EURO2008 大一番で、あのルールが発動
さて、イタリア対フランス。
同じグループに入ったのだから、決勝戦で見られる可能性もあったこのカード(…じゃないみたいですね)。
まさかグループリーグで勝ち残りをかけて戦うとは、思っても見ませんでした。
しかし、ある意味で決勝戦以上に面白い試合になる可能性もあるでしょう。
なにせこの試合で負けてしまえば、グループリーグ敗退。
強豪国としては恥じるべき結果と言えるでしょう。
それは選手としては、どうしても避けたい状況ですからね…。
試合序盤。フランスがサイドを積極的に攻め、試合を優位に持っていきます。
イタリアはそこからカウンターを狙うも、人数がかけられずさほど怖さはなかったと思います。
前半10分頃、そこまで懸命に走っていたリベリが負傷退場するも、それでもフランスの攻撃は続きます。
しかし、対するイタリアも決して悪い状況だったとは思いません。
ボールはもたれても、集中力は維持し続けていました。
非常に気持ちの入った、素晴らしい試合だったと思います。
けれど、まさかその試合であれが起こってしまうとは…。
話しは飛んで2007年の9月。ジェフ対神戸戦。
相手GKの榎本がPA内で羽生を倒し、PK。
決定機を阻止したファールだったのだから、榎本にレッドカードが出されます。
ルール上は何も間違っていません。
審判の判定は正しかった。
しかし、犬の生活で西部謙司さんもおっしゃっているように…。
あれは間違いではなかったでしょう。
早くも16分で試合の流れが決まった。新居辰基がフォアプレスでボールを奪い、羽生直剛へ。羽生がGK榎本達也をドリブルでかわしたところで、足が掛かって倒れる。柏原丈二主審の判定はPK、さらに榎本にレッドカード。
神戸はMF朴康造に代えて、GK徳重健太を送る。いきなり正念場の徳重、千葉は水野晃樹がPKを落ち着いて右へ流し込んで1−0とする。
こういう場面を見ると、いつも何とかならないものかと思ってしまう。
判定自体に文句はない。得点機会阻止だから、GKの退場もルールどおりだ。(犬の生活)
GKが羽生に触っていたかいないかは確かに微妙だったけれど、明らかにGKは遅れて突っ込んでいましたので、その時点でファールをとられても仕方のない展開。
しかし…。
この判定のせいで、前半の早い時間に試合が決まってしまったのも確かです。
けれども、開始16分で片方のチームが10人というのは試合の質を大きく変えてしまう。
僕は、ペナルティーエリア内に関して、「得点機会阻止にはレッドカード」という現在のルールを変えた方がいいのではないかと思っている。なぜなら、守備側はPKという罰を受けているからだ。もちろん、著しく反スポーツ的な行為や乱暴なタックルなどに対してはレッドカードでいい。けれども、得点機会阻止だけならイエローカードでいいのではないだろうか。
ちなみに、この話には尾ひれがついています。
後半、大久保が審判に文句を言い、イエローを貰います。
たぶん、大久保がイライラしていたのもこの榎本への判定に文句があったせいでしょう。
ルールを知らなかったんじゃないの?(にやにや)と言わざるをえません(笑)
そして、審判があまり評判の良くない柏原氏だったこともあったのでしょう。
ネット上では大久保擁護、審判批判という流れになってしまうわけです。
けれど、ルール上そうなっているのだから、審判にはどうしようもないこと。
PK+レッドか攻撃側のシミュレーションか、どちからを選ばなければいけないのだから、このルールに関しては審判員も可哀想なところがあります。
けれど、西部さんもおっしゃっているようにこのシーンでのファールは悪質なプレーではなかったわけで、レッドは厳しいのではないかとも思います。
話しを戻して、フランス対イタリア戦。
前半25分に、イタリアのトニがカウンターから抜け出してGKと一対一。
それをフランスDFアビダルが後ろから倒してしまいます。
PA内での決定機阻止。
だから判定通り、PK+レッドカードは間違いではありません。
しかし、ここで解説の金田さんが面白いことを言っていました(この試合ではTBSで見てました)。
ルールをわかった上で「GKがあの位置だと、今のトニでは決められないんじゃないの?」とのコメント。
確かにトニはそこまで数本シュートを外していた上、このPKのシーンも体勢は良くなかったし、GKは良いポジショニングでシュートコースを狭めていました。
そう考えると、ある意味で“決定機”とは言えなかったのかもしれません。
FWの体制、GKの位置、ボールの角度、DFの位置…。
そして、FWの決定力とGKの能力(笑)
それらを含めると「“決定機”ってどこまで?」と言うこと話になるのかもしれません。
もっともPA内でトニを倒してしまったのは確か。
そして、“決定機”とは言えないにしても、イタリアに得点のチャンスがあったのも確か。
そう考えるとこの判定は仕方のないことでしょう。
FWの体勢と得点能力とGKの位置と質を瞬時に、トニを倒さないように守備をするのが、アビダルの正解だったんでしょうね。
まぁ、しかし残念なのはこの試合が好ゲームだったのに、このような判定で退場者が出てしまったこと。
これは、ジェフ対神戸戦の試合も同じ。
あの試合も羽生の献身的な動きと、運動量の多い工藤のボランチ起用がうまくいっていた試合でした。
羽生は相手ボランチだけでなくサイドバックの守備にも周り、その分FWの新居が攻撃に専念するという今までにない形を見せていました。
あの試合はジェフの今後を見据えるためにも重要な試合だったのです。
しかし、相手に退場者が出たため羽生の運動量の必要性は一気に減り、今後に向けたテストはオアズケに。
その後、羽生は負傷で長期離脱したため、結局この戦術は日の目を見ずに終ってしまいました…。
試合に戻りましょう。
PKでの得点が決まったあと、イタリアは積極的に攻めに転じます。
しかし、そのトニが何度も決定機があったにもかかわらず決めきれません。
これによりフランスが徐々に巻き返す展開に。
ここで面白いのが、それを一度イタリアを受けてしまうこと(笑)
短い時間でしたが、もう1点を取りに行くというよりは守備に回りましたね。
イタリアらしいと言えばらしいのですが、それにしても…。
後半も、一進一退。
1人多いイタリアがポゼッションするのは仕方ないのですが、フランスのカウンターもなかなか迫力がありました。
しかし、62分。
ゴール前でイタリアが獲得したFKを、デ・ロッシが直接シュート。
アンリの足に当たり、2-0とします。
これで万事休す。
フランスのEURO2008は終ってしまいました。
両チーム内容は良かっただけに、もしあのレッドが(ルールが変わって)イエローだったら…と思ってしまいます。
結果はどうあれ、もっと面白い試合になっていたのではないかと。
とはいえ、フランスに同情の余地はありません。
なにせ初めの2試合が悪かった。
コンディションや戦術の問題ならばともかくとして、気持ちが感じられませんでした。
対して今年のイタリアはなかなか本気モードなんじゃないでしょうか。
カンナバーロと言うDFの軸がいないためにピリッとはしませんけどね(笑)
でも、意気込みは買いたいなと思います。