イビチャ・オシム監督「巻にはマキというポジションがある」


今年は日本代表に呼ばれなくなり、チームも負けが込んだ。巻がハイボールに競り勝っても味方のフォローが少なく、チャンスをつぶすことが多かった。それでも孤立覚悟で、相手ゴール前の中央に立ち続けた。巻にはそこにこだわる理由がある。1月の結婚披露宴で、恩師である前日本代表監督のオシム氏からビデオレターが届いた。
オシム氏 今は代表でも自分のポジションがなく苦しいと思うが、巻にはマキというポジションがある。そこは巻しか務められないエリアだ。ゴール前でがむしゃらに動いてこそ、君は輝く。マキというポジションを確立すれば、代表でも欠かせない存在になる。(日刊
 巻の披露宴でのオシム監督のコメントはサッカー番組などでは取り上げられていましたが、こうした形で活字になったのは初めてではないかなぁと思います。
 巻のJリーグ通産50ゴールのお祝いでってところでしょうか(笑)



 広島戦での巻は、相変わらず頑張っていたと思います。
 広島はかなり巻を警戒していて、守備時には2人以上が必ず付くような感じでしたしね。
 録画したCSでの中継では、金田さんが結構辛口コメントをされていましたが。


 確かに言われていた通り開幕の頃に比べれば中盤のポジションは上がってきていて、巻の近くに選手がいることは増えてきました。
 けれど、近くにいるだけでは意味がないですからね。
 近くに選手がいたとしてもそれだけでは巻に2人以上のマークが付く事実は変わらないですし、むしろ“ただいただけ”ではスペースはなくなってしまうわけで、巻をオトリにして他の攻撃を作り上げるか、巻を活かす為に周りが動き回ってあげなければ。
 例えば清水戦でのミシェウのように、巻の近くを縦に走り抜いて、巻へのマークをずらしてあげる…だとか。
 巻のポストを活かすビルドアップをしていくのであれば、もっとそういった動きを増やしていかなければいけないんじゃないかと思います。
 ようするに、攻撃面で自分が犠牲になっても周りを活かすような『水を運ぶ動き』が少ないということですね。


 まぁ、もちろん巻に関しても、もう少しトラップで頑張れれば…というところは何度かありましたけどね。
 でも、連戦で消耗は激しいでしょうし、各チームから厳しいマークにあっている上、ポストプレーヤーの変わりもいない状況ですから、そのあたりも踏まえて考えないといけないんじゃないでしょうか。



 それに、広島戦終盤での懸命なチェイシングは、驚くべきほどのものだったと思います。
 疲労困憊状態だったはずなのに、あれだけ最後まで走り回っていたわけですからね。
 終盤にDFラインが押し上げることができたのも、巻のチェイシングがあったからこそ。
 広島はDFラインからのビルドアップを徹底してやるチームです。
 対してジェフは押し込まれるとDFラインが下がってしまうけれど、押し込まれなければDFラインを上げることはある程度出来ているわけです。
 だから、ジェフの守備陣が押し込まれずラインを上げるためにも、相手ビルドアップの起点となっていたDFラインへの巻のチェイシングというのは、極めて効果的なものだったと言えるわけです。
 

 これこそが、オシム監督の言う“マキのポジション”なのかもしれませんね。
 言うなれば、オシムサッカーを熟知している巻だからこそ、オシムサッカーを継承する広島を抑えることが出来たのかも知れません。



 まぁ、そんなわけで、個人的には守備面の方が目立っていたように思うのです。
 けど、それとは別に、ちょっと気になったデータがあったので、メモしておきたいと思います。


巻誠一郎選手
「(得点の場面は)エディ(・ボスナー)と2人で最初にくっついていて、そこから動くというのを練習でやっていて、エディがうまく相手選手を引きつけてくれました。(これでJ1通算50得点だが)これまでの得点の内訳は自分では分からないし、僕はヘディングのイメージが強いからヘディングでの得点が多いと思われているのかもしれない(実際の内訳は、頭が23得点、右足が23得点、左足が3得点、その他が1得点)。でも、50点目がヘディングというのは僕らしい形なのかもしれない。一番ゴールに近いところにいる選手としてはまだ得点が少ないという気もするけど、50得点がなければ100得点もないので、一つの通過点だと思います。」(J's GOAL
 意外にもヘディングでの得点と右足での得点が同数なんですね。
 右足でのコントロールはアレですけど、パワーに関してはかなりのものがありますしね。


 もう少し落ち着いてトラップして、自分の打ちやすいところにボールを落とせるようになれれば、もっと得点数も増えてくるのかなぁと。
 あとはシュートの回数を増やすことでしょうけど、今期の巻はシュートへの意識がずいぶん高くなっているように思います。
 そういう部分でも、少しずつ成長しているのかなぁと。
 それも普段から真剣にサッカーに取り組んでいるからこそ、なのかもしれませんね。


 ともかく通過点とは言え、ひとまず50ゴールおめでとうございます。