大宮がジェフFWペチュニクを獲得か
報知によると、大宮がジェフFWペチュニクを獲得するとのことです。
パラグアイ代表MFの話のときに、「ペチュニクと被るので移籍の可能性も?ただ、移籍金が発生するはず」と話していたのですが、その移籍金も大宮が支払うとのこと。
文章内容から考えると、決定の方向なのでしょうか。
ジェフでのペチュニクはチームにフィットしきれなかった印象もあり、うまくはまればもっと活躍できそうな選手ではあると思います。
今年のジェフは各ポジションのタスクが明確になっておらず、自由にプレーしていたところがあったと思います。
結果的にそれは、プレーを個々の判断に任せることになっていきました。
その中でペチュニクは、攻撃における基本的な能力が非常に高く万能な選手だと思います。
スピードがないためドリブル突破などはないものの、それ以外のアタッキングサードでの仕事は基本的に何でもこなせる。
状況判断が良くキックの精度も高いので、ラストパスはもちろん足元でのシュートも狙える。
空中戦にも強くヘディングでのシュートだけなく、ロングボールに対するポストプレーでも貢献できる。
ゴール前への飛び出すタイミング・コースも良く、クロスだけでなくスルーパスでもゴールを狙えそうな選手で、中盤に下がっては大きな展開も出せる選手です。
そういった選手が攻撃で自由にプレーすることになったことで、ジェフではタスク過多な状況になっていたと思います。
それによってペチュニクの消耗が激しい状況になり、ラストプレーなどに集中できない部分があった。
本人がいろいろとやりたがるという面も大きかったでしょうが、チームとして攻撃が整備されていないこともあって、「自分が何とかしなければ」と思うところもあったのではないでしょうか。
実際、スロベニア代表でのペチュニクは中盤エリアではシンプルに叩いて、ゴール前に飛び込むというプレースタイルでした。
そちらの方が本来の良さが出せるのでしょうし、ゴール前でのプレーにも集中しやすい。
その形でイングランド代表からもゴールを決めています。
今年の大宮は中央ではタメからのパスワーク。
サイドからは開いて縦に仕掛けてクロスとシンプルなサッカーをしていた印象で、どちらもペチュニクには合いそうな気がします。
ムルジャとの2トップでは極端すぎる気もしますが、もしダメでもペチュニクを2列目で起用すればいい。
家長もチームに残るのであればどちらでも起用できるでしょうし、獲得が決まった江坂も同じことが言えると思います。
磐田への移籍が決まった中村もそうでしたが、ペチュニクの存在も別の意味でチームの重荷になっていた印象もあります。
能力が高い選手をうまく活かせないことで、チームにも本人にもストレスになっていた部分があったのではないでしょうか。
アタッキングサードでの仕事のすべてをペチュニクに頼るような試合になっていたことも多かったし、ペチュニクが下がって仕事をしざるを得ないことも少なくなかった。
ペチュニクがあまり得意ではないドリブルでの仕掛けや中盤でのパスワークをやらなければいけない状況になっていた場面も目立ち、それによって攻撃全体がスムーズに回らない状況に陥っていた印象もあります。
しかし、それでも今季通算14ゴール。
ジェフ内では断トツのトップで2位は井出の6ゴールですから、倍以上のスコアとなります。
J2では6位の成績ですが、チャンスメイクやポストプレーにも貢献した上でのこの結果は、立派な成績と言えるでしょう。
これでペチュニクも移籍となれば中村に続いて能力は高いにもかかわらず、チームで活かし切れなかった選手が退団することになります。
2人のような選手が移籍して関塚監督の好みに合う選手で構成すれば、監督としてはチームを作りやすい状態になるかもしれません。
しかし、それによってチームの総合力が下がるということになれば、将来的な不安は大きくなるようにも思います。
木山監督の時も外国人選手が活かし切れず、チームの成長という点で不安を感じる部分がありました。
現在の愛媛ではほぼ日本人選手だけの選手構成で小ぶりな良チームを作っており、これは以前指揮した水戸でも同様のことが言えます。
しかし、そこからの伸び代がどこまであるのかという点が、今後の大きな壁となるでしょう。
12年末にジェフが関塚監督にオファーを出した際も、2人は似ている部分がある監督だと話しました。
実際にジェフに就任してからも後方を固める守備スタイルと、攻撃は比較的自由にさせている点で似通った部分があると思います。
思ったよりも関塚監督は外国人FWをうまく使いこなせていない印象もありますが、それでもペチュニクやパウリーニョを最後まで起用し続けてきました。
結局、木山監督が続投しても、ジェフは同じような状況になっていたかもしれません。
ここ最近ユース年代で成功した監督がうまくいかないケースが目立ているのも、そこに1つの要因あると思います。
日本人選手だけの構成で小ぶりなチームを作る分には、問題が起こりにくくやりやすい面もあるのでしょう。
しかし、そこに異物となる能力の高い選手や外国人選手を、うまく組み込むことができるかどうか。
そこで組み込むことができなければそのチームの限界というものは早期に見えてきてしまうし、うまく活かせなければチーム内においても様々な意味でストレスが生まれてきてしまう。
まだ、来年のチーム全体の選手構成がどのようになるのかは見えてきませんが、どのようなバランスになるのか注目だと思います。
小規模なチームでも全体の成長が見込めればそれでいいのかもしれないし、クラブの置かれる環境によっても違うでしょう。
しかし、本来は関塚監督になって2.5年目となり、勝負の年となるのではないかと思います。
その年にチームのアシスト王と得点王が抜けるとなれば大事だと思うのですが、2人が抜けるとして穴を埋められるのかどうか気になるところです。