新たな不安も出てきたけれど、とにかく一勝!

 勝つには勝ったけど、ちょっと「うーん…」と思わせる試合でしたね。



 私は基本的には細かな選手の起用法を、あとからチマチマ言うのは嫌いです。
 G大阪戦後も選手交代でいろいろ文句を言う人が多かったようだけど、正直「なんで?」と思う。


 レイナウドの起用も苔口の器用も、成功したかどうかは別としてはっきりとした意図がありました。
 にも関わらず、あとからああだこうだというのは、そりゃ卑怯ってもんじゃないの?と。
 確かに私も試合中は疲れの見えてきた斉藤のところに中島あたりを入れて、DFラインの前でボールを落ち着かせた上(少なくとも大輔よりはパスが散らせる)、中盤のプレスを立て直しを狙うのはどうだろうか?とは思いました。
 けれど、そんなことを試合後に言ったところで、実際に使ってみなければ落ち着きが取り戻せたのか、プレスがかけられるようになったかは断定できない。
 それはどの選手だってどこポジションだって同じはずなのに、よく無責任にそういうことが言えるよなぁ…と思ってしまいます。
 所詮は結果論じゃないの?好きな選手使って欲しいだけなんじゃないの?と思うのですが。


 昨年もそうでしたね。
 どうもチームとしてのベースが出来てくると、次は選手交代に目が行くようです。
 でも、そんなのサッカーの中では本当に些細なこと。
 キックオフから選手交代のタイミングまでの数十分、かわりの効かない主力選手達のプレー、あるいはその前からの試合の数日間の修正、その監督が就任してからの数十日間、数百日間の練習内容…。
 これらの方が、その試合の勝敗に大きな影響を与えているはずです。
 監督の評価にしても「チームの方向性」、「選手育成」、「攻撃面の狙い」、「守備時の守り方」、「カリスマ性」、「コンディショニング」などなど、仕事は山ほどあるわけで。


 スタメンで戦うはずの長い時間の方が重要だし、基本的にはその時間帯にこそ監督の理想が出せてなければいけないはずです。
 いわば選手交代なんて“小手先の修正”でしかないんだからね。
 クゼ監督の時にあったじゃないですか…選手を変えた後の方がサッカーがうまく機能しているってことがね。
 でも、それってようするに「うまく修正できた」というより「修正しなければうまくいかなかった」ってことでしょ。
 それほど修正前が悪かったということになる。
 それではね…。


 もちろん選手交代だって、ほんの数パーセントかもしれないけれど、その試合に関わっているということに変わりはありません。
 しかし、さも選手交代さえうまくやっていれば、絶対にもっといい結果になったかのように言うのはどうか。
 選手交代がすべてのように取り上げるのはどうなのか…と。
 特にあのG大阪戦はそういう問題じゃなかったでしょう。
 それに、ベンチの選手の質の問題もある。明らかにG大阪の方が選手層は上。
 でも、これに関してはいったって仕方がない。
 練習試合を見る限り、本当に数人しか上では通用しなさそうでしたからね…。







 さて、長い前振り終わり(笑)
 そんなこんなで選手交代や選手起用に関してはあまり言いたくない私ですが、しかし神戸戦のスタメンってどうだったんでしょうか。
 主に戦術面の話し。
 そして、今後の戦い方に大きな影響のある問題だと思うからです。


 いや、確かに狙いはわかります。
 ここ数試合、前線で1トップの巻が孤立することが多く、サイドを崩せても得点の匂いはあまりませんでした。
 そこで新居を入れて2トップ気味に。
 新居はやっぱりサイドで使うより中で活きる選手(まぁ、それでも無難にサイドもこなしちゃうんだけど)。
 新居をサイドで使えば中に入ってくるプレーもあるんだけど、そのサイドのスペースにオーバラップを仕掛ける戦術ではないから、あまり得策とはいえない。
 そして、2トップにするには中盤を削らなければいけないから、いまいちフィットしていなかった根本を外す。
(早くフィットして欲しいところだけど、今の孤立無援状態で何とかなるものなんでしょうか…。)


 しかし、そういった狙いもわかるけれど、今回のスタメン変更はメリットよりもデメリットが大きかったんじゃないかと思います。
 根本を外した分右サイドに工藤を入れましたが、縦へのドリブルはない選手だからサイドをほとんど崩すことができない。
 また、左に移った谷澤も右足が得意な選手だから、中に入っていくしかなく縦に勝負が出来ない。
 しかも、工藤がサイドにまわったことで、中央でパスをさばける選手がいなくなってしまった。
 大輔と下村だけでは、中盤でパスを回せない。
 プレスも中盤の線sんふが1人減ってしまったことで、なかなか機能しない…。





 結局、前の試合まではある程度できていたサイドを崩す形も、積極的なプレスもなくなってしまいました。
 唯一前向きに捉えるのであれば、前半はあえて抑えて後半勝負だったのかなぁ…と。
 けど、それなら前半は守備的な選手や守備的な作戦で行けばいいとも思うのだけれど、このあたりをミラー監督はどのように考えているのでしょう。
 狙い通りだったのかそれとも…。


 後半途中から新居に変えて1トップ気味にして、苔口を右サイドで使いそこで勝負をしかけることで、相手を押し下げることに成功しました。
 これがこの試合の象徴的な場面だったのではないかと。
 苔口もなかなかフィットしていませんでしたけど、この試合ではまずまずのできでした。
 アーリークロスも一本いいのがありましたし、もともとスピードも運動量もあり守備も真面目にやる選手。
 まだ周りとの連係がうまく言っていないところもありますけど、これからが楽しみです。
 また、中島を起用することで中盤の構成力が高まりました。
 これもまた1つ収穫ですね。





 しかし、勝ちはしたし収穫もありましたけど、内容は不安も残る試合だったのではないかと思います。
 ミラー監督は新居が本調子ではなかったから前半はうまくいかなかったといっていますけど、私は上記のように新居を入れたことで中盤の構成が変わりうまくいかなかったんだと思います。
 だから、今後を見据えると中盤を構成する形が非常に重要だと思うのですが、ミラー監督はどちらを選んでいくのでしょうか。
 正直、神戸戦のスタメンだと不安の方が大きいですけどね…。


 新居のこと評価してそうですしね。
 しかも、ファンはストライカーとしての新居が好きな感じだけど、ミラー監督はオールラウンダーとして評価しているんじゃないかと思うんだけど…。
 でもそれではなぁ…。



 ともかく、そのあたりの中盤の構成次第では今後が心配になってくるんじゃないかと私は思います。
 でも、それとは別に中断明け初勝利、ミラー監督になってリーグ戦初勝利というのも重要なポイントですね。
 また、チームの中心選手である巻が得点を決めたと言うのも大きい。
 PKを外してしまったのはあれだけど(枠にいったのは評価したいけどコースが…)、あのシュートはお見事でした。
 これでチーム全体がメンタル的に吹っ切れてくれれば、と思います。