日本代表にオシム監督が期待するもの


―1年前の欧州選手権はスペイン、今季の欧州チャンピオンズリーグバルセロナ(スペイン)が見事なパスサッカーで優勝しました。
「それが今の流行で、私の望むサッカーだった。日本人選手に向くプレースタイルだと思う。日本人は非常に機敏で、とてもアグレッシブだ。ボールタッチも多く、個人技で良い場面を作り出せる。
しかし、パスサッカーの完成には練習しなければならない。バルセロナだって突然、あのようなサッカーを覚えたわけではない。年月をかけてあのサッカーをやるためのトレーニングをし、思考を植えつけてきたのだ。彼らは自らの道を進みながら、良い仕事をしている。なぜ日本代表が『東アジアのバルセロナ』になれそうにないと言うのかね?毎日トレーニングして、連携を高めていくのだ」
 朝日新聞オシム監督のインタビューが掲載されていますので、ご紹介を。
 『東アジアのバルセロナ』。
 少なくともオシム監督は日本代表でそういったサッカーを目差していたのかもしれませんね。
 バルセロナそのままをコピーするのは不可能でしょうが、それに近いサッカーということ。
 しかし、ああいった速いパスサッカーをめざすためには、練習量と時間が必要だったと言うことでしょうか。




―決定力不足が話題になります。
「現在の世界の流行は前線に身長の高い選手がいることだ。小さな選手だけでは世界を驚かすのは難しいと思う。相手から簡単にコントロールされてしまう。高さでも1対1でも。現在はどの1対1の局面も、フィジカル勝負に耐えられなければならない。例えば、67キロの玉田に対してイングランド代表DFテリーは90キロ。1対1の戦い方は学べるが、そうそう単純なものではない。いくら勇敢だったとしても、駄目なものは駄目なのだよ。小さなトヨタの車を運転して市電にぶつかったらどうなるかは目に見えているだろう」
 やはり少なくともオシム監督は、ちびっこFW達だけではここから先は厳しいと考えているのではないでしょうか。
 ただし、一方で「決定力は難しかった。巻も矢野も高原も期待していたほどのプレーができなかった」 とも話していますので、高さのあるストライカーの育成が重要であると言うことなのかもしれません。
 日刊スポーツのインタビューでは「決定力は日本だけ出なく、誰もがその問題と闘っている。決定力のあるFWは長い時間をかけて育成し、セクションをしていくものだ」と話していますしね。



―日本を離れて半年になりました。
「日本は気にしているよ。なぜなら、私は日本で働いていたのだから。ストレスと重圧のために健康を犠牲にした。つまり、自分の健康を日本にささげた。だが、私が倒れたことで日本に罪はない。私は全試合においてストレスやプレッシャーを自分にかけ過ぎた。ジェフ(千葉)の試合においても、代表の試合においても。私は胸にペースメーカーを埋めているが、いつも『これは日本の思い出の品だ』と言っているんだ。もしペースメーカーにメード・イン・ジャパンと書いてあったら最高だがね」
 「自分の体を日本にささげた」と言いつつ、最後はオシム監督らしいジョークでしめていますね。
 本当にオシム監督に感謝しなければいけないと思います。
 特にジェフでは見事に成功を収めたのですから。
 



 日刊スポーツの誌面にも一面を割いてオシム監督のインタビューが掲載されていましたし、W杯決定直後にJFAオシム監督のコメントが送られてきたという話しも話題になっていました。
 あちらでは旧ユーゴスラビア諸国に関してのロングインタビューも受けていたようですし、「オシムの言葉」の影響力というか話題性は未だに健在のようですね。


 しかし、このままコメンテーターの仕事をしていくんでしょうか。
 現場が好きなオシム監督ですから、プロの監督に限らずいつか現場に戻ることが出来たらなぁ…とつい思ってしまうのですが。
 監督業に関しては以前、「プレッシャーがきつすぎる」と話していましたから、脳梗塞という病気のことも考えれば難しいのかもしれません。
 しかし、若年層のコーチなどなら、不可能ではないのではないかとも思うんですけどね。
 まぁ、ご本人の体調次第ですから外野から細かいことは言えませんけれども、いつかまた芝生の上でオシム監督を見てみたいなぁなんて思ってしまうのです。