「1時間以上を要してしまったというから回復は難しそう」?


オシム監督の場合は連絡がうまく取れず、1時間以上を要してしまったというから回復は難しそうである。
 マスコミが適当に言って騒ぎ、こんな書き方をするから1時間って長いような印象を受けますが、発見からではなく発症から1時間ということも明らかになってきましたし、決して発症から1時間だと遅くはないのですが。
 というか、むしろ早いほうだと思います。


 もちろん理想を言えば、1分でも1秒でも早いほうがいいに決まっています。
 というか、理想は発症しないことです。当たり前ですが。


 あるいは、発症する前の前期症状でおかしいなと気づくことです。
 脳梗塞の場合、ろれつが回らなくなることやめまい、手足の痺れなどが前期症状で起きやすいからその間に気づくべきだ…なんてマスコミは簡単に適当なことを言ったりしますけど、オシム監督の場合心原性脳塞である可能性が高く、心臓から血栓が飛んで急に脳梗塞が起きたんだとしたら、実際には気づくのは難しいのかもしれません。








 実際、私の家族も同じような状況で119番をかけることがあったけど、119番をかけるまでに30分近くはかかり、搬送するまでには結局1時間くらいかかってしまいました。
 日本人ですらその状況なんですからね。












 ついでに、この記事の「1時間だから回復は難しい」とかいう書き方は、誤解を産みやすいものだと思います。
 「3時間までは薬物投与が可能」だとか、「30分がタイムリミット」だとか、そういう言葉に簡単に騙されるのは良くないのではないかと。
 現場がそんなに簡単にいくわけないでしょう。
 患者さんの体調、体力、精神面、症状の重さ、その日の気候などなど、色んな要素がそこに絡むわけで。


 例えば長嶋茂雄さんの場合、発症から6時間もたっていたのに、顔面麻痺と右手の麻痺だけで済みました。
 それは多分、長嶋さんが日頃から身体を鍛えていたからでしょう。
 でも、オシムの場合は見るからに肥満体系です。健康状態はもともと悪かったわけです。
 その分、回復は厳しいかもしれません…。
 もちろんそれも可能性の話ですが。
 要するに、医療だってケースバイケース。簡単に数字だけですべてを語るのは不可能でしょう。






 実際に医療現場に働く人に聞きましたが、「発見から1時間ならいいほう。病院に着いたのが1時間半なら優秀でしょう」と言っていました。
 最初の会見で、家族が早く対応したから云々と言っていたのは、正直なところなのでしょう。
 この記事を書いたという自称薬学生が、果たしてどれだけ現場を知っているのか知るよしもないですけど、理想と現実とでは話しが違うのですよ。
 それはサッカーだってなんだって、同じことです。



 







 それにしても…。 


記憶や運動を司る脳細胞は血流が止まっている間にどんどん死んでいくが、これを復活させる方法はないので、いかに早く病院に搬送し、投薬を受け、細胞が死ぬのを防ぐかが重要な鍵となる。
 いまやシロウトにも知られている「脳梗塞再生治療」すら知らない薬学生に、何適当なことを書かせてるでしょ…。
 また、脳梗塞再生治療と同じように幹細胞を培養して注射することで脳血管を再生する治療法も大阪で実験段階ですが、行われるそうです。




 このように医学の世界は日進月歩。教科書読んでるだけで、全てを語るなんて不可能でしょ(私だってそこまで詳しくないけど、逆に言えば上記の2つは詳しくなくても調べればわかるレベルなわけで)。
 特にオシム監督のようなVIPの場合、新しい治療法を優先的に受けさせてもらえる可能性があり、医療関係者の中では札幌医大にいくんじゃないかなんて噂も出ているんだとか。


 「VIPが優先されるなんてずるいじゃないか」なんて思われるかもしれないけど、そうとも一概には言えない。
 長嶋さんの時もそうでしたが、オシム監督のような有名人が回復することで、現在病魔と戦っている人や懸命にリハビリを行っている人達の希望の光になる。
 そういった考え方がごく普通に医学会にはあるということなのです。


 だから、オシム監督も頑張らなきゃいけない。
 頑張って、今度はそういった人達の希望になってほしいですね。
















 ようするに私が言いたいのは「1時間、1時間」って、単純に騒ぎすぎじゃないのかということ。
 1時間ならまだ早いほうだし協会の責任を問いたいのなら、単純に協会の連絡体制が上手く回らなかったことだけを、批判すればいいじゃないかと思うんですけど。


 クラブへの批判なんかもそうですけど、なんでもかんでも批判に使おうとしすぎなんですよね。
 それじゃ論点がずれるだけで、逆効果になるだけです。









 私が一番言いたいのは、単純に「アマル監督が不在だったらどうするつもりだったんだよ」ってことです。








 今回はアマル監督が偶然いて、祖母井さんの連絡先を知っていたから良かったようなもの。


 協会の関係者にも連絡しようとしたけど駄目だったということだし、アシマさんだけなら祖母井さんにも連絡しきれなかったのではないかと思います。
 連絡体制は作っていたというのだから、アシマさんには協会の連絡先を伝えていなければいけないはずなのに。
 ここの家族はイビチャ監督や息子達がしっかりしているせいか、アシマさんは比較的のんびりした方だし。 






 もし、アマル監督が自宅にいなかったら…と、考えただけでゾッとします。
 そのあたりを協会がどのように反省しているのか、どうするつもりだったのかをぜひとも聞いてみて欲しいものです。