PK戦までもつれ込んだ天皇杯柏戦はジェフが粘り勝ち
木曜日は更新できないかもと話していましたが、ついつい最期まで試合を見てしまって結局いつも通りの更新になりました。
ころころ話が変わってしまってごめんなさい。
浦和、川崎が敗れ、それぞれ群馬、愛媛が勝利した天皇杯3回戦。
J1チームがどれだけ力を注いできたかはわかりませんが、今回も波乱の多い試合結果となりました。
しかし、やっている方とはしてはやはり大変ではあるのでしょうね。
格下と戦うことでモチベーション、プレッシャー、戦術的な問題も出てくる。
がっつりとした対策を取ってくる相手に勝つのは簡単ではないでしょうし、一発勝負ゆえの怖さもある。
野次馬からすれば面白い展開ではあるのですが…。
ジェフはその天皇杯3回戦で柏と対戦。
千葉ダービーということになりました。
■6バック気味に守るジェフ
ジェフはスタメンを大幅に変更。
メンバーだけ見るとフォーメーションがわからないような状況でした。
登録だとDFは竹内、大岩、キムの3人で、3バックということになります。
しかし、サイドの候補は佐藤祥、田中、山中の3人。
右WBに田中、左WBに山中でボランチに祥も考えられたけど、今さらボランチをやらせるのかという点で疑問がありました。
右WBに祥で、左WBに山中で田中を中央で使うというのも少し考えにくいし、田中と祥の両WBでは慣れなどの面で不安が出るかもしれない。
なので、これは4バックかな?というのが試合前の予想でした。
実際4バックだったのですが、山中の左SBを試す予想は外れ、左SBに祥が入りました。
山中は中村のバックアップと言うよりも、前で期待されているということでしょうね。
一方の柏は3-5-1で、ほぼベストメンバーと言っていいようなスタメンでした。
メンバーを見ても劣勢が予想されたのではないかと思われるジェフですが、立ち上がりはジェフの勢いが勝っていた印象です。
メンバーが違うこともあるでしょうが、いつも以上にアプローチが早く、運動量豊富に動けて、球際も激しい。
相手のパスワークを読んですばやくチェックに行き、ボールを奪いに行くと。
キックオフ直後にはジェフが中盤でボールを奪って、町田が持ち込みそのままミドルシュート。
枠外でしたがジェフの方が気持ちが入っていた印象で、一方の柏は様子見なのかゆっくりとしたスタートでした。
しかし、前半9分には柏のボランチ小林へのアプローチが遅れると、そこでためを作られ下がってきたレアンドロがフリーでボールを受けます。
レアンドロは右サイド裏にスルーパスを出すと、柏のキムがフリーに。
グラウンダーでセンタリングを上げ、中央で工藤が合わせ、あわやというシーンを作られます。
ジェフの立ち上がりのフォーメーションを改めて確認すると、守備時は4-4-2でGKは高木、DFラインは右から竹内、大岩、キム、祥、MFラインは田中、ナム、田代、山中で町田と森本が前線、攻撃時には森本の1トップになるような形。
しかし、田中は相手WBの橋本をケアして、かなり引き気味な4.5バックのようになっていました。
相手は1トップ2シャドーなので4バックでその3人を見て、右SHの田中が下がってWBを見ようということなのでしょう。
これまでにも関塚監督は右SHが下がり気味で守ることは多かったので、柏対策としてそれをより極端にやっていったのかもしれません。
けれども、この9分のピンチ以降は山中もDFラインまで引いて守ることが多く、6バックにも見えるような守り方でした。
ここからは柏にボールを持たれ、サイドのスペースを消しながら守る時間帯が続きました。。
前半25分。
左サイドに寄った大谷が、中央の小林とつなぐと小林がフリーに。
そこから下がってきたレアンドロにつないで、右サイドのキムにスルーパス。
サイドをえぐってセンタリングも、工藤には合わず。
得点にはなりませんでしたが、前半9分に続いて決定的なシーンで、全く同じ形で攻撃を作られてしまいました。
相手のボランチを誰が見るのかが、はっきりしない。
町田と森本はDFラインを追いかけ、状況に応じてボランチも見る状況だったのかもしれませんが、合計5人を2人で見るのは無理があり、後方の相手をフリーにさせていました。
両SHが引きがちなこともあってMFラインは非常に薄く、全体的に下がり気味だったためFWやボランチも前に行けず、かなり苦しい状況での守備だったと思います。
押し込まれているためにセカンドボールも拾えず、柏のボール支配率が非常に長くなる展開に。
それでも6バック気味にサイドのスペースを消して、なんとか柏の攻撃を凌ぐ展開が続いていきます。
前半39分。
ボランチでのパス交換後、大谷が高山にパスを出して受けなおすと簡単に高い位置でフリーに。
レアンドロが下がって受けて反転すると、前の工藤に縦パス。
工藤がワンタッチで小林に落とすと、小林がフリーで放ったミドルシュートはバー直撃。
完全に崩されましたが、失点は免れます。
■もつれ込んだ試合はPK戦へ
前半を無得点で折り返したジェフは、後半スタートと同時に勢いを上げていきます。
後半7分には中央で山中がボールを持って、祥にスルーパス。
祥がグラウンダーで中央に折り返す、惜しいシーンを作ります。
その直後には、右SBの竹内からグラウンダーで縦にパス。
これを町田がペナルティエリアでキープして、飛び出してきた竹内が受けます。
竹内がそのままシュートを放ちますが、GK菅野がセーブ。
ここまでは確実にジェフペースでした。
前半かなり引き気味に守ろうという意思が強かったジェフが、前に出ていってボールを奪おうという狙いに代わったように思います。
