今年の選手構成から思う"現実"と"覚悟"
17日にジェフのサポコミ・新体制発表会が行われ、今年の選手構成が明らかになってきました。
今年は残念ながら私は参加できず、メンバー表や当日行かれた方からうかがったお話などからしか状況は分かりません。
10番、18番が抜けていることからして今後の補強が行われる可能性もなくはないのでしょうが、今から2人も3人も有力選手を補強できるわけもないでしょうし、基本的にはこのメンバーが今季のベースということになるのでしょう。
ジャイール、ナムはこのタイミングで退団が明らかになりました。
どちらもセンスは非常にある選手だと思いますが、ジャイールにはプレーの粗さ、ナムには怪我やメンタル面の課題などもあって、選手としての総合力という意味では課題もありました。
出場機会がないことで毎回落ち込むよう選手が出てくると、結果的にチーム全体の雰囲気を悪くする恐れもあります。
選手構成を考える上ではそういったチームの和という部分も考えなければいけないと思いますし、その点で2人は難しい存在だったのではないでしょうか。
両者ともにうまくそのセンスを引き出せるチームへの移籍を期待しつつも、自身の課題を解決できるよう強く願っております。
さて、今季のメンバーに関して、それぞれのポジションごとに状況を確認してみたいと思います。
登録ポジションではなく、実際に出場する可能性が高いと思われるポジションで考えます。
新人や若手のポジションは分からないことも多いので、そこはとりあえずといった感じで。
戸島がレンタルで移籍したので、新加入の選手が決まったのかと思ったのですが、そんなことはなかったですね。
戸島本人が望んだ移籍だった可能性もあるという事でしょうか。
ケンペスの退団で戸島自身も今年はチャンスがあると考えるのではないかと思ったのですが、オナイウが2番手の立場は変わらないだろうという判断だったのかもしれません。
この辺りは練習の雰囲気などから伝わってくる部分もあるのでしょうし、本人にしかわからないこともあるかもしれませんね。
この結果、1人でもアクシデントでCFがいなくなれば、かなり厳しい状況になります。
そもそも13年に森本を獲得した際もケンペスの代わりがいないという問題があっての獲得で、それまではCF候補がケンペス1人でかなり苦労したわけですが、同じような状況になってしまいました。
何かあればペチュニクをまわす可能性もあるのかもしれませんが、本人が「トップ下」という話をしていましたし、主軸になってもらわなければならないペチュニクは出来る限りポジションを固定したいところではないかと思うのですが。
残留:谷澤達也、田中佑昌、町田也真人、井出遥也
加入:ペチュニク(レッドスター)、水野晃樹(甲府)
退団:大塚翔平(北九州)、幸野志有人(FC東京復帰)、山中亮輔(柏復帰)、ナム・スンウ、ジャイール
ペチュニク、水野を補強しましたが、レンタルを含め退団が増えている状況です。
特に幸野は14年終盤のレギュラーだったわけで、他に守備で計算できる2列目の選手は少ない問題は気になります。
水野を獲得したとはいえ攻撃的な選手で、ジェフ時代も逆サイドの山岸や坂本が守備でフォローしていたからこそのびのびとやれたところがあるわけで、幸野の穴埋めとはいかないでしょう。
ペチュニクには攻撃の軸として期待したいものの、同ポジションの町田は守備やパスのリンクマンとして重要な存在だっただけに、どこまでプラスになるかどうか。
層の薄いところへの補強はメリットが大きいものの、そうでなければプラス分は少なくなるわけで。
ペチュニクには相当な活躍が期待されることになります。
仲村はとりあえずこのポジションで。
慶はボランチでも計算できたので、SBとしてだけでなくボランチのポジションの層も薄めることになると思います。
しかし、待望の大型ボランチであるパウリーニョが上手くフィットすれば、プラス面を期待できるポジションとなるのでしょう。
ただ、以前にも言いましたが、大塚も含め純粋なパサータイプの選手が少なくなってしまったのは少し気になるところ。
関塚監督の好みというのも大きいのでしょうが、パスをつなぐ重要性もコメントしていただけにうまくバランスが取れるかどうか。
残留:大岩一貴、田代真一、キム・ヒョヌン、中村太亮、佐藤祥
加入:金井貢史(鳥栖)、栗山直樹(町田復帰)、乾健吾(桐生第一)、浦田樹(ジェフU-18)
退団:山口智(京都)、山口慶(引退)、竹内彬(名古屋)、天野貴史(横浜FM復帰)
残留:岡本昌弘、高木駿
加入:奥大生(甲府)
退団:碓井健平(清水)
一番の不安材料はDFラインでしょう。
智、慶、竹内と放出し、新人以外で新たに獲得した選手はSBがメインの金井のみ。
特にCBは大岩、田代、キム、栗山しか本職がいない状況となっています。
もちろん残った選手たちの成長には大いに期待したいところではありますが、CF同様に単純な人数不足は否めず不安の大きいポジションとなります。
全体をまとめると攻撃陣はペチュニクの活躍・起用法によっては期待できる部分もあるでしょうが、CFタイプが明らかに少ない状況で守れる2列目の選手がいないことも心配です。
中盤のボランチに関しては、パウリーニョを活かせればプラス。
しかし、守備陣は北爪など新人に期待したい部分もありますが、山口智、慶が抜けた穴は埋められず、CBも人数不足でマイナス面は大きいと思います。
総合的に見るとプラスかマイナスかと言ったら、マイナスの方が大きいのではないかというのが個人的な印象です。
ペチュニクや水野など攻撃面で期待したい選手は増えたものの、14年終盤のチームは守備面での課題が大きかった印象なだけにレギュラーだった智、慶、幸野に代わる選手が獲得できなかったことは残念ではないかと思います。
ベテランを放出し世代交代を図ったと思われる今オフ。
