サテライトチームの解散とリザーブズ

 朝日にリザーブズに関する長めの記事が出ていたので、それに関連して。


 昨年、ミラー監督が就任してからジェフはスタメンをターンオーバーして戦ってきました。
 軸となる選手達に加えて、新居、レイナウド、戸田、早川、大輔などなど…GKの櫛野も含めて、17人くらいの選手達が主力として戦ったことになるのではないかと。


 だから、良く「今期は昨年の戦力そのままに…」と書かれてしますが、それはちょっと違うと思うんですけどね。
 レイナ、戸田、早川、根本が放出されて、アレックス、中後、佐伯、福元が入ってきたわけですから。
 それにレイナ、根本が活躍した清水戦がなければ、最終節FC東京戦の逆転はなかっただろうし、この中の3人が最終節のスタメンだったわけです。
 そういった選手達を意図的ではないでしょうが蔑ろにしてしまうというのは、(戦力云々は置いておくにしても)ちょっと寂しいなぁと私は思うのですが…。




 閑話休題
 現在のトップチームの契約選手は23人。
 昨シーズンはハーフシーズンだけで17人以上もの選手が戦力として必要だったわけですから、そのほとんどがトップチームの戦力として見込まれているのではないかと思います。
 

 となると、もうこれは育成枠としてのサテライトチームは事実上なくなった、ということになるのではないでしょうか。
 この前行われた甲府戦も、ちばぎんカップで出場時間の短かった選手達が調整のような形で試合に出ていたようですから、サテライトリーグも選手達の調整を中心とした位置づけとなるのではないかと。
 


 23人だと若干少なく感じますが、何かなければフルシーズン乗り切れるんじゃないかとは私は思っています。
 人数は少ないですが、育成目的の選手は少ないですしね。
 しかし、長いシーズンですから、何が起こるかはわかりません。
 長期の怪我だとか、スランプとかもあるかもしれない。


 その何かが起こってしまったとき。
 そのときに、トップからリザーブズに派遣している数選手を戻せばいいわけですね。
 これでリザーブズの存在価値も出てくるというわけです(笑)




 個人的には元々リザーブズというのは「社会貢献」という意味合いも強いものだったのではないかと思っていました。
 地域出身の選手やユース卒の選手などでサッカーを続けたいけれども現実的に難しい選手達に、プレーの場を与えるチームをJリーグのクラブが所有する…。
 ようするに利益よりも公益。


 サポーターなど周りはついつい結果や利益ばかりに目が奪われがちですが、それだけではサッカー文化というのは成り立たない部分があるはずです。
 ですから「サッカーをプレーする場を供給することで、地域に貢献する」というスタンスは非常に画期的ではないか…と思っていました。
(祖母井さんがいた頃だったかジェフが第二のリザーブズを作るという話しがチラッと出ていたりだとか、雑誌で祖母井さんが市原市に新たなクラブを作りたいという話しをしていたのは、そういったことなんじゃないのかなぁ…と。)


 JFLに上がるまではまだよかった。
 それまではJFL昇格が目標だったため、カテゴリを上げること自体がひとまずの「結果」だったわけです。
 しかし、JFLに昇格して周りは新たな結果を求めるようになっていきました。
 それが目に見える選手育成だったのではないかと。



 ただ、冷静に考えるとなかなか実情では難しいところもあると思います。
 JFLはカテゴリから見てもJ2より下。
 いまでこそJ2からJ1に移籍してくる選手も増えてきましたが、それもトップ選手のみ。
 JFLからJ1に直接移籍してくるとなれば、数えるほどしか例がないはずです。


 育成面での成功例が複数ある新潟Sが参戦しているSリーグは実力的にJ2とJFLの間くらいと言われているそうで、その新潟SからJ2に移籍する選手が多いのも偶然ではないのではないかと思います。
 ようするに、そのカテゴリのレベルの選手以上を育成のは、そうそう簡単なことではない…ということですね。



