オシム監督「4バックは勇敢すぎた」

 日経新聞に掲載されていたオシム監督の記事が、ネットに上がっています
「アジア4位」反省と自信(1)」
「アジア4位」反省と自信(2)」
「アジア位」反省と自信(3)」
「アジア4位」反省と自信(4)」



この大会のオシム監督は先発メンバーをほぼ固定して戦った。それも自ら「少し勇敢すぎる、リスクを冒しすぎた」という4バックの戦術を採って。周囲から「王者」として標的にされる状況を踏まえたとき、タイトルを「守る」よりも「取りに行く」意識を選手に持たせたかったのか。
 私もやはりリスクが大きすぎたように感じます。
 某SNS(笑)で私のエントリに対してコメントがあったのでここで言っておきますけど、私も4バックだろうと3バックだろうとどちらでもいいんです。
 相手が1トップなら2バックでも構わないと思っています。


 そのエントリでも言ったはずですけど、問題なのはマンマーク気味なのかゾーンディフェンスなのか。
 要するに守備ラインに1人余るかどうかです。




 理論的には4バックのゾーンでもいいのかもしれない。
 けれどもし4バックのゾーンで守るなら、もっとDFラインをフォローできるだけの守備能力があるボランチか守備意識の高いサイドバックの選手、あるいは世界的なFWも止めることのできるセンターバックが必要になってくると思います。


 でも、そうやってメンバーを変えていくと、結局1人余るのと同じメンバー構成になるのではないかと思います。
 世界の強豪国のように一対一でどんな相手を止められるだけのDFがいれば、DFラインをフォローしなくてもいいという話しになるのかもしれません。しかし現実には…。




 トゥーリオがいれば、4バックがもっと安定したのではないかという意見にも私は懐疑的です。
 確かにトゥーリオならビドゥカには対応できたかもしれません。
 けどスピードのあるキューウェルのような選手が相手なら、阿部の方がトゥーリオより上手く対応できたのではないでしょうか。
 かといって、相手によってコロコロとDFラインを変えるわけにもいきませんしね。



「韓国戦で言えば、相手は7人の大型選手がブロックをつくって守っていた。高原(フランクフルト)は疲れ、佐藤(広島)と羽生(千葉)はミニサイズ。そんな状況では無理にラストパスやロングボールを入れても効果はない。丁寧につなぐしかなかったのだ」


「理論上はロングボールにこぼれ球を狙ってシュートというやり方もあった。その場合は長身の矢野(新潟)と巻(千葉)を入れて高原を外さないといけなくなる」。今大会の高原は最も代え難いFWだった。単純なキック・アンド・ラッシュは中村俊ら自慢のMF陣の頭上をボールがいたずらに飛び交うことも意味する。土壇場以外は採りづらい選択肢だった。

 これだけでは解りにくいので付け加えると、韓国は4-5-1のような布陣でサイドバックが積極的に上がってくる可能性があった。
 日本代表はその上がりをフォローするため中盤を厚くし1トップで臨むことが、はじめから決まっていたということですね。



 しかし、大会スタート前は高原をウイング気味で使うか、巻をサイドバックの守備に当てるかどちらかだと思ったんですけどね…。
 まぁ、どちらにしても難しい選択ではあったと思いますけど。







 それと「日本は小さな選手ばかりだから、ロングボールを放り込むより丁寧に繋ぐしかない」んだというコメントは興味深いですね。
 ようするに、これってジェフでも同じことなんでしょう。
 2,3年前はロングボールに競り勝てていた巻も、今ではそれが研究されてどこのチームが相手でも長身DF2人にサンドイッチされることが当たり前になってしまっていますからね…。



「選手一人ひとりがもう二つ三つレベルアップすれば、コレクティブなプレーのレベルも何倍にもなるのだが。中村憲のスピードが増し、鈴木(浦和)のテクニックが向上するとか。サイドバックがもっと相手にとって危険なプレーができるようになり、遠藤や中村俊がゴール前に飛び出していけるようになるとか。これからでも遅いわけではないだろうし、努力してほしいと思う。どれだけ大きくなりたいかという野心がないことには、なりたい自分には近づけないのだから」
 結局、ジェフの頃と同じような話になってきていますね。
 オシム監督が優秀だから戦術面ではもう伸びない。これからの課題は個の問題…。



 けど、本当にそうですかね。
 まだまだ戦術面でも伸びる余地はあると思うし、本当にアジア杯の戦い方が日本代表を最も活かすことのできる戦術であったのかという部分に関しては、まだまだ議論の余地があるのではないかと思うのですが。




「それに予想外の喜びもあった。今回のような外国での長期の共同生活では思わぬマイナス面が生じることがある。しかし、私が心配するような問題は何一つ起きなかった。選手はグループとして団結してトレーニングに取り組み、中村俊や高原もあくまでチームの一員として振る舞った。周りの選手にとって、彼らはあこがれの偶像、大スターである、というような(引け目を含んだ片思いのような)関係も解消できたと思う」
 前から言われていたことですけど、これが一番の収穫ですよね。
 今までなかなか時間の取れなかった日本代表が、長い時間一緒に練習し、共に生活することで、お互いを知ることが出来たこと。
 これは非常に大きいことだと思います。


 ただし、長期間一緒に練習をこなしたからこそ、もっと声の出るチームになってほしかったのですが、テレビを見る限りではまだまだそれが足りなかった印象だったのが残念です。





 課題はたくさんありますが、急いでも解決には繋がりません。
 1つ1つ、課題に直面し克服しようとする気持ちが、今は必要なのではないでしょうか。