ミラー監督「パスにはインテリジェンスが必要になってくる」


「パスにはやはりゲームインテリジェンスが必要になってくるし、ボールをどこに出すのか、自分がどこ出せるのかということがやはりトップ選手であるかどうかを見分けられる一つのポイントだと思います。
まず、自分のゲームが狭いエリアにある時に、選手の距離が近い時にそこから前を見て、自分の遠いところにパスを出して、またゲームを違うエリアに持っていくことができるかということがインテリジェンスですよね。例えば、川崎Fの中村みたいな選手はそういったことをして、また自分がボールを持った時に時間とスペースがある状況でボールが持てるようにしているということです。先ほど記者の方が(アレックスミラー監督が英語で答えている最中に英語で話をして)コミュニケーションのイマジネーションという話をされたが、やはりボールをもらう前の動作というのは必要だし、動く前に自分がやることと反対のことをするんですね。
例えば裏に抜けたいのならば、一度下がってもらう動きをして、それから裏へ抜け出すその反対を言えば、(前から)降りてきて(ボールを)もらいたいのであれば前に抜ける振りをして、下がってきてもらうということができないといけないと思います。」(J's GOAL
 以前から言っていますがやはり相手の裏を抜ける動きや、オフザボールでゴールに飛び込む動きの面で工夫が不足している選手が多いように感じますね。
 だからスピードや技術があってもそれを活かしきれていないし、長い距離は走っているのに一直線で相手に読まれてしまう。
 スピードや技術はなくてもそういう点では巻の方が上で、数字を見てもゴールを稼いでいるのは巻ということになっています。


 これはビルドアップ時の動きも同じですね。
 味方がボールを持ったらボールに近づいてその後に離れてみるだとか、1人がボールに近づいてもう1人がゴールに向かって飛び出していくだとか、そういった動きが少ない。
 あるいは、パスを前に出した後に後方の選手が再度ボール貰うようなポジション取りをするだとか…。
 だから、なかなかパスが繋がっていかないですね。
 

 全体的にボールを受ける際の意識と、運動量と、工夫が足りない。
 それが如実にあらわれるのが、スローイン時のボールの受け方だと思います。
 酷かった3月の頃は、スローインになっても誰もボールに来ることすらなかった。
 4月になって、ようやく受ける選手は現れてきましたけど、その受け方が良くない。
 マークがぴったり付いているのに突っ立ってボールを受けようとするだけで、近づいてはいてもあまり意味をなしていません。
 マークを外す動きや、チームとしてその選手をおとりにして他の選手が受けるような動きが自然と出来ていかないと。
 こういった状況を見ると、スローイン以外のボールが生きている状況でもそういった意識が少ないないんだろうなぁと感じます(まぁ実際少ないんですけど)。
 そのあたりが、今のチームの非常に大きな課題だと思います。



 一方で出す方のパスセンスだとか、技術の問題もあります。
 今期は補強によってロングパスを出せる選手が増えましたけど、ショートとロング、両方の選択肢を持つ選手はあまり多くありません。


 ミラー監督は憲剛の話しをされていますけど、「近い選手に出すぞ」っと見せかけておいて、遠くに高質なパスを出せるだけの技術がある選手がどれだけいるのかという問題もあります。
 近くに出すように見せかけるには、ショートパスの技術もなければいけないですし。


 それにしても、ミラー監督は本当に憲剛を高く評価していますね。
 私も好きな選手ですけど、個人的には工藤に憲剛レベルの選手になるよう頑張ってほしいと思っているんですけど。
 そのためには何よりも経験が重要なんじゃないかと思うのですが…。




 ミラー監督は「パスをつなぐのはインテリジェンスの問題」と考えているようで、確かに今のジェフにはインテリジェンスの部分が問題となっている選手が多いのかもしれません。
 たぶんリバプールなどではいちいち説明しなくとも、自分達の判断だけで基本的なビルドアップの形が作れてしまうんでしょう。


 日本ではボールが止まっている時などでの細かな技術が得意な選手は多いけど、そういった試合の中での技術や動きだとかチーム戦術の部分などに課題がある選手が多いといわれています。
 試合の中での『判断力』と『判断スピード』が足りないということですね。
 今のジェフも試合経験が少ない選手が多く、そういった適応能力も低いように感じます。
 



 けれども、それを嘆いているだけでは仕方ないわけで、結局はチームとして練習段階からそういった細かな動きを少しずつ作り上げていくしかないんじゃないでしょうか。
 あるいは、ビルドアップで効果的な動きが出来る選手を補強するか…ですが、今からではそういった選手を補強は難しいのかもしれません。
 中盤から後方にかけての選手ということになるでしょうが、そういった選手はなかなか夏の移籍市場に出ないでしょうし(欧州なら別でしょうけど…)、ジェフのフロントも今からそのあたりをいじるのは得策ではないと判断するのではないかと。


 これから補強するならチームの土台にはあまり影響のない攻撃的選手を選ぶのでしょうし、攻撃的な選手の方が即効性が高いともいえるのでしょう。
 たぶんサポーターのウケもそちらの方がいいのでしょうしね。




 でも、個人的にはビルドアップの面で期待できる選手(ついでに後方をまとめ上げられる選手)も候補にいれて考えて欲しいなぁと思います。
(出来れば両方がベストでしょう。)
 私も少し前まではアタッカーを補強すべきだと思っていました。
 ただ、ここ数試合を見ると、ビルドアップの質は相当に酷い。
 加えて、堅守のサッカーを目差しているのに、肝心の守備の統率も出来ていない。


 そう考えるとそれらのチームのベースとなるべき部分を良くしていかないと、このままシーズン後半に臨むのは厳しいのかなぁと思うようになってきてしまったんですよね…。
 このままの状況で、練習でビルドアップの面と守備面での統率を向上できるというのなら別ですけれども、それも…。




 今シーズンを乗り切ることだけを考えるのであれば、応急処置的に攻撃陣を補強するだけでもいいのかもしれません。
 けれど、来期以降までを考えると、ベースとなる部分をもっと強化していかないと次のステップにはいけないんじゃないでしょうか。


 それはようするにシーズン中の大手術というリスクもある手法を意味することになるのですが、幸いベースに関する積み重ねもそこまでがっちりと出来ているわけではありませんから、出血は最小限で済むんじゃないかと思いますし。
 まぁ、本来はそういったベースに関わる補強は、シーズン前にやっておくべきだったんですけどね…。
 

 確かに簡単ではない選択でしょうが、いまいち土台のはっきりしない状況のまま、強引に上に積み重ねて明るい未来は見えてくるのかな…?という疑問があるように思います。
 それならば多少苦労しても土台を強化した方が、1年後2年後を考えると得策なのかなぁと。
 まぁ、確かに目の前には残留争いというものがあるからそんな余裕もないかもしれないのですが、去年のような「緊急補強→ほとんど解雇」というのを今年も続けては、チームの進歩は期待できないようにも思うんですよね…。



 ともかく、ビルドアップの守備面の強化。
 そこがチームの土台となるわけですから、どのような形になっても中断中にしっかりとした対策を打っていかなければいけないでしょうね。