 加えて、昨年はジェフ自体が残留争いレベルのチーム。
 トップチームがその位置でサテライトがあってその下にリザーブズがあるのだから、当然一番下のレベルは高いはずがない。
 トップチームがJ1でも上位争いをしていた頃ならまだしも、結果が出せない状況で下部組織ばかりに厳しい意見が出るというのは何か違うような気がします。
 日本代表クラスの選手が多数いた頃は、そう簡単には若手選手達は出場できなかったしトップにも上がって来れなかったはずです(行ったりきたりした選手はいましたけど)。


 けれど、代表選手が大量流出して、トップの戦力も下がり、リザーブズレベルの選手達が早期に上がらざるを得なくなってきた。
 それが金沢だったり松本だったり益山だったりしたのではないかと。
 彼らのポテンシャルは非常に高いし能力がないわけではないのだけれど、あの大量流出がなければ昨年はトップにはいなかった可能性もあるかもしれない。
 個々の選手から見ればそれがいい経験に繋がったかも知れないですけど、存在価値を問われつつあるリザーブズにとっては逆風でしかなかったはずです。 
 

 だから、リザーブズをどうにかする前に、まずトップチームをどうにかしなければ話しにならないでしょう。
 


 ジェフ全体で選手数を削減してサテライトチームをなくし、トップチームのほぼ真下にリザーブズを置く今回の狙いを興味深く感じています。
 これによってチーム全体が縦に圧縮され、リザーブズのレベルも上がっていくかもしれません。


 ただ、一方でその裏には若手の大量解雇があった。
 今までのジェフは「選手層のピラミッドを作る」と言っていて、ベテランは少数、若手は大勢抱えていました。
 その考え方は、即戦力の有名新人選手を獲得できないため、無名の選手を獲得して育てていこうという狙いと、ぴったりあっていたと思います。
 無名の選手でもいい選手はいるけれど、どうしても未知数の部分が多い。
 だから、若手選手を多めに抱え、数人に1人でもJ1で通用する選手を育てていく発想です。


 けれど、今回の大量解雇でそちらは難しくなったように思います。
 育成面(といってもユースは除く)でも少数精鋭。
 それは引き締まったチームを作れる、コストも削減できるなどいい部分も考えられる反面、より少ない選手数の中でトップに通用する選手を育てて行かなければならなくなったわけですから、大変になってくる部分もあるんじゃないかと思います。
(このあたりの突っ込んだ話しを、もう少しサポコミで聞きたかったんですけどね…。)
 

 ですから、今後はより能力の高い選手を、リザーブズや新人選手で集めていかないといけないかもしれませんね…。
 そういえば田中輝希も沖縄合宿に参加していたんでしたね。
 他に田中を狙っているのは、浦和に名古屋に…と(笑)




 まぁ、ただ私はこれまでのリザーブズ。
 確かに目立った形跡は残せていないかもしれませんが、松本や伊藤や米倉などはリザーブズを“通過”してトップでも試合に出場できるレベルになってきていたわけです。
 そういった部分での貢献度をもう少し見てあげてもいいんじゃないのかなぁと思っているのですが。
 もちろん彼らの成長に、リザーブズでの経験がどれだけ影響しているのかはわかりません。
 けれども、まったく影響がなかったとも言い切れないでしょう。
 そういう意味で、存在価値がないとも言えないんじゃないかと思います。
(特にマツケンなんてリザーブズがなかったら、サイドでの試合経験はほとんど積めなかったんじゃないでしょうか。)


 地味な話しではありますけど、元々下部組織なんてものはコツコツとやるしかないわけですから、基本的には長い目で見ていくしかないでしょう。
 そして、リザーブズを長い目で見ていくためにも、まずはトップチームの運営をもっと安定させなければいけない、そのためにも長期的なビジョンを持ってやっていかなければいけないんじゃないかと私は思うのです。