残酷な一戦、プレーオフ準決勝に向けて

 さて、いよいよ決戦です。
 今週末から始まるJ1昇格プレーオフ
 これを勝ち抜けば今季の目標はクリアと言ってもいいでしょうし、逆に失敗すればリーグ戦での努力も栃木戦での兵働の一発も一気に価値が落ちてしまう。
 プレーオフで結果を残せるかどうかがクラブの、関係者の、選手たちの運命を決めることになります。



 一発勝負ですから、リーグ戦とは求められるものが異なる部分もあると思います。
 今でも記憶に色濃く残っているのが、2004年チャンピオンシップ第2戦の横浜FM対浦和戦。
 浦和の内館が空中戦に難があると見た横浜FM岡田監督はロングボールを徹底して内館に放り込み選手交代に追いやった試合で、J1のトップチームでも勝つためにあそこまでやるのか…と驚いたものでした。
 岡田監督は短期決戦の南アフリカW杯でも、直前になって戦い方を変えて成功していますね。


 ジェフで一発勝負と言えば、2005年のナビスコカップ決勝。
 当時Jでも随一の攻撃的なサッカーを誇ったG大阪とジェフの対戦となった試合ですが、派手な展開ではなく1つのミスも許されない緊迫した試合となり、0-0でPK戦までもつれ込んだのですから、一発勝負の予測は難しい。
 一方でジェフの2連覇となった翌年のナビスコカップ決勝では、ジェフの選手たちに自信を感じられ2-0と完勝となりました。



 そして、昨年のプレーオフでは準決勝こそ4-0で快勝ということになりましたが、決勝では米倉を封じられただけ攻撃が一気に停滞。
 それでも0-0で試合は進み、このまま行けるか…と思いかけていた後半41分に、DFラインの裏を取られてやられてしまいました。
 このDFラインの裏というのも、昨年からジェフが弱点にしていたところだと思います。


 そう考えていくと、やはり相手チームのリサーチは非常に大事にだと思います。
 もちろん相手もジェフを研究してくるわけで戦い方を変えてくる可能性もあるし、05年ナビスコ決勝のように予想外の展開になることも珍しくはありません。
 それでもしっかりと相手の情報は握りながら、試合内で修正しつつ自分たちのサッカーをしていくことが求められるのでしょう。



 徳島とのリーグ戦では6月22日、7月27日と、期間の短い中で2試合が開催されました。
 6月のアウェイゲームでは前半に兵働のミドルシュートが決まって折り返し、後半1点返された直後に伊藤が決めて2-1で勝利。
 7月の試合では良い流れで前半戦えていたものの、キムへのバックパスを奪われたところから失点し、その直後にはDFの取られて2失点。
 その後キムの退場もあって、1点返したものの1-2で敗戦となっています。


 どちらの試合も前半は良い状況で戦えていたものの、後半からジェフが失速してしまう展開だったと思います。
 その前半のうちに1点取れた6月の試合には勝利できて、そうではない7月の試合では負けているというのが1つのポイントかもしれませんね。
 現在のジェフは当時ほど後半一気に足が止まるようなことは減ってきていますが、それでもここ数試合は特に前半からスパートかけていくことが多いですから、当然と言えば当然ですけどやはり先制点が大事になってくると思います。
 特にプレーオフ準決勝では引き分けではダメだということもありますし、まず1点を奪いに行く展開になるではないでしょうか。
 もちろん点が取れなくても焦らないことが大事で、昨年のプレーオフ決勝での大分のように最後まであきらめない気持ちが必要です。


 リーグ戦で対戦した徳島は2トップが下がって、SHが絞って、ボランチも引き気味に守り、前線と中盤の四角形でジェフのCBからの縦へのビルドアップを遮断していこうという意図を感じました。
 特にボランチバイタルエリアをかなり警戒しており、CBとの距離感を重視していた記憶があります。
 しかし、現在のジェフは左SBの高橋を中心としたビルドアップも出来るようになってきていますから、当時とはこちらも状況が違いますし相手もまた異なる守り方をしてくるかもしれません。


 徳島は最終節長崎戦でも守備で粘って粘って無失点で抑えて、相手の一瞬の隙を突いて1-0で勝利という展開でした。
 シュート本数も17対4と徳島が極めて少ないチャンスを決めた試合で、ジェフ戦でもジェフが徳島の守備をこじ開けられるかどうか、徳島は守備を重視しながらジェフの隙を探りつつカウンターを狙う展開になるのではないかと予想しておきます。



 プレーオフJリーグのキャッチコピーは「日本一残酷な、歓喜の一戦」。
 昨年もプレーオフを経験したジェフですが、まだ残酷なプレーオフしか知らないわけで。
 今年こそは「歓喜の一戦」を知るために、そして「残酷な一戦」として記憶に残さないように、まずは準決勝。
 「歓喜の一戦」を戦う権利をえるために、「残酷な一戦」を勝ち抜かなければいけません。