ザウバー、ジャック・ビルヌーブを更迭?

 開幕からマッサに対して明らかに遅れをとっているビルヌーブの更迭話が出ています。ザウバーのマシンも決して悪くはなく、得点圏前後を走っているだけあってドライバーの能力は重要となりますから、この噂もありえない話ではないでしょう。しかし代わりのドライバー選びが難しいところです。
 理想をいえば、一時ザウバーが獲得に動いたといわれているBARのサードドライバー、アンソニー・デビットソンがほしいところでしょう。しかしBARとしては来期デビットソンがレギュラードライバーに昇格する可能性もあり、しかもライバルであるザウバーに貸し出すのはまず無理。スポットならともかく、今シーズンはまるまるザウバーで走ることになるでしょうしね。
 マクラーレンデ・ラ・ロサアレクサンダー・ブルツも金曜日のテスト走行という大役があるのに加え、モントーヤが現在負傷中ということもあってすぐには無理。モントーヤが復帰したとしても1人は金曜日のテスト、もう1人は合同テストで走らせたいでしょうし。
 ウィリアムズのアントニオ・ピッツォニアも、スポンサーの絡みで出せないでしょう。
 「レッドブルの秘蔵っ子」であるC.クリエンも、リウッツィの能力がいまだ未知数なため出しにくい。リウッツィをまたテストドライバーに戻せば、金曜日には知らせることも出来ますしね(クリエンは金曜日のテスト走行に参加できない)。しかもザウバーレッドブルがスポンサーだったころにクリエンの起用を断ったために、スポンサーを打ち切られた経緯もあります。
 と、能力の高いテストドライバーは基本的に出してもらえないでしょうね。最近は上位チームと下位チームの差が激しく、上位チームのテストドライバーは実力かスポンサー絡み(フェラーリは開発能力中しか)。下位チームはスポンサーマネーを求めて契約しますから、空いている実力派テストドライバーは少ないわけです。
 はっきり言って今回の件はザウバーの失敗でしょう。ポイントが欲しい中継チームが、名前やスポンサー関係でレギュラードライバーと契約するのはリスクが高すぎます。まあ今回の場合、昨年フラビオ・ブリアトーレがトルゥーリとケンカして無理やりジャックを復活させ、その尻拭いをザウバーがさせられている感じもしますが(しかもブリアトーレは昨年後半のルノーの低迷を少なからず、ジャックの責任に出来る)。
 ザウバーがジャックを更迭するには、ザウバーのテストドライバーである二ール・ジャニを昇格させるしかないでしょう。ただし彼はスイス人で、ザウバーの本拠地であるスイスへのアピールという意味合いが強いドライバーです。それでも昨年、金曜日のフリー走行で走らせ、彼を育てておけば今回スパッと交代できたでしょうけどね…。若干、今回の件は総じてザウバーの甘さが目立つように思います。