札幌を襲う石屋製菓ショックに思う

 サッカーファンの一人として、当然石屋製菓にはコンサのスポンサーを続けて欲しいと思うし、そのためにも石屋製菓には早く立ち直って欲しいと思います。
 ただ、実際問題として現状を考えれば、今はまだ「今後も札幌のサポートは継続して行う」とはさすがに言えないんじゃないでしょうか。



 サッカーファンからすれば「イメージ回復のためにもサポートを」と思うかもしれないけど、株式会社である以上最も重要なのは株主であり、その株主に「収入見込みははっきりしないけどコンサへのサポートだけは続けます」という説明は通りません。
 これが現実だと思います。今の段階でコンサのサポートを続るというほうが、ちょっとおかしいんじゃないでしょうか。










 この話し、他のクラブのサポーターも対岸の火事だとは考えないほうがいいでしょう。
 例えば不祥事ではないにせよ、2002年から長らくジェフのサポートをしてきてくれたオートウェーブが、昨年度の業績の不振で撤退。ジェフの親会社である古河電工の関連会社である富士電機がその穴埋めしてくれた形だけど、今度はセガサミーの業績が悪化。今後も不安は続きます。
 スポンサーじゃなくとも、親会社に問題が生じるかもしれない。
 あのソニーですら株価の暴落は起こったんだし、長い目で見れば大企業だって安全とは言い切れません(まぁ、トヨタは強いだろうけどさ)。






 でも、だからといってスポンサーや親会社に頼るなともいえないと思います。
 もちろん、親会社に頼りすぎるのは健全ではありません。
 けれど、海外のビッククラブにしたって胸スポンサーだけで年間100億円単位で儲けているわけだし、それを失えば大きな損失になることは間違いないわけで。
 収入の総額からスポンサーからのお金を差し引いたら、世界のビッククラブだって大した額は残らないのではないかと。
 スポンサーなしで選手を食わせられるクラブなんて、世界中探してもなかなかないんじゃないかと思います(儲けているところほど選手は高額なんだし)。
 Jリーグだって、観客動員数は世界に誇れる数字を持っているんですから。




 まぁ、スポンサーが撤退しても、次から次へと新たなスポンサーが現れるからビッククラブなんですけどもね(笑)
 でも、多くの人が言っている「Jリーグのクラブは自立せよ」という言葉の「自立」って、なんなんだろうなと思ってしまいます。



 親会社から名目上でも独立したら自立なのか。でも親会社じゃなくても、石屋製菓のように熱心に見てくれるスポンサーもあるわけですし。
 その石屋製菓が今回のように傾いたら、親会社がいなくたってクラブは苦しくなるわけだし。
 








 奇しくも石水勲前社長による宮の沢白い恋人サッカー場」の専用スタジアム改修計画が記事になったばかりでした。
 今これを読むと非常に悲しくなるけど、だからといって今まで頑張ってくれた石屋製菓を非難する気にはなれません。もちろん今回明るみになった不祥事に対しては非常に遺憾だけれど。
(ちなみに白い恋人サッカー場は既に一部屋根付きの立派なスタンドにレストランが併設。グッズショップもあり、ピッチの下にはヒートポンプが通っていて雪が降っても練習が出来るそうです。これを無償で貸してたっていうんだから、練習場の横にはモオノキしかないところのサポにとってはこれだけで涙が出てきます。)


 今はただ、この報道が逆に上手く作用して、石屋成果が持ち直してくれることを祈るばかり。













 余談だけれど、こういった厳しい状況でもスポンサーを続けることでクリーンなイメージを与えるだけの存在に、サッカーというスポーツがなれているのかどうか…。
 少なくとも今の日本ではまだまだでしょう。
 継続してくれればサッカーファンは喜ぶだろうけど、株主に言わせれば「それで?」で終っちゃうことです。




 F1の世界ではスポンサーになってかかる費用を、スポンサー“フィー”といいます。“フィー”で単語を調べると「手数料」とか「料金」とか出てくるんだけど、経営学では簡単に言うと「かかっても仕方のない費用」というか「あるモノと交換するためのお金」といった感じです。
 この反対の言葉が“コスト”です。「かかってはいけない費用」とか、「減らすべき支出」とか、マイナスなイメージの言葉ですよね。




 今のJリーグへの投資は多分、スポンサー“コスト”としか見られていないと思います。
 でも、それ自体は仕方のないことだと思います。F1の世界だってフィーというけど、スポンサーになるだけならどれだけのメリットがあるか…(F1の場合その後に何か=付加価値があるわけですが)。
 欧州のサッカー市場だって、大きくは変わらないと思います。


 税金対策として、Jリーグのスポンサーを続けている企業もあるでしょう。
 しかし、今回の石屋製菓の不祥事発覚やジェフのオートウェーブの経営不振のような状態になり収入が減った場合、税金対策とは言いづらくなってしまうわけで…。









 最終的には文化の問題じゃないかと思います。
 どれだけ、サッカーに投資することに付加価値を見出すのか。
 これは簡単なことではないでしょう。でも、それがサッカーそのものの存在意義にも繋がる訳で。


 ただの娯楽なのかそれとも文化なのか…。
 難しいですけどそこの認識を変えられるかどうかが、今後の日本サッカーの行く末にも大きく関わってくるのではないでしょうか。















 ついつい戯言が長くなってしまいました。
 とにかく、コンサドーレ頑張れってことで。
 明日の更新はお休みの予定です。