オシム監督「空いたスペースに誰も入ってこなかった」
ようやく、イビチャ・オシム監督のロングインタビューが掲載されているNumberを読むことが出来ました。
06年アジアカップでの戦い方をメインに取り上げており、非常に興味深い内容でした。
詳しくは雑誌の方を読んでいただきたいので簡単に要約だけを取り上げると、俊輔と遠藤を起点にサイドを崩し、高原や巻、矢野が前線でスペースを作って(あるいはそこをターゲットに狙って?)、ボランチの選手をゴール前に飛び込ませようというのがアジア杯での狙いだったようです。
しかし、「空いたスペースに誰も入ってこなかったのが問題だった」という話しでした。
ふーむ…。
筆者である田村修一さんは納得したそうですが、どうでしょう。
観想は読んだ方にお任せするとしますが、もう少し突っ込んで欲しい点もありました。
(もちろんオシム監督の口から「どういったサッカーがしたいのか」というはっきりとしたイメージが聞けたことは、アジア杯やオシム監督の頃の代表を分析する上で非常に有意義なことだと思いますが。)
省エネのためのパスサッカーという周りの憶測は、微妙に違ったのか(この狙い通りだと、かなりボランチの負担が増えそう)。
「ゴール前に走りこんでこなかった」ということだけれど、あのメンバーだと走りこむ選手が少なくある程度は予測できたのではないか。
練習時間が少なく前線と中盤の連係が足りなかったということだけれど、それも事前に考えられたのではないか(確かにアジア杯までの準備期間が3,4日というのは異常だったが)。
このあたりの一番気になるところは、聞いてもらっていませんね。
特にゴール前へ走りこむ選手がいなかった問題。
これに関してはあのメンバーでは、ある程度予想できたはずでなぜそれを選択したのか…というのがオシム監督の率いた日本代表の中で、もっとも気になっているところなのですが。
(ただし、今回のインタビューによって啓太と憲剛を足した選手が欲しいと言っていた具体的な意味と、代表でもボランチを攻撃参加させる攻撃スタイルを目差していたということがわかっただけでも、個人的にはとても嬉しいのですが。)
実際にアジアカップ後はエキストラキッカーを2人に戻したりしたことによって、運動量豊富な面白いサッカーも戻ってきたわけですしね。
まぁ、川淵氏が後日「アジアカップのノルマは俊輔と高原だった」と話していますので、「時間が足りず連係不足だった俊輔も使わざるをえなかった(そして俊輔を使うのであればあのメンバーしかいなかった)」という結論(ようするに俊輔の起用ありき)にしてしまえば、それこそ「すべてが納得」できるんですけどね(笑)
ということで、もう1度そのあたりを聞いて見たいところではありますが、インタビューでは他にもユーロの話題だったり、メンバーを固定化する理由だったり、「若い選手をもてはやしすぎている」という話しで水野晃樹の名前が出ていたりと、全体的に非常に面白いインタビューでした。
オシムファンにとっては必読の一冊ではないでしょうか。
また、別記事では祖母井さんのインタビューや、西部謙司氏によるミラー監督の記事などもあります。
その他にも興味深いインタビューがたくさんあり、久々にNumberの本気を感じました(笑)