3-0で大勝も真価を問われるのは次以降

 雨風を伴う激しい嵐で、京葉線の運転見合わせも含め、鉄道の運行状況も混乱。
 その影響もあってか、観客動員数はより厳しいものになってしまいました。
 それがなくてもここまでの観客動員数に苦しんでいる状況ですから、ちょっと気になる問題ですね。
 発表された当日券の枚数は思ったよりも少なかったので、それなりにチケットは捌けてはいると思いたいですが…。


 昨日の試合、スカパー!の放送では、前ジェフの深井が解説を担当。
 意外と…といっては失礼ですけど、守備面やボールを受けに来る動きの話なども話をしていて、バランスよく話せている印象でした。
 相手の狙いを分析するなど冷静に解説していましたし、現在は現役復帰に向けてリハビリ中とのことですが、将来的には良い解説者…あるいは指導者になれるのかもしれませんね。
■早々に先制点を決めるも…
 前節長崎に敗れたジェフは、スタメンを4人入れ替えてきました。
 まず山中が負傷し、代わりに左SHには谷澤が入りました。
 右SBは竹内から天野に、ボランチは健太郎に代わって兵働がスタメンに。
 そして、右SHには田中ではなく井出が選ばれました。 



 前半2分、早くも試合が動きます。
 左サイド中村のクロスから、ケンペスがヘディングでゴール。
 左サイド脇で谷澤が受けて、1-2で中村が飛び出しフリーで余裕を持ってボールを上げることが出来ました。


 この1つ前のシーンでも、中村はオーバーラップしてチャンスを作っていましたが、タイミングがすごく良かったですね。
 これまでの試合でもそうですが、中村は相手を押し込んでいる状況での攻撃参加は素晴らしいものがあります。
 問題はそうではない時間帯に、ビルドアップなども含めどうやって攻撃に絡むか…なのかもしれませんね。



 ジェフがスタートから猛攻を見せた一方で、熊本の方は試合の入りが悪かったですね。
 ジェフのスタメンが予想外だったところがあったので対応が難しかったのかもしれませんが、アプローチが中途半端で攻守の切り替えも遅くなっていました。
 失点シーンも明らかに守備が混乱しており、ケンペスへのマークも完全に見失っていましたね。
 クロスに対して一番フリーにしてはいけないはずの相手を、簡単にフリーにしてしまいました。


 熊本の問題もあって、得点以降もジェフが良い形で攻撃を作る展開。
 得点の直後には町田、中村、井出が細かくパスをつないで、ゴール前に動きなおした井出がパスを受けてシュートを放つも相手GKがセーブ。
 前半7分にはケンペスと谷澤が左サイドでボールを運び、大外からケンペス、谷澤とつないで、中央の兵働がシュートも決めきれず。
 前半10分には谷澤が左サイドでボールを拾って、そのままシュートを放つもこれも決まらず。
 左サイドからパスをつないで、中央に他選手が侵入してシュート…という形が出来ていましたね。



 しかし、ジェフが良い流れだったにも関わらずチャンスを逃し続けると、前半15分あたりからは相手も落ち着いてきて熊本の攻撃シーンが増えていきます。
 こうなってくると、兵働や井出、天野あたりの良さが出てきにくくなり、局面での守備などに不安な部分が出てしまいますね。
 そのため一度押し込まれて流れが傾くと、押し返しにくいところがあるのかなと感じてしまいました。


 前半25分には、鈴木監督の指示で井出と谷澤のポジションを入れ替え。
 これもジェフの左サイドから攻め込まれることが多かったため、守備を修正したということではないでしょうか。



 これによってジェフの守備も落ち着いて、試合はこう着状態になっていきます。
 熊本が攻撃する時間帯もありましたが、前半39分には相手の攻撃を凌いで、山口慶、兵働とつないでケンペスがボールを持ち上がってカウンター。
 ケンペスがうまくタメて右前の町田にスルーパスを出し、町田はGKと1対1になりますが、相手GKに止められてしまいます。


 町田に頑張ってほしいのは、こういったシーンですね。
 ゴールに絡む回数を増やすというよりは、シュート、ラストパスの精度を上げることがもう一歩上に行くためには必要なんじゃないかなと思います。
■退場者が出るも3-0で快勝
 後半11分。
 右サイド谷澤がセンタリングを放つと、ニアで跳ね返そうとした相手選手がオウンゴールで2-0に。
 この少し前から熊本は足が止まっていたような印象も受けました。
 クロスを上げた谷澤はハーフウェイライン付近からボールを持ちあがっていたにもかかわらず、誰も対応に行かずフリーのままボールを上げられるような状況でした。


