ロス・ブラウン加入の真相を中本DMDに聞く

 中本DMDに対するインタビューが掲載されています。
 DMDとは、ディピュティ・マネージング・ディレクターのことなんだそうで。
 またややこしいですね。
 DEPUTY=「代理」とか「副官」とかって意味だそうです。


 (上)と、(下)があるロングインタビューになっています。



中本DMD
ロス・ブロウンが来る前に、マクラーレンとかウィリアムズからきてくれた人は、私が口説き落とした人がほとんどなんです。で、ロス・ブロウンが来る、それで今年の不成績というと、“中本がいなくなる”と思うわけです。で、心配しなくても、そんなことはないよ、という話をしたら、彼らは、ロスが来るまでにこれまでのクルマにしてやろうということで、頑張ってくれています。ロスが来ることでプラスアルファーが加えられれば、2.5秒といっていたものが3秒になるワケで、自分たちだけでできることはやってやろう、というモチベーションにはなっています。

中本さん自身の活動は、今年と変わらないのでしょうか? 例えば、レースの現場に行ったりする部分はいかがですか?
中本DMD
変わらないと思います。ロスと話をしている部分では、もうちょっとチームに入ってチームのことを感じてほしい。そうした上で、もう一回どういう仕事をするか話そうよ、と。ロスもそれがリーズナブルだねと言っています。それで、ボクが日本ベースになってほしければそうするし、と。

今回初めて接触してみて、どんな人でしたか?
中本DMD
正直者ですね。自分はこういうことはできない、でもこういうことはできると思うよと言ってくれました。
 まずは現体制を変えない方向で行くということでしょうか。


 実際にロスが、図面を書く仕事をすることはないでしょうしね。
 ヨルグ・ザンダー、ロイック・ビゴワあたりが担当するのでしょうか。
 ビゴワは賛否両論あるデザイナーですけど…。



 なんだかんだいっても、(もういなくなったけど)ジェフ・ウィリスや、今回のロス・ブラウンなども含め、なかなか名前のあるスタッフを獲得してるんですよね。


 ただし、ザンダーは元BARで出戻りということになりますが。
 ウィリアムズにBARで開発したシームレスギアのノウハウを持ち込んだのが彼といわれていますが(笑)



チーム・ロス・ブロウンとしてのスタッフを連れてくるのでしょうか?
中本DMD
そういう考え方も持っていないし、それは言ってません。チームの中を案内して、機材もスタッフも考えていた以上に充分に勝てる力を持っていると感じてもらえたようです。チームに合流して、彼自身に考えてもらわないといけないですね。その中で、彼の人脈を使って、補強する可能性はゼロではないですね。
 基本的にロスが来たから、その流れで補強するということはないそうです。
 しかし、これからロスが指揮を取っていく上で足りない部分が見つかれば、ヘッドハンドもありえるということでしょうか。
 今のホンダは勝てていないのだから、当然「足りない部分はある」と判断するのが自然な流れでしょう。


 そこで、どう変わるか。
 中本さんのような人にも、厳しい判断が下る可能性だってあるのかもしれません。
 わかりませんけどね。











 分業化が叫ばれて久しいF1でも、まだまだ確固たるリーダーは必要なんだとよくいわれます。
 しかし、私はそうではなく、「分業化を最適化できるリーダー」こそが重要なんじゃないかと思うのです。
 ややこしい話しですけど、これはF1に限ることでもないように思います。


 ようするにまとめ役ですね。
 昔ほど「俺が全部やるよ」ってリーダーは必要がなくなり、「お前はこれとこれをやってくれ」という真のリーダーが必要なんじゃないかと。
 だから、結局はリーダーだけでなく、その下で働くスタッフの質がとても重要になってきます。


 確かにエイドリアン・ニューエイなんかはどちらかといえば古いタイプのリーダーかもしれませんけど、それでも飛びぬけてすごい人物だから彼が動くと周りも動いちゃう。
 そして、結局はその周りのスタッフも含めて、“ニューエイチーム”の質が高くなっていきます。
 古いタイプのリーダーだけど、実際にはあまり代わらないのではないかと思います。 







 今回のロスのようにヘッドハントは積極的に行わないことが前提となると、今のホンダチームにどれだけ質の高いスタッフがいるかが大きなポイントになってくると思います。
 質が高くなければ、スタッフを変えざるを得ない状況になるかもしれません。
 そうなった時に、ロスがどれだけ引っ張ってこれるのか、ホンダがどれだけ魅力的なのか、スムーズに新しいスタッフを受け入れることが出来るのか…。



 このあたりが非常に興味深いですね。