若手・中堅がシーズンを通して成長を遂げ、穴を埋められる状況が作れればいいのですが、昨年を思い返すと期待されていたものの伸びきれなかった選手も多かった印象ですし、有望な若手・中堅が少ないことが大きな不安材料と言えるのではないでしょうか。
単純に1シーズン戦うのに、足りる人数なのか?という不安もあります。
もちろんそれでも残った若手・中堅には、意地を見せてほしいところだと思います。
しかし、あまりにも退団した選手たちに比べて補強面が乏しく、冷静に考えると大崩れする可能性もあるシーズンということになるのではないでしょうか。
そういった覚悟も必要となってくる年になるのかもしれません。
考えてみれば「オフの補強で戦力が増すのは当然」という考え方が、そもそも間違っているのかもしれません。
J2では予算があるとは言っても、Jリーグ全体で言えば平均レベルで、予算で他のJ2チームを圧倒するレベルではないといえると思います。
ここ数年は強化費も減少傾向で、全体の予算も厳しいのだろうと思われます。
にもかかわらず、J1昇格を宿命づけられプレッシャーだけは大きく、そういったクラブを敬遠する選手もいるかもしれません。
もしJ1に昇格していれば予算面も交渉面も全く違ったのかもしれませんが、それに失敗したのだから苦しい状況になるのは当然とも言えるのかもしれません。
昨年は監督交代で違約金などもかかったでしょうし、長くJ2にいればどうしても予算面・戦力面でジリ貧傾向になってしまうもの。
磐田などは1年目の昇格失敗でいきなり苦しいオフになっていますしね。
しかも、ジェフはここ3年間プレーオフ進出の末の昇格失敗ということで、どうしても他チームに比べて翌年の準備で後れを取ってしまうところがある。
J2に降格した1年目には勇人、茶野、村井、林といった元ジェフの選手たちや、オーストラリア代表DFミリガンに加えて慶や渡邊などを獲得。
2年目にもオーロイ、ゲッセル、竹内などを補強し、3年目にも智、兵働、藤田祥史、荒田、武田などを積極補強。
特に1年目、3年目はこれでもかといった補強を敢行したわけですが、その状況がすごかったと言えるのではないでしょうか。
そして、その2回で昇格できなかったことは、今振り返っても極めて大きかったのだろうと思いますし、そういった積極的な補強が続くと期待する方が間違いだったのかもしれません。
ただ、クラブ状況において危機感を持つこと。
厳しい状況であることを受け入れて、開き直ってシーズンを迎えることのキッカケとしては良いのかもしれません。
過去2年間の補強状況を振り返ると穴埋め的な補強しかできておらず、その中でチームは良くやっていた方だったのではないかとも思います。
今オフに始まったのではなく既にジェフというクラブはかなり苦しい状況に立たされていたのではないかと思うのですが、それを理解して我慢強く応援していく必要があるのではないでしょうか。
ようするに今までとは違ったチームの見方をする必要があるのではないかとも思います。
…もっとも去年の新体制発表会の段階でフロントは昇格を掲げておらず、その時点で変わろうという意思があったのではないかと感じていたわけですが、結局監督交代を行いぼやけたシーズンになってしまったわけですが。
今年はベテランが減って若手・中堅が増えた分、それぞれ1人1人が頑張るしかない状況にあります。
初めはミスなどが目立ったとしても、それを温かく見守る姿勢が必要となってくるのかもしれません。
ベテランを残せば今年の戦力は計算できたのでしょうけど、伸び代という意味では不安があった。
いつまでもだらだらとベテランに頼る状況が続いては進歩はないわけで、リスクを背負っても前に進もうとしたということなのでしょう。
けれども、将来有望な若手・中堅が確保できなければただ戦力を放出しただけで終わってしまう。
キムなどは試合を通じて成長していきましたが、そう上手く成長する選手ばかりでもないわけで、伸び代がどこまであるのかを見極める目も重要になってくるはずです。
世代交代に必須な若手・中堅をどれだけ集められたのか。
関塚監督がそういった選手たちを育て上げられるかどうかが、今季のポイントということになるのでしょうか。
最近でこそ毎年のように積極的な補強を求められるジェフですが、10年ほど前までは選手が育っては移籍するケースが毎年のように起こっていました。
それでもその穴を埋めるべく若手が奮起して成長し活躍して、チーム全体も活性化していった時代がありました。
今年は結果的にそれに近いようなオフになりつつありますし、個人的には若手・中堅が活躍してチームが盛り上がっていく流れを期待したいところでもあります。
ただし、冷静にチーム状況を把握する必要もあるでしょう。
これまでの数年間ベテランに頼りすぎていた選手構成だったがために、チームには有望な若手・中堅が少ない状況だと思います。
その上でベテランが退団し穴埋めとなる補強もしきれなかったのですから、かなり厳しい状況にあることは間違いないでしょう。
今年はベテランに頼って若手が育たない"負の連鎖"を断ち切るための、改革1年ともいえるのかもしれません。
改革はすべてが成功するとは限らないし、大きく舵を取ろうとする初めは苦労することの方が多いかもしれない。
それでもいつかは"負の連鎖"から抜け出さなければいけないとは思っていましたし、そういった意味でも覚悟を決めなければいけないでしょう。
クラブが大きく変わるためには、現実を見つめなおした上で、しっかりとクラブ関係者が1つの方向に向かって団結し、相当の覚悟を持って前に進まなければいけない思います。
今までのようにどこかで誰かが我慢しきれなかったり、いまだに現状を勘違いしていたら、改革など実現できるはずもないわけで。
苦しいシーズンになるかもしれませんが、クラブの未来のために覚悟を決めて戦っていきたいですね。