西部謙司氏「オシム・コードとトータルフットボール」


オシム監督もジェフ千葉時代に「目指すのはトータルフットボール」と言ったことがある。半分は冗談だが、半分は本気だったと思う。
 西部さんはこう仰っていますけど、私は本気だったと思います。
 トータルフットボールとはあくまで理想。実現はしない夢のような話しとも言えますが、目指す方向性として本気だったんじゃないでしょうか。


 まぁでも、この先のコラムを読ませていただくと「とくにこれがトータルフットボールだという定義があるわけではない」と書かれている一方で、「トータルフットボールは30年も前の概念であり、当時「未来のサッカー」と呼ばれたオランダのプレースタイルも、現在にそのまま受け継がれているかというと全くそうではない」と書かれています。
 前の文では「トータルフットボールは定義がない」と言っていて、後半では「トータルフットボールの概念はもう古く、そのままでは使えない」というようなことを仰っています。
 若干ですけど、矛盾していますよね。


 私は西部さんの仰るように「トータルフットボールは定義がない、夢のようなもの」だと思っていますので、それをオシム流にアレンジするのは当然のことだと理解しています。
 ですから、オシム監督が「目差すのはトータルフットボール」というのは、決して冗談でもなく、かといって74年のオランダやドイツを目差しているわけでもないと、勝手に解釈しています。



オシム監督が謎をかけた「ポリバレント」とか「トータルフットボール」という"コード"を深読みしてみるのは、オールドファンの楽しみではある。
 ポリバレントポリバレントと騒がれていますが、私はオシム監督が追い求める「トータルフットボール」や、「マンマーク主体のサッカー」を実施するために必要なのが、「ポリバレントな選手」なだけであって、ポリバレントという言葉ばかり先行するのは順番が逆なんじゃないかなと思っています。
 ジェフでポリバレントな選手と言えば、坂本、山岸、羽生、阿部、勇人辺りが、該当するでしょうか。
 それぞれ、複数のポジションがこなせ、攻守両面で活躍でき、連携プレーが得意な、要するに「なんでもできる」選手です。
 こういった選手達は、トータルフットボールでは欠かせないし、攻守両面で活躍できなければ、「マンマーク主体のサッカー」も出来ないわけです。
 





 そして、この話しと、一つ前のエントリで紹介したアウトゥオリ監督のコメントを照らし合わせると、なぜ日本のファンタジスタと呼ばれている選手達がなかなか代表に呼ばれないのかも、わかってくるんじゃないかと思います。


 なお、私は「守備が出来ないファンタジスタは呼ばないだろう」と言いましたけど、同じ理由で守備だけの選手も呼ばれないだろうと思っています。
 攻守両面で対峙する相手に一対一で勝つこと。基本的には、これをオシム監督は求めているんだと思います。
 もちろん、理想を追い求めつつ、チーム全体のバランスを維持することも必要ですけど。