日本代表、紅白戦で課題見付かる

 決して今回の紅白戦で見つかった問題なわけではなく、ずっと前からわかっていた問題なんですけどね。


中村が指摘したのは、最終ラインの位置。「相手にボールを回されている時、ラインが低過ぎる。中盤との距離が空き過ぎ」。だが、DF宮本は「1試合を通じて深い位置で守備をしたくはないが、中央付近でずっと守れるわけはない」と話した。

 DFラインとしては、宮本や三都主など一対一に弱い選手がDFに多い上、中盤のプレスがうまくいっていないから、あまりDFラインを上げたくない。
 しかし攻撃陣としては、日本の強みでもある中盤での勝負で相手を上回りたいから、コンパクトなサッカーをしたいし、間延びして余計な体力を使いたくはない。カウンターを成功させるためにも、パスを繋ぐためにもDFラインはもっと上げてほしい、ということなんでしょう。
 本当は中盤の選手達だってもっとプレスに行きたいんでしょうけど、守備的なハードワーカーが23人枠の中に1人もいないから実際には厳しい。現在使われている選手達は本来、攻撃的な選手達ばかりなのに、守備をしなければいけないわけですから、混乱するのも当然です。
 セルジオ越後氏が23人の代表が選手が決まった直後、某スポーツ新聞で「この23人では、混乱してしまうからスタメンの11人を選ぶことはできない」と言っていましたが、まさに今の代表はそんな感じに陥っています。サッカーでは攻守のバランスというのがとても重要なはずなのに、そのバランスが滅茶苦茶になっているんですよね。


 一番悩んでいるのは中田英なんじゃないでしょうか。中盤で相手の優位に立つためにも、早めにプレスに行きたいんだけど、プレスの約束事が決まっていないし他の選手のフォローが全くないため行くことができない。
 ヒデがファーストディフェンスに行ったときに、例えばサイドの選手が中に絞るとか、攻撃的MFやリベロがヒデの穴を埋めてくれればいいんだろうけど、そういったことの出来る守備に長けた選手が使われていないんですよね。かといってヒデが下がると当然中盤は苦しくなるし、攻撃もうまく行かなくなるわけで…。
 トルシエ監督の頃は「中盤で勝とう」というコンセプトがはっきりしていたため、サイドにも敢えて中でプレーできる明神や小野を使ったり、DFラインにもボールを動かせる中田浩二を起用したりしていたけど、ジーコ監督になってからはコンセプトがあやふやで、何をしたいのかがはっきりしません。どういったサッカーをしたいのかという目標が決まっていなければ、選手達がどれだけ話し合ったっててまとまらないでしょうし、攻撃が得意な選手達ばかり使われているから、誰かが守備をしなければいけないはずなんだけど、当然普段は守備的じゃない選手に守備をやらせてもうまくはいかないわけで…。




 しかし黄金世代の最後が、こんな形になるなんて4年前は思っても見ませんでした。現在29歳の中田英に4年後を期待するのは難しいだろうし、元々フィジカルは強くない柳沢、俊輔、小野、宮本らも2010年は30歳を過ぎているため、少なくとも選手としてのピークは過ぎているでしょう。
 この豪華なメンバーが集まるのは今回の大会が最後となる可能性も十分にあるし、本来なら2002年以上の成績を収めることが目的となるドイツW杯だったはずなんですけどね…。非常に残念です。


 しかし、これだけのメンバーが揃っても、監督ひとつでここまで駄目になるものなんだということだけは、はっきりとわかった4年間でもあったと思います。
 そう考えると、次期監督の選出は非常に重要ですし、当たり前ですが妥協は許されないということになります。
 それをあの人はわかっているんですかね。2010年のW杯出場を逃しては、JFAの予算もかなり厳しくなるはずなんですけど。