 追加点を得たジェフですが、後半13分。
 相手CKを凌いだシーンから谷澤、慶とつないで、右サイド裏に飛び出した町田がボールを持ってカウンター。
 町田からのセンタリングを中央の井出がボールを受けますが、ボールが伸びて相手GKを避けようとしたところ、左足がGKの顔に当たってしまいます。
 これを危険行為と取られ、一発レッドという判定に。
 微妙なところですが、危険行為に対して故意かどうかは関係ないはずですし、仕方がないところかなとも思います。



 サポーターのブーイングも鳴りやまず、悪い流れになりつつありましたが、選手たちは何とか試合を落ち着かせることが出来ましたね。
 すると、後半26分。
 ケンペスが右サイドで大きく切り替えして相手を抜き、中央の低めの位置で谷澤が受けて、ミドルシュート
 これが決まって、3-0となります。 
 このシーンでも熊本の守備は、ケンペスへの寄せは甘く、谷澤へのマークも遅かったですね。



 これで試合は決まったかなと。
 それだけに後半36分に慶が笛が鳴った後にボールを蹴って、後半38分にはゴールキックをゆっくり蹴ったということで岡本へ、連続でイエローカードを受けたのはすごくもったいなかったですね。
 今は遅延行為に関しては厳しく取る方向にありますし、井出へのレッドカードがあり判定に不服があった部分もあったのかもしれませんが、それならなおさら警戒しなけければいけなかったはずで。
 賢くないプレーだったと思います。


 3点を取った後は、1対1の守備に不安を見せていたことと途中出場した巻への高さ対策という面もあってか、天野を変えて竹内を投入。
 負傷した町田に変えて、勇人を投入し、兵働を2列目へ。
 最後は兵働に変えて田中を起用し、試合をクローズ。
 熊本に反撃する力もなく、3-0で勝利となりました。
■熊本の出来が悪かった…
 まず1つ言えるのは、熊本の状況がすごく悪かったということですね。
 試合の入りに失敗して早い時間帯に失点してしまったことにより、気持ちの面での落ち込みもあったのかもしれませんが、それにしてもその後の動きも芳しくなく。
 運動量だとか切り替え、球際の問題なども見られたとは思うのですけど、オウンゴールシーンでの谷澤への対応などを思い返しても、それ以前のレベルだった印象です。


 前節も中継でチェックしたのですが、そこまで悪くないサッカーをしていたように思うので、何か内部であったのだろうか…と思うほどでした。
 まぁ、長いシーズンですから、どのチームも不調の時期というのはあるのでしょうし、そこを我慢して乗り越えられるか、相手チームとしてはそこで取りこぼさずに勝つことができるか…というところが大事なのでしょうが。
 ジェフの場合は、どちらかと言えば「我慢」の方が心配かもしれませんが。



 この試合でのジェフに関しては、その相手に確実に勝利したといった言い方が正しいのではないでしょうか。
 1点先制してその後にチャンスが何度もあったにも関わらず決めきれず、流れを相手に明け渡してしまう展開は、いつもなら負けパターンだったと思います。
 前半の早いうちに2点目が獲れなかったことは、しっかりと反省してほしいですね。


 そういった流れだったにもかかわらず、前半を無失点で凌ぎ後半に2点取れたのは、ジェフが良かったという以上に熊本の内容が悪かったという印象が強く残りました。
 追加点を取れなかった攻撃だけでなく、守備に関しても井出、天野はドリブル対応に苦戦していたり、大岩も釣り出され潰しきれないところがあるなど、課題は見られたと思います。
 実際前半途中からは簡単にゴール前にボールを出されたシーンも多かったですし、それでも完封に抑えられたのは相手の攻撃が精度にかけていた部分も大きかったのではないでしょうか。



 確かに谷澤、兵働、井出あたりは思ったよりも動けていて、攻撃時は勢いのある仕掛けが出来ていたと思います。
 けれども、あまりにも相手が悪かっただけに、課題も出にくく…あるいは課題が出ても大きな穴にはならなかったところがあったと思います。


 とはいえ、今のジェフは内容よりも結果…というより、勢いが欲しいところではあったと思います。
 岡山戦で初勝利を決めた後もサポーターにゴタゴタがあったこともあり、波に乗り切れなかった印象もありましたし、今回大きなスコアで勝ったことで少しでも負のオーラを払拭できれば…と思います。
 それだけに審判批判ばかりが先行してしまったのは個人的に残念なところもありますが…。
 そこまで酷かったかと言うと、疑問ですし。



 谷澤、兵働、井出などもそれぞれに課題はあったと思うのですが、その他の選手も含めてこれで自信を持ってプレーすることが出来れば、次につながるかもしれません。
 勘違い的なものは困りますが、自信を持つことは今のジェフにとって大事な部分だと思いますし、内容も少しずつ向上していたと感じていたところですから、ここから結果の方も続くといいですね。
 今回は相手の内容もありましたから、この勢いが次以降にも続くかも新たにスタメン出場したメンバーの真価を問われるのもこれからでしょう。
 ともかく、次の試合を楽しみに待ちたいと思います。