障害者スポーツを通じて感じたスポーツの素晴らしさ 後編
前編に続いて、精神障害によるバスケットボールのお話を中心に。
精神障害者においての花形スポーツと言えば、フットサルということになります。
その精神障害者のフットサルを大きくバックアップしているのがG大阪です。
2008年から開催されている全国大会ガンバ大阪スカンビオカップは今年で6回を迎え、精神障害者フットサルの代表的な大会となっています。
今年10月にはイギリス、ドイツ、イタリア、アルゼンチンなど8カ国が参加した第一回精神障害者スポーツ国際シンポジウムを日本で開催したのですが、そこにはJリーグも後援という形で協力。
バスケやバレーボールなどその他のスポーツの話もされましたが、中心はフットサルだったようです。
今年2月には世界的にも珍しい日本ソーシャルフットボール協会が発足され、2011年にはイタリア遠征を行うチームも現れるなど本格的な活動が行われています。
Jリーグの発表している地域スポーツ振興活動においても、精神障害者サッカーを含めると仙台、甲府、G大阪、愛媛などが協力しており、国際シンポジウムでは他に札幌、鹿島、浦和、大宮、FC東京、柏、横浜FC、清水、磐田、福岡といった多くのクラブが個別に活動を行っていると発表しています。
ジェフも昨年まで精神障害者フットサルの教室を開いていたようですけど、今年からやめてしまったのでしょうか…。
今年開催された東京での全国障害者スポーツ大会からオープン競技として実施された精神障害者フットサルは、東京パラリンピックでの正式種目入りが目標となるそうです。
精神障害者バスケの方もパラリンピックでオープン競技を目指すそうで、そのためにもまずは全国大会を開こうという話が進んでいます。
しかし、そこまでの道のりは平たんではなく、フットサルに比べると参加選手も規模も今のところ小さいというのが実情です。
では、なぜそこまでしてバスケなのか…ということになってくるかもしれませんが、単純に障害者の選択肢を増やそうという意図があります。
実際にはフットサルと掛け持ちで活動しているスタッフ、選手も多く、精神障害者フットサルを成功に導いた方たちも並行してバスケの方に力を注いでいます。
障害者の中にはバスケは経験がある自信があるけれどもフットサルは出来ない…という方もいるわけで、そういった方への支援というのが目的の1つになります。
先日11月12日に私が協力しているバスケの運営団体では、バスケ教室・交流会を開催いたしました。
午前中には千葉ジェッツから地域プロモーションスタッフの落合豪を招き、特別コーチとして指導していただきました。
ジェッツは名前の通り千葉県を中心に活動しており、今季からスタートしたプロバスケットボールのトップリーグであるNBL所属のチームです。
落合氏は高校卒業後に渡米して大学のバスケ運営などに携わり、ジェッツ創立に参加。
ジェッツ創立2年目での黒字化に貢献され、アメリカではMLSやMLBチームのスタッフとしても働かれていたというので、どれほど厳格な方なのかと緊張していたのですが、実際には非常に物腰が柔らかく優しく指導されていました。
指導中には冗談も交えて説明されており、教室終了後には解散した後に自ら1人1人を回って握手を求めるなど非常にフレンドリーな方で、こういったスタッフの方と接する機会があるとそのチームも一気に身近に感じられますね。
ジェフにこんな人材はいるのかな?ジェフも頑張らないとな…なんて思ったりもして。
午後からはスタッフも参加しての交流大会ということで私も試合に出場したのですが、これが大変でした…(笑)
この日のためにジョギングなどもしていたのですけど、全く体力も持たず、技術的にも全くダメ。
考えてみれば定期的に練習している選手たちと、10数年ぶりにバスケをする私ですから一緒にしてはいけませんでしたね…。
そんな自分に対しても周りの選手たちは優しく、選手をサポートする立場のはずが、こちらが励まされているような状況でした。
もしかしたら選手たちは、障害があるからこそ上手くいかない周りの人たちにも優しく接することが自然とできるのかな…なんてことも思ったりしました。
メンバーも揃わないことが少なくなく、チーム内でのレベル差がある中でも助け合ってプレーしていくことで、コミュニケーションの上手な取り方を学んでいるということなのかもしれませんね。
バテバテになりながらも長時間共にプレーすることによって、選手たちとも打ち解けて、大会終了後には多くの方に挨拶してもらえました。
非常に貴重な体験をすることができましたし、純粋にバスケを楽しむことができました。
大会や教室・交流大会の運営は滞りなく行えている私たちですが、実際には前途多難といったところです。
まずなかなかメンバーが集まらない。
メンバーが集まらないと、予算確保も難しくなる。
競技人口も多くはないのではないかと思いますし、横のつながりなどもない本当にゼロからのスタートですから連絡の取りようもなく告知なども難しい。
ですから、まずは認知されることが大事なのではないかなと思っております。
募金やスポンサーなどを募集する話も出ておりますが、多くの人に精神障害者バスケというものを知ってもらうことが、まず第一歩なのかなと感じます。
そして、ゆくゆくはメンバーや応援者の確保、スポンサー集めなどに繋がって行けばと思います。
実際にHP経由で精神障害者バスケをやりたいという選手の方もいらっしゃいましたし、そういった可能性を信じて前に進むことが大切なのかなと思います。
スポーツファンの方達にとっても、今後東京パラリンピックに向けて国内での障害者スポーツが盛り上がっていく可能性は高いと思いますし、ぜひとも少しずつでも気にかけていってほしいと思います。
障害者スポーツにおける純粋なスポーツの喜びやそこに携わる選手・関係者の思いというものは見ていて清々しい気持ちになりますし、普段スポーツを見ている人たちこそ新たな発見が見るかるかもしれません。
私が協力しております精神障がい者バスケのホームページとブログの方も、よろしければ一度チェックしていただきますようよろしくお願いいたします。