元ジェフMF戸田、現役引退を表明

 元日本代表選手でジェフでも半年間プレーした戸田和幸が、先日引退を発表しました。
 ジェフには2008年6月から加入。
 その年のJ1残留に貢献してくれました。


 2008年のジェフと言えば、開幕前のオフにアマル監督を解任し主力選手が大量に流出。
 若手選手や他チームで出場機会のない中堅選手を集めて戦うも序盤は結果は残せず、5月にはクゼ監督も解任となっていました。
 その中でもボランチは、選手層の薄いポジションだったと思います。
 当時から現在にかけて、ジェフは長らく守れるボランチ不足に悩まされているということになります。


 その1年前には阿部が移籍し下村が加入していましたが、その後勇人も移籍し下村1人では厳しい部分がありました。
 実際、クゼ監督解任後に繋ぎ役となった沢入代行監督はCBの斉藤大輔をアンカーに起用して守備を安定させたほど、本職のボランチが足りない状況だったと思います。


 加えて5月にはリバプールコーチのミラー監督が就任。
 イングランドスタイルを導入したミラー監督の下では、日本のサッカーのように選手が助け合って組織的に戦うのではなく、ボランチ(というかセンターハーフ)には守備においても攻撃面での展開においても個々の能力で打開を求める傾向が強く、より一層それまでの戦い方に慣れた選手ではやりにくいところがあったと思います。
 その中で代表やJリーグなどでも経験が豊富で、プレミアリーグトッテナムでもプレーしたことのある戸田の加入というのは大きかったと思います。
 フィジカルの強い下村が若干後方に構えて、戸田が前目の位置で運動量豊富にカバーリングをしながら縦にパスを出す関係がうまくいっていた印象があります。


 しかし、戸田は残念ながら、約半年でジェフを去ることになります。
 お金の問題という噂も出ましたが、本人はきっぱりとそれを否定。
 ジェフでの数ヶ月もちょこちょこと怪我をしていた影響もあったのかもしれませんけど、個人的にはあの時残すべき選手だったと思います。
 その後ジェフが中後を獲得したことを考えると、昼田さんとの繋がりで戸田ではなく中後を選んだということなのかもしれませんけど、中後と戸田ではだいぶタイプが違うわけで。



 短い間でも戸田がジェフサポーターに愛されていたのは、しっかりと自身のサイトやブログにおいて自分の言葉でメッセージを伝えていたことが大きいと思います。
 ジェフというクラブに秘密主義なところがある上に、選手たちは真面目で無難なメッセージを発することが多い中で、それまでにもストレートなコメントが多い戸田がジェフに加入してどのような発言をしてくれるのかジェフ加入時から来ていました。
 前チーム広島でもペトロヴィッチ監督とポポヴィッチコーチのやり方には疑問符を投げかけていましたし、ジェフに対してどのように厳しく叱咤してくれるのかと



 しかし、加入してからの戸田は、予想以上にジェフへの愛に溢れたメッセージが多かったと思います。
 ジェフ在籍中も前向きな話が多く、退団時にはわざわざ直筆のメッセージを公式サイトにあげて、退団後も何かとジェフを気にかけてくれていました。
 2010年草津に移籍していた戸田が、ジェフ戦でゴールを決めた時に喜びを表さなかったときはちょっとした騒動にもなりました。


 本人によるとジェフでの残留争い中はクラブに残る気持ちで戦っていたそうで、その目標を達成させた立役者の1人だったにも拘らず、ジェフは戦力外という結果を出したことになります。
 それでも退団後もジェフのことを思ってくれていたわけですから、ジェフを応援するものとしては嬉しい気持ちでいっぱいです。
 考えてみればその頃からすでにジェフはフロントが選手に対して厳しい対応をしても、なぜか選手に愛される体質ではあったわけですね…(笑)
 長くジェフにいた選手なら腐れ縁的なものもあるかとは思いますが、そうでない選手も…となると本気でそのあたりの理由も気になってくるところです。



 今後に関してはまだ何も決めていないとのことで、まずはゆっくりと休んでほしいですね。
 経験豊富で戦術眼も確かな選手だったと思いますから、できれば指導者として頑張ってほしい気もしますが、解説などの道もありえるのでしょうか。
 個人的には走れて強くて賢い選手ということで、ジェフ加入前の日韓W杯の頃から好きな選手でした。
 お疲れ様でした。