スーパーアグリが“真のスポーツ”を教えてくれた
ジェフ同様にスーパーアグリも厳しい状況です。
レースに出場しても最下位が定位置だし、次のレースに出れるかどうかすらもわからない。
スペインGPがスーパーアグリの関係者にとって、引退レースになるかもわらない。
デビットソンも言っていたようですが、ドライバーに関わらず「モチベーションをどう維持していいかわからない」状況だと思います。
なにせ、今どんなに頑張ってもそれが将来に繋がるかどうかわからないんですからね。
そんな状況にもかかわらず、スタッフやドライバーは一生懸命頑張っていました。
特に佐藤琢磨が走らない一部が破損したマシンでクルサードを数周に渡って押さえ込んだシーンは、観ていて感動を覚えました。
本来F1っていうのはクールなスポーツだと思います。
かっこいいドライバーがかっこいいマシンが乗って、かっこよく走ってかっこよくフィニッシュする…。
結果が全てでそれ以外は何もない。
1チームあたり年間何百億円という大金がかかるから、基本的には負けは許されない…。
今のスーパーアグリにかっこ良さはないかもしれない。
けれども、熱い情熱はひしひしと伝わってくるわけです。
遅かろうと結果が出なかろうと、皆が必死に戦ってそれで最下位ならば仕方がない。
それでも懸命に戦えば見る人に感動を与えられるし、それこそが“真のスポーツ”なんだと私は思います。
…そんな状況のチームが今、存続の危機に立たされているわけです。
もしそんなスーパーアグリがこのまま消滅するのであれば、もうF1に“真のスポーツ”というものは残っていないのかもしれません。
どうもF1ファンも含め、F1に関わる人っていうのはF1をドライに見がちです。
いや、F1だけじゃなく、スポーツ全般に言えることなのかもしれません。
斯く言う私もそうだった部分があるのですが、最下位でもめげずに意地で戦うスーパーアグリを観て、“真のスポーツ”の素晴らしさを改めて教えてもらうことが出来ました。
出来れば、このスーパーアグリの挑戦をもう少しだけでも見ていたい。
無様に見える戦いになるかもしれないし結果は出ないかもしれないけれど、それでも人に感動を与えられるのであれば、それだけで存続する意義は十分にあると思うのです。