パトリック・ヘッド「予算制限に反対しているのはフェラーリとトヨタだけ」
マクラーレン側は虚偽問題でFIAに文句を言えないとか色々と言われていますが、基本的な方向に関しては今回の改革は決して飛び抜けておかしいものではないと思っています。
ウィリアムズの共同オーナーであるパトリック・ヘッドは、FIAが提唱する予算制限に反対しているのは、フェラーリとトヨタだけであると語る。
フラビオ・ブリアトーレの豪華クルーザーでの会議を終え、FOTA会長であるルカ・モンテゼーモロは、FIAが提案する規約に変更がない限り、全F1チームは2010年シーズンのF1にエントリーしない意見であることを示唆した。
しかし、予算制限に基本賛成の意を示しているウィリアムズのパトリック・ヘッドの意見は異なるものだった。
「予算制限に反対しているチームは、フェラーリとトヨタだけだ」
「彼らは隅に置かれている」(F1-Gate.com)
ルノーも「突然すぎる」という話しで反対はしていますけど、「予算制限に関しては話し合っていたこと」と言っていますし。
それを欧州のマスコミ側は「メーカー対FIA」と騒ぎ立て、それに一部の日本人スポーツファン(?)もつられている感じがしますね。
日本でも日刊スポーツなどに、しっかりと「駆け引きではないか?」と書かれているんですけどねぇ。
このあたり、日本ではF1に関していまだに情報のネットが確立しきれていないのかなぁと思うところなのですが…。
今回の改革、見方を変えれば、F1がより“スポーツ的な変革”に進んでいると言う意味で、良い方向に動いているのかも知れません。
F1は07年に商業面の権利に関してFIAとチーム側が結んでいたコンコルド協定が見直され、今回と同じようにFIA側とチーム側が分裂しかけた(と言っても今回同様“脅し”のようなものですが)ことがありました。
そのときに真っ先にメーカー同盟から脱退したのがフェラーリ。
フェラーリという最高のカードを失ったメーカー側は一気に勢力が衰え、FIAとメーカー側の争いも終結となりました。
この時フェラーリは一足早く新コンコルド協定に合意した代わりに、FIAから巨額の資金提供を受けたと言われています。
その際に「フェラーリには“大幅な変更に対しての特別な拒否権”を与える」といった約束を取り交わしていたとして、今回のFIA主導による改革に関して裁判所に提訴しましたが、証拠がないとして棄却されています。
これに対しFIAのマックス・モズレーは協定を結んだ際に「フェラーリはFIAに忠誠を尽くす」といった約束を交わしたと話しています。
(ちなみに両者の言い分、私の記憶では当時どちらも報じられていたように思います。ようするにフェラーリには拒否権があるし、FIAにも忠誠を尽くさなければいけない…といった感じで。ようするに、どっちもどっち。あえて両者にとって含みのある部分を残しながら合意に至ったのではなかったかと思います。まさに“政治的”ですね。)
話しは戻って、前回の新コンコルド協定の際は、メーカーとFIAが利益の取り合いで対立。
そして、メーカーの中でも特筆した存在感を持つフェラーリが裏切ることで、FIAとの闘争が終了といった感じでした。
その交渉の中でプライベターチームの立場は、ほとんど“オマケ”に過ぎなかったなかったわけです。
しかし、今回の改革ではFIAがプライベターと新加入のチームを助けるために、改革を行おうとしています。
その一方でお金を湯水のように使い続けているメーカー側…その中でも特にお金に物を言わせていたトヨタとフェラーリが中心となって、それに反発していることになります。
そう考えていくと、FIAの行動はあながち悪いとは言えないと思います。
もちろんやり方が強引だ、一方的だという話しも意見も出ていますが、自分のことしか考えないF1村の中では、全員が納得するような改革などないわけで。
その一方で、世界的な不景気の影響でF1から撤退したチームも出てきているような現実もあるわけですから、強引にでも予算削減に向けた改革しなければいけないという状況になっています。
ある意味でそこに反発したのがトヨタとフェラーリというのも当然のように思うのですが、その反発に素直に応えてしまっては改革も難しいのかもしれません。
代替案があるのならば別ですが、そういった話しもほとんど聞かれませんしね。
ただ、自己保身のために反発しているだけのようにも思います。
しかし、それではF1のためにはならないですからね。
最終的にはいつも通り、妥協点を見つけて終了…ということになるのでしょう。
重要なのはFIAもチームも含めてF1をどう良くしていくのか、真剣に悩んでいるのかどうか。
そこが一番の問題点なんじゃないかと私は思います。
27日の更新はお休みします。