憲剛に対するアレックスのマンマーク
驚きましたね。
まさか憲剛に対してアレックスをマンツーマンで付けるとは。
フォーメーション的に言えば4-4-1プラスマンマーク1人。
憲剛はトップ下の位置に入る時間が長かったので、ほぼ4-5-1のトリプルボランチといった感じでした。
90分間フルコートでアレックスが憲剛を見る形で、相手のキーマン1人に対してだけマンマークで付ける作戦は久々に見た感じがします。
試合開始早々、少々ラッキーな形でジェフが先制点を奪ったため、その後の試合の展開がはっきりとしてしまいました。
公式記録では前半0分、米倉のクロスが相手選手の足にあたり、イレギュラーしたボールを谷澤がしっかりとつめて冷静にゴール。
これによって、残り時間は『攻める川崎、守るジェフ』という構図に。
そして、その構図のポイントが憲剛に対するアレックスのマンマークだったと思います。
ジェフとしては、いかに憲剛のところを自由にさせないか。
川崎としては、憲剛がそのマンマークをどのようにして振り切るか。
あるいは、憲剛をオトリとして周りで攻めるのか。
憲剛も序盤はマンマークに戸惑っていた形ですが、徐々に自分がオトリになってスペースを作る動きをしようとしていたんじゃないかと思います。
しかし、イマイチその周りの選手に動きの切れがなかったのかなぁ…と。
前線の選手達が足元で貰う形ばかりで、アレックスと巻を除いた残りの4×4でがっちりと守るジェフの守備ボックスに引っかかる展開でした。
ジェフとしては比較的守りやすかったように思います。
こういった試合展開では、ジェフが攻めに転じる時に憲剛のマークがずれる可能性があるわけで、そこで川崎がチャンスを作る場合も多いのですが何せ初めにジェフは先制しているからあまり攻めない。
ジェフがボールを奪っても後方から人が飛び出していかないから、川崎はカウンターを仕掛けられない。
そんな展開が続いていました。
さすがに後半になると川崎がメンバーを交代。
中盤から飛び出せる選手を起用し、前線も動きが活発になってくると、徐々にジェフの4×4の守備の中で相手へのチェックがずれてきます。
対するジェフは前半45分間ほぼずっと相手にボールを持たれ守備を続けていたことで、選手達に疲労が出てきて動きも悪くなり集中力も少しずつ落ちていきました。
最終ラインも下がりマークも緩くなってきたことで、ミドルエリアでの相手への圧力が弱る状況に…。
そんな中で、後半13分にジュニーニョにミドルシュートを決められてしまいました。
シュート自体は素晴らしいものでしたが、その前にも危ないミドルシュートはいくつかあったわけですから、いつかは決められても仕方のない状況だったと思います。
その後、ジェフも選手交代で前に出ようとしますが、選手達は疲労困憊状態。
しかも追いつかれるまでの58分間ずっと守っていたジェフは、前に行く勇気が既になくなっていたと思います。
逆に選手交代で入ってきて得点を取ろうとする選手達と、今までとにかく守りきろうとしていた守備の選手達の「温度差」が出来てしまって、前後が分断され相手にスペースを与える形になってしまいました。
しかし、川崎もACLなどがあって疲れていたのか、最後の部分でいつものような怖さがなかったように思います。
試合の残り2、30分はそこに助けられたという思いが強かったですね。
そんな中で、唯一最後まで元気に走れていたのが憲剛でした。
そこはさすがだなぁと…。
それに付いていったアレックスも頑張りましたけどね。
前半早々に得点したことで、逆に難しい試合になってしまったように思います。
「相手は攻撃力に定評のある川崎。
だからこの1点を大事に守りきりたい…。」
アレックスをマンマークにつけたり、1対1の守備で期待できる米倉を起用したことからも、初めから守備的にいこうという気持ちが強い試合だったと思うのですが、序盤の先制点でより一層守るんだという意識が強い試合になってしまいました。
しかし、今のジェフには90分自陣に引き篭もって守れるだけの力はない。
相手の攻撃にも課題があって前半は上手くいきましたが、後半からは徐々にほころびが出来ていきました。
ただ、今のジェフにはこれしか出来ないというのが現状でしょう。
先に1点取ったからといって、そのリードを守りながら得点を狙えるだけの鋭いカウンターもない。
逆に90分間集中して守りきれるだけの守備能力もない。
これが今のジェフの精一杯じゃないかと思います。
そんな中で収穫がなかったわけでもなかったと思います。
スタメンで出場となった米倉は、フレッシュな動きを見せてくれました。
前半は守備で頑張っていましたし、縦への思い切りの良さを見せてくれたシーンも何度かありました。
しかし、後半早々にばててしまって相手へのチェックが遅れ、米倉の目の前で何度もミドルシュート(バー直撃も)を打たれてしまいました。
米倉だけのせいではないですが、こういった中盤の選手達のスタミナ切れが全体のライン下がってしまう一つの原因になってしまいました。
その他の細かなプレーも含めてまだまだな部分もありますけど、活きのいい米倉のような選手がスタメンで出場できたということはジェフにとって明るい材料なのかもしれません。
(もっとも工藤のような選手が出場できていない=活かしきれないことの方が、ジェフにとって大きな問題ではないかとも思うのだけれど…。)
また、アレックスも最後まで憲剛にプレーさせず、粘り強く守ってくれました。
ジェフにとってのこの試合一番の狙いが憲剛へのマンマークで、そこで憲剛を消すのがアレックスの役目だったわけですから、その狙いが戦術的に良かったか悪かったかは別としてアレックスはしっかりとその使命を果たしたことになります。
柏での印象も含めて考えた上でここ4試合でのアレックスのプレーを見ると、広範囲でプレーできるポジションである程度フリーに走りまわせた方がアレックスの良さは活きるのではないかと思います。
攻撃の際に神出鬼没にいろんなところに顔を出せるのが、アレックス一番の良さではないでしょうか。
守備に関してはゾーンで守らせるとちょっと不安な部分がありますけど、マンマークで仕事を明確にしてあげればそれをこなせるだけの運動量と集中力があることがわかってきました。
そう考えると、サイドよりも真ん中の方がいい選手なのかなぁと思います。
サイドで使うとどうしてもプレーエリアが限られてしまう部分があるから、自由に動けず窮屈になってしまうんじゃないかという印象を受けます。
…かといってボランチでゾーンで守らせると、今の戦術では合わない気がするので(とにかくCB前のスペースを消すというのが今のボランチの役割だけどそれはあまり得意ではないと思う)、トップ下あたりで自由にやらせるのが一番なのかなぁと思います。
まぁ、とはいえサイドもボランチも出来なくはないレベルにはいるはずですから、多少窮屈でもそこでプレーさせるという選択肢もあるのでしょうけどね。
でも一番活きる仕事というのを考えると、「真ん中あたりで自由にやらせる」ということになるんじゃないでしょうか。
まぁ、問題はそれがチームに上手くフィットするかどうか…ですけど(笑)
セントラルプレーヤー過多な状況ですしねぇ。
ともかくあの憲剛相手に90分間守りきったわけですから、この試合のMOMはアレックスじゃないかと思います。
もちろん相手を消すというのがアレックス役割ですから、派手に目立つということはなかったですけど。