関塚隆監督の就任が正式決定

関塚隆監督の就任について(ジェフ公式サイト)


 関塚氏のジェフ監督就任が来ました。
 2012年、木山監督退団後にもジェフ監督就任濃厚と言われていた関塚監督ですが、ゴタゴタがあって破談に。
 今回も他に候補が多数いるわけでもないし、声くらいはかけるのかなとは思っていましたが、前回のことがあるだけにどうなのかなと思っていました。
 今回はそういったゴタゴタもなく、交渉が出来たということなのでしょうか。


 …といっても、直前に鈴木監督解任というゴタゴタが起こっている気もするのですが(笑)
 あんなことをやられるクラブの監督なんて、あまりやりたくないでしょうしね。
 こういった状況で、良く引き受けてくれたと思います。
 いっそまた断って目を覚まさせてほしかった気もしなくもないですが、そんなことで目が覚めるなら何度も同じ問題をやらかしていないでしょうし。
 まぁ、関塚監督としてはW杯も終わりに近づくタイミングだし(就任が8日火曜からなのもW杯関連の仕事があるからでしょうか)、磐田で失敗したまま監督として終わりたくないというのもあるのかもしれません。
 W杯前にはジェフ戦の解説をしていてかなり高く評価されていた印象ですし、それを見ていたのでやれると判断した部分もあるのでしょうか。



 関塚監督に関してはネームバリューはあるものの、手腕に関してはどうなのかな…といった印象です。
 川崎時代も川崎山脈と呼ばれた大型CBを並べて、ジュニーニョを走らせて、中盤は憲剛に任せていた印象で、あまり細かな戦術を作るのは得意ではない印象で。
 まぁ、それでJ1に昇格したわけですけど、当時と今では全く時代が違いますしね。
 五輪時代も山村や吉田が跳ね返し、大津・永井を走らせて、アジア予選では扇原がパスワークを形成し、OAには憲剛や遠藤を望み…と同じサッカーをしており、基本それしかないのだろうなと思います。
 2013年5月には磐田監督に就任しますが、戦術が定まらずJ2に降格し退任となっています。

連敗続きの終盤は控え組に加え、起用法に納得できない主力があからさまに不満を示すようになっていた。軸が定まらない戦術に対し、「あり得ない」と口にする選手もいた。(静岡新聞


 それでも2012年木山監督の後に関塚監督と聞いた時は、前向きに考えていました。
 木山監督も同じような監督なので、それに関塚監督が経験をプラスできれば、そして木山監督は全く使えなかった外国人選手を使いこなせれば…と思えたので。
 加えて今回もではありますが、他にそこまで監督候補がいるわけではないということもありました。
 結果的に鈴木監督が就任してくれたから良かったものの、あの時も複数の監督に断られ厳しい状況でした。
 そういう意味で、鈴木監督にも感謝しなければいけないはずだと思うのですが、どうにもこのクラブは自チームの監督へのリスペクトが足らないところがあるように思います。


 しかし、2012年のチーム状況と現在の状況では違うわけで、関塚監督となればベースとして築き上げてきた細かなパスワークは失われる可能性もあるのかもしれません。
 前向きに考えるとすれば、鈴木監督のベースをできる限り維持しつつ、関塚監督が何かしらのプラスアルファを積み重ねることができれば…と思うのですけど、そう額面通りにうまく行くとも思えませんし。



 とはいえ、他にジェフのオファーを引き受けてくれる監督もあまりいないのでしょう。
 なにせジェフはJ1昇格が至上命題で、毎年のように監督を交代し、かといって大した選手もいない…という状況ですから、普通に考えればやりたくはない(笑)
 S級ライセンス取得者一覧を見ても、ちょっとでもいいかな?と思われる方は次が決まっていますから、監督候補の分母も少ない状況です。


 例えば岡田監督の名前などは良く上がりますが、そんな贅沢なことを言えるような立場ではないと思います。
 そもそも岡田監督は急遽日本代表監督に就任しフランスW杯を戦って以降、自身の手腕を示す(試す)かのように、J2の札幌から初めてJ1昇格、横浜FMでJ1優勝、日本代表で南アフリカW杯ベスト16、杭州緑城で海外挑戦と、順調にステップアップを果たしています。
 今や日本人トップの監督とも言える指導者であり、今さら大幅なステップダウンとも思えるJ2での挑戦に戻るというのは現実的ではないでしょう。
 古河繋がりで何度かオファーは出しているものの、毎回断られているようですしね。


