米倉への高まる期待と現在の課題

 今年に入ってからの米倉のプレーには、ますます可能性を感じます。
 何よりもまずフィジカルコンタクトが非常に強い。
 もともとその部分には定評のあった米倉ですけど、今期は体感がより強くなって体勢が悪くない状況以外ではほとんどの場面で相手に負けていないような印象すらあります。
 フィジカルコンタクトの部分では、J1でも上位クラスといっていいのかもしれません。
(ただし、今期はサイドで使われることが多いので、その部分は差し引いて考えないといけないのかもしれませんが。)


 体幹が強くなり体がぶれなくなったから、ミドルシュートもより正確になりました。
 特に右SHの位置から切り込んでの左足でのミドルは、一見の価値があると思います。
 体も強くジャンプ力もあるも期待できるから、ゴール前への飛び出しも効果的になってきています。
 運動量も相変わらず豊富。
 スタミナに関してはもう少し頑張ってほしいところですけどね。
 試合出場数が少ないところが響いているのかもしれませんから、仕方のないところもあるのかもしれませんが…。




 成長した部分がある一方で、気になるのが判断力などの細かなプレーの部分。
 今の米倉は他の部分が良くなっている分、そのあたりの課題が目立ってしまっているかなぁと。
 ボールを持った後の判断力と判断スピードだとか、オフザボールでの周りへのサポートの質、周りを活かすプレーやプレー中の視野の問題…。
 その結果、強靭なフィジカルを駆使してボールを奪う回数は多いのだけれど、逆に奪われる場面も増えてきてしまっています。
 このあたりは、2年前からそれほど成長していないのかなぁと感じてしまいました。
 

 見方にもよるのでしょうが、米倉には中盤のパサーとして育って欲しいと思っています。
 キレのあるドリブルがあるタイプではなく、非凡なパスセンスやミドルシュートなどを持ち守備能力も高い選手ですから、その良さを活かすにはパサータイプのMFが一番ではないかと思います(細かなポジションは置いておくとして)。
 そして、優れたパサーになるためには、判断力や周りをお膳立てするプレー、ピッチ全体・ゲーム全体を把握する能力が必要不可欠でしょう。
 ようするに、もっと『サッカーを知っている選手』にならなければいけない。



 米倉は本来クレバーな選手だと思います。
 そういった、細かな気配りも出来た選手ではないかと。
 だからこそ、フィジカルの部分が育って喜ばしいと思う反面、そういった部分では「あれ?」と思ってしまうところがあります。
 今のジェフにはそういった賢いプレーを期待できる出来る選手が少なく、補強の傾向などを見てもそういった部分をあまり強く考えていないような感じがします。
 だから、練習でもそういった部分を伸ばすようなメニューは少ないのかなぁ…とも思うのです。


 そういう意味では、米倉もちょっと可哀想な部分があるのかもしれません。
 逆にアタッカー(SHなど)に一発の部分を要求する傾向があるチームになっているからこそ、米倉の一番の武器ともいえるフィジカルの部分を伸ばそうとする傾向にあるのかもしれませんけどね。
 そして、SHには個人での突破力が期待されていることが多いので、生真面目な米倉もドリブルを頑張ろうとしてしまう。
 だけど、単独でのドリブル突破がそこまで上手い選手ではないですから、上手くいかないことの方が多くボールを失う場面が目立ってしまっていますね。



 選手の特徴を伸ばすことはもちろん重要なのですが、一方で米倉には完成度の高い選手になって欲しいと思っています。
 フィジカルの部分がますます成長して可能性の部分がより高く感じるのは嬉しいことなのですが、中盤の選手の完成度という部分ではまだまだJ1レベルではないのかなぁと。
 まぁ、このあたり小さくまとまって欲しくないと思う気持ちもあるので、難しいところもありますけどね。


 でも、中盤での気の効いたプレーが出来る選手=小さくまとまった選手というわけでもないはずですから。
 それは山田直あたりを見ていても、わかることだと思いますし。
 そこはフィンケ監督の手腕なのかなぁとも思うのですが…。


 ともかく、米倉がもう1歩上に行くためにも、ジェフで確固たるレギュラーとして活躍するためにも、その細かな部分での質を高めることが今は必要なのではないかと私は思います。
 まぁ、まだまだ若い選手。
 これからの成長に期待したいですね。
(まぁ、その前に工藤のブレイクスルーに期待したいのですが…。)