犬の生活「後半はよかった、素晴らしかった」
今のレッズの特徴は、なんと言っても“強さ”なんですよね。
あっさり2点を奪って貫録を見せつけた浦和だったが、正直よいチームだとは思わない。その点はテレビで見るのと印象は変わらなかった。だが、浦和は強いチームだ。
勝負強さ、粘り強さ、我慢強さ…。
色んな形容の方法はあると思うのですが、何にせよまずは勝負にこだわる。
それがレッズのコンセプト(方向性)であり、そのようなチームを作るために集められたメンバーであったり、スタッフであったりするわけです。
でも、ジェフはそうではない。
ジェフのコンセプト…というか今のジェフのコンセプトを作ったオシム監督のコンセプトは、“強さ”ではなく“面白さ”です。
西部さんの言葉を敢えて借りれば、“よいサッカー”を目差すこと。
これがジェフのコンセプトです。
最近はファン層も変わったせいなのか、その大事なコンセプトを忘れて「とにかく結果を出せ」、「何で結果が出ていないんだ」と言う人も多いようです(もちろんシーズン前半の結果は酷すぎだったから仕方ないけど)。
「なぜレッズのように結果に拘らないんだ」、「なんでワシントンやジュニーニョのような得点力のあるFWをとってこないんだ」というのなら、答えは単純。
「コンセプトが違うから」ですね。
そして、「そのコンセプトがいけないんだ」というのなら、「じゃあ、なんでオシム監督の時は黙っていたの?」となると思います。
オシム監督も結果には拘っていませんでした。チェ・ヨンスを移籍させたことでも、そのあたりがはっきり見えていたはずです。
「勝とうと思えばもっと勝てた」とまではいいませんが、「勝つためのメンバーではなく、良いサッカーのためのメンバーやスタッフを集めた」のがジェフなわけです。
第一、もし「勝つサッカーを目差す」というレッズと同じコンセプトの下で戦っていったら、いつまで経ってもレッズの上にはいけないでしょう。
あんなにいいディフェンダー、集められないですもん。
ワシントンもポンテも獲ってこれないでしょうしね。
だから、違うコンセプトでもってJリーグという市場の中で、生きていくしかないんです。
もちろん、そんな中でも「一発大きい山を当てようぜ」という意識は重要です。
でも、そういった意識とコンセプトというのはまた違うわけですからね。
だから、4-2で負けたけれど、恥じることはない。
コンセプトは見せられたはずです。
だけど、悔しい。それもまた事実。
もちろん、“良いサッカー”をした上で勝つに越したことはないし、出来ることなら一勝でも多く勝ちたい。
けど、それはコンセプトではなく、その他の意識の方だと思います。
前半は勇人の怪我も痛かったと思います。
後半はよかった、素晴らしかった。羽生が負傷から復帰したばかり、巻も山岸も万全ではなく、水野もいない。その中で、やれることはやってくれたと思います。
新居も怪我で万全じゃなかったと思いますし、いい状況ではなかったと思います。
これはどうでしょうね。
まあ、後半だけ見れば、レイナウドを最初から使っておけばよかったんじゃないかという気もしますが、こういうのは後出しジャンケンなんでね。
新居が苦しんだのは、中盤とDFによるプレスが厳しかったから。
しかし、後半は相手も疲れてきた上、DFラインがひいてしまったので、中盤に下がれば比較的楽にボールをもてました。
前半のハイプレスの中では、レイナウドも活きなかったでしょう。
レイナウドはスピード(直線速度)はあるけど、アジリティ(機敏さ)、クイックネス(素早い反応と加速)には課題があるような感じです。
マリオ・ハースも、来日当初は日本人DFのこの部分に苦しみました。
(関係ないけど、これ3つでSAQと言います。日本人はSよりもAQに優れていると思うので、世界と戦う上ではここで勝負すべきじゃないかと思うわけです。)
で、アジリティやクイックネスがないとハイプレッシャー状態では苦しい。
一方で、新居はその点を上手く活かせるようになってきました。
ジェフ入団当初はスピードだけに囚われていた感じがあったけど、今は一度ひいてマークを外す動きをしてから貰うとか、はたいてからの動き出しを速くするとか、アジリティとクイックネスで工夫できるようになってきたように思います。
まぁ、新居も前半は良くなかったですけどね。それほど浦和の守備はよかったということでしょうけど…。
とはいえ、新居があのまま後半残っていても活躍できたとは思いませんけどね。
DFが下がった分、裏のスペースがなくなりました。
その分だけ表のスペースはできたので、レイナウドは高いテクニックと上手いからだの入れ方でそのエリアを活かすことができましたけど、どうしてもフィジカルコンタクトが増えてしまいますからね…。
このあたりの選手達の変化や成長は見ていて面白いものがあります。
ただ、一度良かったからといって、次がいいとも限らないし、逆もまた然り。
2人とも素晴らしい持ち味があるのはわかったのだから、これからに期待したいと思います。