 無難な日本人監督を据えても監督交代の意味はないし、そうなってくると外国人監督の方が良いのかなとも思っていました。
 というのも、意味を示せなければ、結果的には監督交代のマイナス面も多いわけで。
 違約金も払わなければならない、監督をころころ変えるクラブという汚名がより一層強くなる、選手や関係者に不信感を与えることにもつながる。
 だから、「ダメでもともと」の監督解任は、本来さけるべきだったはずではないかと思うのですが…。
 状況の悪化はもちろん、状況が大きく改善されなくても、残るダメージは大きい。


 それならば思い切って外国人監督で大きな変化を…とも思ったのですけれども、それはサッカー的にも予算的にもハイリスク・ハイリターン。
 ベースとなる部分がすべてなくなる可能性もあり得ますし、多くのものを失いかねない。
 それに、今回はオフではなく中断期間もないですから、Jリーグやジェフを理解していて、早期にチームになじめる監督が望ましい…。



 しかし、日本人監督で鈴木監督以上に実績があって結果を期待できる監督がどれだけいるのか…といろいろと頭の中では悩んでいたのですが、関塚監督の第一報を伝えた報知にはこのように書かれていました。

関係者によると、関塚氏にはその場しのぎの強化ではなく、中長期的な視点に立ち、戦えるチーム作りを期待しているという。(報知

 鈴木監督を解任して関塚監督を招聘しておいて、これはないだろう…とも思わなくもないのですが、結局現場や強化部は中長期的なチーム作りを期待していて、別のところが解任したからこういった乖離が生まれるということでしょうか。
 確かに中長期的な視点で考えるのであれば、ハイリスク・ハイリターンな外国人監督よりも、日本人監督の方が良いのかもしれません。
 しかし、それなら…と、つい思ってしまうところですが。



 もしかしたら、ジャイールも"ジュニーニョ役"として帰ってくるのかもしれませんね。
 そもそもジャイールを補強した際も、タイミングからしてもタイプ的にも、関塚監督体制を見込んだ上で交渉が進んでいたのではないかとは薄らと思っていました。
 これでジャイールが帰ってくれば、ますますその可能性は強まる気がします。
 むしろ関塚監督の場合、"ジュニーニョ役"がいないと成り立たないような気がしますし、今のジェフにはスピードがあって個人技で仕掛けて点を取れるような候補はいないですからね。
 しかし、鹿島でも結局戦力になり切れなかったジャイールでうまく行くかというと、正直微妙ではないかと私は思いますが。


 それを考えると、やはり鈴木監督体制ではあまり補強がされていなかったということになる。
 ケンペスも藤田が急遽引き抜かれての補強だったでしょうし、今年の補強も昨年の穴埋めという意味合いが強かったですしね。
 まぁ、その根底には「以前ほど予算がない」という部分があるのではないかと思うのですが…。



 ともかく、関塚監督ならピタリと型にはめてあげなければいけないように思います。
 ジュニーニョ役に、川崎山脈役に、憲剛役に、谷口役に…。
 それぞれの控えも必要だし、今までのようなパスサッカーではなくカウンター重視なサッカーになるのなら、特にアタッカーの絶対数が足りない気もします。
 今はテクニカルな選手が多いですしね。


 サッカー的には逆戻りするような気もしますが、こうなってしまっては仕方ない。
 関塚監督のサッカーが、うまくピタリとはまることに期待を寄せるしかないように思います。
 関塚監督のメリットの1つとして、ネームバリューがある点に関しては、様々なものを黙らせる上では効果があるのかもしれません。
 また、最近は大味なサッカーの方がジェフサポーターには評判が良さそうですから、そういうメリットもなくはないのかなとも。


 様々な複雑な思いがありますけれども、火中の栗を拾ってくれたことに関しては間違いなく感謝したいですし、決まったからには応援したいところです。
 とりあえず、これで少しだけ気持ちはすっきりとしましたね。