゃないでしょうか。
 コンディションの問題とメンタルの問題は切り離せない部分があると思うので仕方がないのかもしれませんが、この試合ではいまいち選手達に“戦う姿勢”が感じられませんでした。
 その点、二人は頑張っていたと思います。


 もっとも2人ともある程度は期待できる選手だと思っていたので、そこまでの驚きはなかったですけどね。
 たぶん2人が凄く良く見えたのも、他の選手が酷すぎたからではないでしょうか。
 それほどまでに酷い出来だったと思います。



 まぁ、兎にも角にも、次の試合に向けてコンディションを調整し直して欲しいところです。
 順位が近い相手との“大切な試合”は、これからまだ続くわけですからね…。