これによって全体のラインも高くなり、ボールも持てるようになりました。
しかし、柏もさすがに冷静で、2度のチャンス以降は柏がボールを握る展開に。
プレスをかけていく森本と町田を、3バックが開いて逆サイドに展開すること冷静にかわして、再びサイドを押し込んでいきます。
ただ、柏もボールは持つものの、なかなか攻撃面でスピードアップできない状況に。
体が重い印象もあり、前半に比べて運動量が落ちていった印象でした。
ジェフは後半19分、ナムが負傷し負傷明け井出を投入します。
これにあわせて、田代をアンカー、井出と町田をインサイドハーフとする3ボランチに変更。
6-3-1のようなフォーメーションにしてきました。
2トップでも3バックを追い切れていなかったのでCBへのチェイスは割り切り、相手のダブルボランチが空くことが多かったので、そこを町田と井出でケアしようということだったのでしょう。
しかし、後半36分。
柏のカウンターから橋本がセンタリングを上げ、レアンドロがニアでシュートを放つ危険なシーン。
後半41分にも柏の決定的なチャンス。
橋本からの楔のパスをゴール前で受けたレアンドロが、反転してシュート。
狭いエリアから放たれたシュートは枠を捉えていましたが、高木がファインセーブを見せます。
ピンチをしのいだジェフは直後に右サイド山中のクロスを、途中出場のオナイウがヘディングで合わせるもバー直撃。
その後にも田中のクロスにオナイウが頭で合わせますが、惜しくも枠外とオナイウが存在感を見せます。
しかし、後半ロスタイム、今後は柏のレアンドロがCKからヘディングでシュートを放ち、高木が片手一本で留めるファインセーブ。
後半終盤になりチャンスが増えていきますが、どちらも決めきれず延長戦に突入します。
延長立ち上がりは柏が再び攻めていきます。
序盤には木村が右サイドからパスをつないで行ってシュート。
延長前半5分には中央のパスワークから太田が中盤の間に入ってきて、ミドルシュート。
しかし、この流れをしのぐとその後は一進一退。
ジェフも井出など途中出場の選手を中心に攻め込んでいきます。
そして、延長後半3分。
井出のスルーパスを山中が折り返して、オナイウがゴール。
相手の足が止まっている状況ではありましたが、見事な展開で先制します。
しかし、そこからは柏が本気モードに。
レアンドロが楔のパスをヒールで流して、太田が抜け出し、最期は木村が合わせゴールかと思いきやオフサイド。
その後も強い圧力で攻め立てると後半11分、セットプレーから最後は橋本がこぼれ球を押し込み同点に。
取ろうと思えば点を取れる…。
J1チームの怖いくらいのプライドを感じた時間帯でした。
その後も柏が攻め込みますが、得点前の勢いは維持できずそのままPK戦へ。
PK戦も接戦となり一巡までした展開。
最後はこの日活躍していたレアンドロが高木にセーブされるというよく聞く展開で、ジェフは町田がしっかりと決めてジェフの勝利となりました。
■この刺激をJ2リーグにもつなげるか
なんとなくメンタル的な意味では、今年のちばぎんカップを思い出す試合だったかなと思います。
J1相手に、ライバル相手にがつがつと気持ちを込めて戦おうというジェフと。
大事なJ1でのリーグ戦もあって、そこまでこの試合に重きを置いてこなかった柏と。
今年のちばぎんカップも、スタメン発表時は柏も本気なのかな?と思ったのですが、実際にはそこまでではなかった印象で、この試合も同じような位置づけだったのかなと。
ネルシーニョ監督としては勝ちに行ったところもあるのかもしれませんが、選手にとってはどうだったのか。
ただ、後半早々に失速したところから見ても、コンディショニングの面でこの試合に合わせていなかったように感じなくもありません。
ジェフの方は6バック気味の守備で守る時間帯が長く、後半途中からは更にその前に3人を置いて、かなり守備的な布陣で挑みました。
それゆえに攻撃面では厚みの少なさを感じるところも多く、本当に粘って粘って相手のミスを待つ展開だったと思います。
しかし、それでも若い選手たち…とまでは言い難いですが、普段は試合に出られない選手たちが気持ちを見せてくれて、最終的に結果も出たという面は、選手たちが報われたという意味でよかったのかもしれません。
もちろん、個々の動きでみても良い部分はあったと思います。
結果を残したオナイウはもちろん、ファインセーブやキックの精度を見せた高木、動き回りながらチャンスを作ろうとしていた町田、技術面の高さを見せた祥など、可能性を感じさせるプレーを見せてくれました。
けれども、それをリーグ戦でも見せられるかどうかというのが、今後において非常に大事なところでしょう。
一発勝負の天皇杯で、格上のJ1相手に戦うということで、否が応にもモチベーションの上がるシチュエーション。
チャレンジャー精神で戦えることの大きさというものを改めて感じたわけですが、J2で毎試合あのような戦い方が出来るかというと疑問が残ります。
選手個々の可能性を見せてくれたと言っても、ピッチに立てるのは11人だけですから、この試合でのプレーを見て関塚監督がどう判断するかが大事ですね。
ただ、これでまた無敗は続くことになりますし、勢いは維持できたかもしれません。
ここ2試合は無得点で引き分けという試合が続きましたし、オナイウが決めたことも大きいでしょう。
加えて、普段出場していない選手が気持ちの面を見せてくれたことは、レギュラーメンバーにとってもいい刺激になるかもしれません。
そのあたりを上手く作用して、リーグ戦でも良い方向に進むことができればいいですね。