<a href=http://www.jsports.co.jp/column/detail/N2007051711320302.html target=new>メインテーマは自発的にスペースを作り出すこと</a> 

 後藤健生氏のコラムは扱うかどうするかいつも迷うんですけど、あまり贅沢も言っていられません。


 でも、あの発言を許したつもりはないですけどね。



サイドバックの攻め上がりができなかったのは、一つには播戸と佐藤がタッチライン沿いのスペースに位置を取っているためだ。攻めあがりたくても、スペースが消されてしまっているのだ。そして、もう一つはMFが3人だったこと。4人あるいは5人でMFを組む場合に比べて、比較的早いタイミングでFWにボールを出すことになるため、サイドバックが攻撃に出るタイミングがつかみにくくなってしまうのだ。まるで意図的であるかのように、オシム監督はサイドバックの攻撃参加が難しいような配置で試合を始めたのである。


こうして、キックオフから25分くらいまでは、攻撃が噛みあわないまま時間が過ぎた。そこからは選手たちの応用能力の問題だ。ちょうど森に代わって橋本英郎が左サイドバックに入り、駒野が右に回った頃からだった。サイドバックが上がるスペースがないことに気づいたFWの選手たちが動きを工夫し始めたのだ。ボールサイドのFWはタッチライン沿いでプレーするが、逆サイドのFWは中央に入って、ツートップ気味となる。そして、そのスペースを生かして、サイドバックが攻撃に参加する……。
(中略)
動きも悪く、結果にも結びつかない練習試合だったが、その中でも選手たちの判断力、応用力が見られたのは、オシム監督にとっては(ささやかかもしれないが)確かな収穫だったろう。


 多くのマスコミは2-0でしか勝てなかったことを嘆いていたりするのですが、これはあくまでもテスト。
 テストって言葉はオシム監督も嫌っているし、我々ファンも一度五輪で痛い目をあっているのであまり使いたくはないのですけど、あくまでもこの合宿は強化の過程であってチームとして、結果を出す場とはちょっと違うはずです。
 もちろん結果が出ることに越したことはないけれど、もし結果を純粋に求めるのならレギュラー組を固定して試合をした方が得策です。
 でも、オシム監督はそうじゃないですよね。



 そんな状況で、オシム監督は4-3-3で両ウイングをサイドに張るフォーメーションを取ったようです。
 しかし、ウイングが張り付いてばかりではオシムサッカーの武器であるサイドのオーバーラップが活かせない、だから自然とウイングがスペースを作る動きを要求される…。
 簡単にまとめるとこんな感じだったのでしょう。


 オシム監督は、日本人FWのスペースを作る動きの拙劣さを指摘していたことがあります。
 今回、ウイングで使われた選手達は播戸、佐藤、黒津、杉本は本来FWの選手。
 ウイングとしての適正も試されたのでしょうけど、スペースを作る動きの重要性を確認させるためにウイングで起用したという一面もあったのかも知れません。




 そういえば、ジェフの頃に2バック1ボランチ3トップの2-1-4-3みたいなフォーメーションで、大学生相手に戦っていたところを実際に見たことがあります。
 前の方にそれだけ選手がいると当然スペースがなくなるので、前目のポジションの選手に(FWだけでなく)「もっとスペースを造る動きをするように」という声が、コーチ陣から何度も出ていました。


 その時の試合も、今回の練習試合も多分狙いは一緒。
 要するに自発的にスペースを作り出すことが、メインテーマだったのではないかと思います。